【連載】 ★ 山本隆のJAZZ IN THE WORLD ★ 2014 July.

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2014.07.09

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7/17(thu)
DOMINIC J MARSHALL /
SPIRIT SPEECH

DOMINIC J MARSHALL ドミニク・J・マーシャル

SPIRIT SPEECH

ORIGIN RECORDS / US / CD / 82659 / 1006078223 / 2014年03月11日 / 2,365円(税込)

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アメリカのレーベルORIGIN RECORDSからのピアノトリオ。たまに「オヤっ」と思う作品があるので注意が必要なレーベルだ。ドイツ録音、アムステルダムでミックス処理、と多国をまたいで作られた。ドミニク・J・マーシャル自身はオランダの人、まだ若い。今年5月16日に行われた「ダッチ・ジャズ・コンペティション2014」では最優秀ソリスト賞を獲得している有望でタレンティッドなピアニストだ。まずは名刺代わりということでこの作品が出たわけだ。ジャケを見る限りは積極的に聴いてみたいという気持ちになれない。意欲を削ぐ可能性もある、と思うが、少しジャケで損をしたかもしれない。いずれにせよ一見して「ヨーロッパのピアノトリオ作品」であるということは、わからない。残念だ。全曲オリジナル曲で、彼のタレントを全面に押し出している。1など聴いたら、もうノックアウトじゃないだろうか。あまり騒がれてないけど、埋もれちゃいけないと思いました。(山本隆)

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7/16(wed)
WES MONTGOMERY / Montgomery And Ervin 4ets - Live At Newport 67

WES MONTGOMERY ウェス・モンゴメリー

Montgomery And Ervin 4ets - Live At Newport 67

PARADOX RECORDS / EU / CD / 630930 / 1006251011 / 2014年06月11日 / 3,780円(税込)

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今日の朝会社来る時に初めて気がついたことがあった。佐川急便の台車クルマに書いてある文字が、TRAN’SPORTとなっていたのだ。あれTRANSPORTじゃないのか?誤植か、とも思ったがそんなハズはない。そこにはちゃんとした理念が隠されているに違いない。ここではN’なのだ。「トランのスポーツ」なのだ。トランは、トランスとかかっているので「向こう側へ行く」とかの意味だ。Transfer (移送する、転任する、送金する)やTranslate(翻訳する)などのTransと同じルーツの単語だ。それでスポーツ。佐川の人たちは、よく走りながら仕事をこなしているのを見かけるが、あれは「輸送スポーツ」という企業理念の現れなのだ、「走りながら輸送業務をこなす」というか、そんな気がしてきて納得したのだった。まぁ解釈は間違っているかもしれないけど、少し晴れ晴れとした気持ちになったのだ。それでこのウェス・モンゴメリーとブッカー・アーヴィン。ボクは大変な勘違いをしていた。「ウェスとアーヴィンの共演か」、そんな時期もあったのかな?と興味を持ったのだった。ジャケのコメントなども最初は見ないので、そう思っていた。今日ちゃんと見たら、ニューポート・ジャズ祭の67年に別々のグループで出演した際の音源をただ半分づつ収録されたCDというだけのことだった。そうだよね、ウェスとアーヴィンは結びつかないからね。とんだ勘違い。こちらは初登場の音源として注目されている。またボーナス曲は、Enjaの『ラメント・フォー・ブッカー』に収録されているものと同じもの。27分吹きまくりは圧巻。誰にもソロをさせない、譲り合いの精神がない(9分40秒ごろでケニー・ドリューがソロを取ろうとするものの、またメンバーもその気になるものの、見事にアーヴィンに無視される局面もある)、唯我独尊孤高の人となって、ひたすらブローする。そのブッカー・アーヴィンに憧れて、昔のジャズ喫茶ではリクエストも多かった。しかし頂点を極めようとする辺りで時間切れとなり、フェイドアウトとなり、B面へと「続く」ということになり(レコードだったからね)、地団駄を踏ませることになっていた。こうやって「ブルース・フォー・ユー」を真剣になって27分も聴いていると、しまいには笑ってしまうのだけど、それが楽しい。いやでもペデルセンのベースは超絶だね。(山本隆)

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7/15(tue)
IIRO RANTALA /
Anyone With A Heart


IIRO RANTALA イーロ・ランタラ

Anyone With A Heart

ACT+ / GER / CD / ACT9566-2 / XATW-00131897 / 2014年03月10日 / 2,808円(税込)

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ドイツの名門レーベルACTからは最近DUO ARTシリーズというのが何枚か出ていてこれもそうなのかと思っていたら、トリオであった。イーロ・ランターラのストリング・トリオでヴァイオリン、チェロの編成だ。イーロは1990年代よりトリオ・トウケットのピアニストで日本でも名声を博し来日もしている。個人的には久しぶりに聴いた彼の作品であったが、アタリであった。圧倒的というかそれなりの存在感を示す彼のピアノと弦楽器が織りなす音楽、ジャズは心に沁みる。とにかく1と2が素晴らしかった。

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7/14(mon)
QUARTETTO DI LUCCA

QUARTETTO DI LUCCA

Quartetto (CD)

REARWARD / ITA / CD / RW152CD / 1006249114 / 2014年07月11日 / 2,700円(税込)

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イタリアのスケーマ(リアワード)からの再発盤、随分前にもこの作品は復刻されていたと思うけどまた紹介。イタリアRCAのレア盤で今でもイタリアなどに行くと高い。先日も北欧のコレクター宅にてこれのオリジナル盤を見てきたが、かなり強気の値段を提示してくる鼻息の荒いレコードだ。「カルテット・ディ・ルッカ」、トスカーナ地方の「ルッカ県のカルテット」というグループ名でピアノ、ヴァイブ、ベース、ドラムスという編成だ。よくMJQと同じ編成と称されるが、MJQが好きだからといって手を出すと、かなり痛い目に合う。違うんだよね。ボクもヴァイブを中心としたジャズは意識して色々聴いてきたけど、「カルテット・ディ・ルッカ」の演奏はMJQの寛ぎ感を排除超越してゆこうというスタンスがあるようだ。そこがボクの好きな部分でもあって、聴いていると、例えばテディ・チャールズを思わせる部分とか、ウォルト・ディッカーソンとか、渋いところではアール・グリフィスとかを想起させてくれたところもある。アール・グリフィスはセシル・テイラーの『ルッキング・アヘッド』に唯一参加作品のある人だが非常に個性的だ。そうだ、時代にしては革新派を狙うヴァイブのカルテットであった。(山本隆)

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7/10(thu)
バーゼルのジャズ聖地に行ってきた


ドイツとスイスの国境。 Landesgrenze(国境)と看板に書いてある。

スイスのバーゼルへ行ってきたが少し失敗をしてしまった。初めてのスイス行にもかかわらず『地球の歩き方』なども購入しないで、何の知識も持たないまま空港を降り立った。迎えのスイス人が来ているハズなのになかなか出会えない。30分ほどして金網の向こうから「ミスターヤマモトっ」と叫ぶ声がしたので見てみると「Mr. Yamamoto Takashi」とよく空港で見かけるカードを抱えた青年が立っていた。金網??意味がわからない。クルマに乗り込み事情を聞いてみると、バーゼルの空港は実はフランス領内にある。ついでに言うとバーゼルはフランス、ドイツの国境に面した街である、と説明された。知らなかった。その空港がフランス領出入口、スイス領出入口と別れているというのだ。ボクはカルーセルを回るスーツケースを受け取ると真っ直ぐに出口を出たのだが、それがフランス領だったという訳。その青年はずーとスイス領の到着ロビーで待機していたので、30分も会えなかったのだった。事前にそれくらいのこと勉強しておけばよかったな、と少し反省してみた。それから宿泊した民宿というかペンションの裏庭を100メートルほど行くとそこは、ドイツとスイスの国境であった。その光景を見て映画『大脱走』のスティーブ・マクィーンを思い出していた。ドイツからスイスの国境をオートバイで飛び越えようとするシーン。あれはこのようなところでの撮影なのではないか、映画を観たのは40年ほど前ながら感激した。それからジャズファンにとって、バーゼルと言えばAtlantisである。かつてエルジー・ビアンキがそこに出演、7inch盤10inch盤のレコードが発売された。その聖地を見てみたいと思い地図を広げながら行ってみた。そうかそうかこのような立地にあるのか。建物は昔と変わってないようにも思える。今はライブとかが少なくレストランとして営業していているそうだ。バーゼル、小さいながらもいい街でした。(山本隆)


ほぼ正面からのATLANTIS

少し俯瞰で撮ってみたALTANTIS

旧市街

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7/9(wed)
オルケスタ・ジャナレーン誌に広告を掲載してみた


6月下旬ストックホルムへ行ってきた。ちょうど2年前の訪問も6月だった。その時はストックホルムらしいカラリと晴れた気持ちのイイ天候に恵まれた。しかし今回はひどかった。寒いのだ。日本の3月くらいの寒さ。こちらとしては夏服しか準備していないので途方に暮れて、ぶるぶる震えていた。しょうがないから夏だけどダウンジャケットを買いましたよ。ストックホルムは今、夏のバーゲン時期で百貨店にはまだダウンやコートなどを展示しているのだ。現地の人に訊くと15年ぶりの冷夏なのだそうだ。結局滞在中はすべて曇りと雨で、あのストックホルムらしいカラリとした青空を見ることができなくて残念であった。そんな時に現地の人から見せてもらったのが、オルケスタ・ジャナレーン(OJ)の最新号でディスクユニオンの買取広告が載っているものだ。ちょうど発売となった。OJには2002年頃にも広告を掲載したことがある。その時は、全部スウェーデン語での広告掲載であったが今回は英語にした。北欧を中心に購読者の幅が広いので、これからの反応が楽しみ。(山本隆)