INFORMATION | SABI/KIYOスプリット・アルバム「71:36」リリース記念スペシャル・インタビュー!

  • CLUB/DANCE
  • ピックアップ(インタビュー/コラム)

2008.09.22

  • LINE

  • メール

新進気鋭の注目レーベル・PHASEWORKSの第2弾作品SABI/KIYO「71:36」のリリースを記念して、レーベル主宰者小西さん(以下K)、SABIさん(以下S)、KIYOさん(以下KI)の三人にインタビューさせていただきました。

SABI/KIYO 71:36


■今年発売された「RGB」というコンピレーションでクラブシーンにもインパクトを与えたPHASEWORKSですが、まずはレーベルの紹介をお願いします。

K :ありがとうございます。でも、最近のクラブシーンというのは良く分かっていないんですよ。。シーンとは言えずとも、各地で独自のやり方を貫いた活動でコミュニティーを作っているような人達に少しでもインパクトを与える事が出来たのであれば嬉しいです。「RGB」にも各地のアーティストが参加しています。それは、そんな細分化しているコミュニティーを繋げるきっかけを作りたいとの想いも込めていたからです。PHASEWORKSも、パーティ『PHASE』を通じて繋がった仲間達と始めたレーベルです。名前の通り、パーティを重ねて様々な段階を踏むにつれ、新たに見えてきた次のステップに進むために、レーベルを立ち上げる事が必要でした。PHASEWORKSは、デザイン、映像、音、全ての制作を信頼し合った仲間で取り組んでいます。ですから、レーベルというよりは、制作チームみたいな感じです。実は、それぞれ住んでる場所も全然違うのですが、それゆえに東京を中心に考える事がないところも良い点かもしれません。

■PHASEWORKSは、その名の通り『PHASE』というイベントを開催していますが、CDとしての作品のリリースも含めてコンセプトとなるものはありますか?

K :コンセプトは取り組むプロジェクトによって異なりますが、メンバーとよくディスカッションをして制作に取り組むようにしています。現在の音楽業界の冷え込みとか、国内の芸術に対する扱いなど、現状に対する悲観的な意見もありますが、僕たちは独立して、ただ良い物を作る事に集中すべきだと思っています。言葉以外の、音や映像、そしてグラフィックなどの表現を扱っているので、結局は、それを見たり、聞いたりした時に、どう感じてもらえるかが全てだと思っているからです。そして、まだ言葉になっていないような、新たな感情が芽生えるように、総合的に作り込んで、表現していきたいです。

■第2弾となる今回のリリースですが、SABIさんとKIYOさんのスプリットアルバムとなった経緯を教えて頂けますか?

K : 前作の「RGB」を制作するにあたって、2人からは多めに楽曲を提供してもらったのですが、その時点で2人の楽曲は完成されていたので、RGB制作途中で、既に第2弾はこの2人の作品だと決めていました。双方ともに、聞いていると音への意識を高めてくれるような素晴らしい楽曲に魅了されて、彼らの芯の通った独特のスタイルが素直にカッコいいと思い、日本ではリリースの少ない彼らの作品を国内で発表したいと強く思いました。

■今回のスプリットとしてのリリースにあたって、お互い意識した事はありますか?
 
KI : 曲は、特に「71:36」用に制作したわけではなく、次のアルバムに用意していたトラックの中から選びました。事前にSABI君のトラックを聴いていたのですが、スプリットアルバムとして、自分のほとんどのトラックが、SABI君のトラックとマッチしそうだったんで、あまり意識せずにやれました。

S : 以前からお互いの音はよく知っていますし、スプリット計画が持ち上がった時点でお互いの収録曲の方向性は掴めていました。また、表面上はお互い特に変に混ざり合う音でもないので、そこまで何かを強くは意識しませんでした。

■タイトルとなった「71:36」について、そして今回注目のリミキサー陣(MACHINE DRUM,RICHARD DEVINE,KETTEL,JULIEN NETO)との関係や依頼した理由を教えていただけますか。

KI : MACHINE DRUMとRICHARD DEVINEはレーベルメイトで、自分がアルバム発表する前に、音作りに関して大変影響を受けました。そんな彼らが自分の音をどうデザインするのか、すごく面白そうでしたし、アルバムにアクセントを付けてくれると思い、リミックスを依頼しました。

S :一番最初はPHASEWORKSのリリースのロードマップに沿ったタイトルが既に決まっていたのですが、諸々の都合で一転振り出しに。最終的にはアルバムのタイトルで変にイメージが定着するよりは、無機的なものにした方が良いかな、と全トラックの総合計時間を提案して、決定。アナグラム的にはGLOBAL COMMUNICATIONの「76:14」と一字違いなんですよね。リミキサーについては、今まで交流があったアーティストの中で、信頼できて、且つもっともコンセプト通りに仕上げてくれそうな人に頼みました。KETTELとJULIENは僕がJEMAPURと立ち上げたレーベル"SAAG"からリリースしたアルバム「HIIRO」に参加してもらったこともあり、かなり以前から彼らとは関わりがあったので、どんな作風かよく分かっていましたので。

■マスタリングはKIYOさんが行ったそうですが、特にマスタリングに関して意識した点を教えて頂けますか。

KI :アルバム全体が統一感を持ち、トラックからトラックへ繋がるような流れを持つよう意識しました。そして、それぞれの曲の核となる部分が生きるよう注意しました。

S :特定の部分に偏りがちな音域に対しての処理と、平坦にならないように。

SABI/KIYO■お二人の作品共に音像というか、とても奥行きがあって深みを感じるんですが曲を創る際に大事にしている事はありますか。

KI :"WARM NOISE"をテーマに、ハイファイになりすぎず、適度なローファイ感を持つようにして、グリッチ音や、ノイズも混ぜつつ、難解にならないようにしています。

S :清潔感。ノイズも、歪んだ音も、細切れにサンプリングした音も、普通にサンプリングした音も、ドローンサウンドも、綺麗な音も、汚い音も、何よりそれらを組み合わせたときにも、清潔であることです。
 

■今までに聞いた音で、一番好きな音、または印象に残っている音はなんですか。

K :ブーンという電線の音。青森出身なのですが、冬の夜遅くとか、早朝に外に出ると、雪が音を吸収して反射音がなく、無音状態の様な感じの中に、ブーンという電線の音だけが聴こえて、冷たい空気と雪とブーン、とても心地よいです。

S :たまに寝入りばなに聴こえるノイズ、轟音。大昔にパークハイアットに泊まったときに聴いた空調音。静寂。

■非常に緻密な音の連なりを感じますが、制作の過程で偶発性を取り入れたりもするのでしょうか。

K :トラックの最初のアイディアは、偶発的に得られたサウンドからであることが多いです。一部をループさせたり、並べ替えたり、それから発展させていく感じです。"Bear in.Warm-Noiz"なんかは4年かけて作ったパズルです。

S :大いにします。
 
■差し支えなければ楽曲制作の際に使用されている機材を教えて頂けますでしょうか。

KI :コンピュータとソフトウェア。主に、Ableton Live、Max/MSP、Reaktor、サンプラーソフト。そして、その他多数のプラグインです。

S :色々なところで作業をしているので、細かな機材までは分かりませんが、ソフトウェアはJeskola Buzz、Max/MSP、Nuendo、ProTools等。なかでもJeskola Buzzは10年近く使ってますが、かなり良い働きをしてくれます。ヘッドフォンはAKGとSONY、マイクはAKG。M-AudioのMicro Track等。モニターはTANNOYとGenelec。

■今後の活動予定に関して何かあれば、教えて頂けますか。
 
KI :次のアルバムのデモが完成したので、そのうちリリース出来ると思います。

S :差し当たってはどうなるかはわかりませんが、模索中のものがなるべく早いうちに世に出るようにはしたいです。

■PHASEとしての活動についても是非教えて下さい。
 
K :すでに取り組んでいるプロジェクトはありますが、まだ公表できる段階ではないです、、ごめんなさい。PHASEWORKSからのリリースではないのですが、前作の「RGB」にも参加している長野のバンド・TENGAKU、静岡在住のJEMAPUR、CUTSIGHとJEMAPURの新たなユニット・DELMAK、そしてMANATHOLとそれぞれのアルバムが年内に発表される予定です。あとは、PHASEのグラフィックデザイナーRIKA ISHIIと、毎回特設のWEBサイトを制作してくれているRAITAくんなど、静岡で活動しているアーティストが静岡で開催するグループ展「脳内アスリート」を手伝います。(http://www.no-nai.com/

■ご協力ありがとうございました。


SABI/KIYOアルバム「71:36」ご購入はこちらから↓


SABI/KIYO 71:36