ディスクユニオン ワールドミュージック・バイヤーズチョイス9月号

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  • バイヤーズ・チョイス

2023.08.30

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ディスクユニオンスタッフによるワールドミュージック・バイヤーズ・チョイス9月号!  新譜も旧譜も中古も私物もサブスクもチャンプルー(ごちゃまぜ)でお届けいたします! 今、ディスクユニオンのラテン、ブラジル、ワールドのバイヤーが本当におすすめしたい良質な作品を一挙ご紹介!!

↓バックナンバーはこちらから↓
https://diskunion.net/latin/ct/news/archive/9



■ROCK in TOKYO
東京都渋谷区宇田川町32-7 HULIC &New UDAGAWA B1F
https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo



Galante / 『TODA UNA ALEGR​Í​A』


スペインから新たに恐るべき才能が登場!バルセロナ出身のSSWによるソロ1STですが、まず緊張感に満ちたオープニングトラックの美しい歌声にグッと心を掴まれます。アルバムは静謐な始まりから多彩な客演を迎え徐々にヴォルテージを上げていき、ここ日本でも最新作が話題となったカタルーニャの歌姫Sílvia Pérez Cruzとのデュエット曲"Al tanto de tanto"で最大の盛り上がりを見せます。様々なジャンルを取り込みバラエティに富んだ内容でありながら決して散漫にならず一貫した完成度の高さは、今年のラテン・ミュージックを代表すると言っても過言ではない凄まじい傑作です。(鎌田)


■渋谷ジャズ/レアグルーヴ館
東京都渋谷区宇田川町30-7 アンテナ21 5F
https://diskunion.net/shop/ct/shibuya_jazz




UMEKO ANDO / 安東 ウメ子『UPOPO SANKE (2LP)』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008692566

安東ウメ子2003年作の傑作が待望のレコード化!2LPに加えライナーノーツもついた豪華仕様で資料としても価値のあるものとなっております。アイヌの伝統音楽の素晴らしいところがギュッと詰まった1枚です。過去作の再プレスも嬉しい限りです。(柴田)


■ラテン・ワールドWEB担当



SINSUKE FUJIEDA GROUP / シンスケ・フジエダ・グループ『μtation / Caravan』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008492665

何年か前にSound Furnitureというアンビエントプロジェクトを渋谷の野外イベントで見てすっかりファンになりました。めちゃくちゃ静かなパフォーマンスをしていたのに隠しきれない色気の為か終了後、会場が沸いていたのが印象的で今でも時々思い出します。 Sound Furnitureではあまりサックスは吹かないけれど、とにかく音色が最高に艶っぽく飛びぬけた良さ。そんな藤枝さんのクラブ仕様のカリビアンダンスミュージック...これはもう相性が良すぎて..!(Ocean)





DORA MORELENBAUM / ドラ・モレレンバウム『VENTO DE BEIRADA (12INCH EP)』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008716788

7月の来日公演も最高だったバーラ・デゼージョの一員、ドラ・モレレンバウムのデビューEPが到着。こちらはブラジルでリリースされた7inchに続いて発表された、Mr.Bongo(UK)からの12inchです。ご存じの方も多いと思いますが、ドラはジョビンやカエターノ・ヴェローゾ、エグベルト・ジスモンチといったブラジル音楽の巨匠だけでなく、スティングや坂本龍一などと共演してきた真のマエストロ=ジャキス・モレレンバウムの実娘。本作もブラジル音楽のレガシーを継承している点ではバーラ・デゼージョ同様ですが、トロピカリア~ノーヴォス・バイアーノスのような祝祭性、バンド性を押し出したバーラに比べると、ドラの作品は古き良きブラジル音楽=豊穣な音楽文化を歌手が体現するというスタイルです。冒頭の「Japão」(ジャパン)が坂本龍一の「戦メリ」オマージュであることは何度も宣伝してきましたが、個人的には今回のレコード化でボートラとして追加された「Dó a dó」がすごくいいなと。同じバーラのメンバーであるゼ・イバーハも自身のアルバム『Marquês, 256』(現状配信のみ)で披露しており、そちらのバージョンも実に素晴らしいです。歌、その背景にある文化をシェアし継承していく、そんなブラジル音楽の魅力が詰まったEPです。(江利川)





MARCOS VALLE / マルコス・ヴァーリ『80TH BIRTHDAY WORLD TOUR T-SHIRT - L』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008712158

これ実際着るとかなりかわいいです。マルコス・ヴァーリは世代もジャンルも超えるミュージシャン=世界共通言語。いろんな現場で会話が弾むこと間違いなし。レコードと一緒にお買い求めください!!!!!(天然水)


■JazzTOKYO
東京都千代田区神田駿河台2-1-45 ニュー駿河台ビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/jazz_tokyo




BEATRIZ PESSOA / ベアトリス・ペッソーア『PRAZER PRAZER』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008681797

今年は女性SSWの良質なリリースが続いています。レイヴェイ、ギャビ・アルトマン、マガリ・ダッチラと才媛たちが新風を吹き込む中、このベアトリス・ペソアの2作目にも驚かされました。1stに続きマルセロ・カメーロがプロデュース/アレンジを手掛けていますが、前作と比べてアコースティック寄りの作風で夏にぴったりのアルバムに仕上がっています。ポップで爽やかなM1,6、愛らしいボッサのM2,7、しっとりと聴かせるM4,9等バランスよく収録されており、照りつける日差しが1日を通して暮れてゆくような充実した聴き心地がします。マルー・マガリャエス好きにはもちろんお薦め。キュートな歌声と卓抜なソングライティングが嚙み合った幸福な1枚です。 (久保田)





FABIANO DO NASCIMENTO / ファビアーノ・ド・ナシメント『DAS NUVENS / ダス・ヌーヴェンス』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008703864

今年の夏はルシア・フメロみたいなフォルクローレかな、なんて思っていたところ、いや今年はアンビエントの夏なのだと言わんばかりのファビアーノ・ド・ナシメント。ファビアーノとダニエル・サンチアゴ(一昨年の『Song For Tomorrow』も名作だった)のデュオだが、いわゆるギター・デュオでは当然ない。一応はギターの音が主体になっているが、あとは打ち込みのビートと、エフェクトがかった幽幻な音世界が広がるだけである。ハーモニクスも駆使し、なんならピアノや、坂本龍一を思い起こさせるシンセも聴こえてくる。どっちが何を弾いているか定かではないが、しかし誰が何を演奏してどんな音を出しているか、なんてことを気にするのは野暮というもの。ただこのサウンドスケープに身を委ね、目を閉じれば、"お盆"という霊性を伴った日本の夏の風情が瞼の裏に浮かんでくる。夏も終わりに差し掛かるころだが、"日本の夏"のサウンドトラックにふさわしい一枚として、この暑すぎる夏を過ごしやすくしてくれたのだった。 国内のみのCDにはサム・ゲンデル参加のライヴ音源をボートラに収録。同じ世界観を保ちながらどこかスリリングなセッションになっていてカッコいい。(逆瀬川)


■吉祥寺ジャズ館
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-24 小島ビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/kichijyouji_jazzandclassic



Mazzeo / 『Dualidad』

良質なアルゼンチン産ジャズ作品を見つけました。アルゼンチンのギタリスト/コンポーザー、Ivo Mazzeo(イヴォ・マッツェオ)です。デビュー・アルバムをリリースしたようで、Apple MusicやSpotifyなどで聴ける模様。(残念ながらパッケージ化はまだのようです。無念。)同郷のピアニスト、エルナン・ハシントのトリオをバックに洗練されたプレイを展開するジャズ・アルバムで、収録されているオリジナル曲も個性と才能が溢れた魅力的な楽曲ばかり。これからが非常に楽しみなミュージシャンです。(中村)


■新宿ラテン・ブラジル館
東京都新宿区新宿3-31-4 山田ビル4F
https://diskunion.net/shop/ct/shinjuku_latin




V.A. (WITH LOVE) / オムニバス『WITH LOVE: VOLUME 2 - COMPILED BY MICHE (PINK VINYL 2LP)』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008710084



Banda22 /『Banda 22』

MR BONGOから10月に発売予定のコンピレーション"WITH LOVE: VOLUME 2"でも1曲ピックアップされている、インディー・ソフトロック~AORな趣のリオ録音マイナー7インチEP。全曲オリジナル曲のようで、特におすすめしたいのが冒頭をかざるジャジー・チューン"MAIO"。たゆたうエレピとサックスが絶妙。同様にエレピをフィーチャーしたブルージーな曲調から、終盤のドラマチックな展開でEPの幕を閉じる"POUCO ADIANTE"、また、フロアユースにも適したソフト・グルーヴィーな"A LUZ QUE BRILHA MEU VIVER"、リオのアトランチカ通りの風景をイメージした"RIO"の全4曲と、完成度高い名盤です♪このバンドの詳細に関してはほとんど不明ですが、ジャズ〜フュージョン寄りな音楽性の反面、主要メンバーのWANDERLEY PIGLIASCOとHELINHO VIDALという2名が同時期にそれぞれ別々のニューウェーブ・グループにも参加していた点が興味深いです。"22"という数字はブラジルの病院の慣習にちなんでいるそうで、ハートウォーミングな作風とは裏腹に多少アグレッシブなバンドだったようです。(金田)




ANTHONY 'REEBOP' KWAKU BAH / アンソニー・リーバップ・クワク・バー『ANTHONY 'REEBOP' KWAKU BAH』
https://diskunion.net/portal/ct/detail/1008192377

暑い日にあえて熱いものを食べるという過ごし方があるように、私は今年の夏はこの作品で夏をやり過ごしていたように思います。 ガーナ出身のパーカッショニストによる今作はグル-ヴィーなアフロ・ファンクといった感じの作品で、とにかくノリが良すぎて一聴してすぐにハマってしまいました。 パーカッションとベースのノリが最高に気持ちいい2曲目「Funkum」、ギターリフなど妖しい雰囲気にサイケを感じる5曲目「Lovin' You Baby」が特にお気に入りです。 ジャケットの本人の笑顔も素敵です。(齋藤)