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タイトルは隔離生活のための音楽という意味でしょうか。漏れ聞こえる放課後のブラスバンドのような長閑さと、知らない街をあてもなく旅するかのような小さな冒険心や不安が同居する、心地よくも緊張感のあるアンサンブル。人と人の直接的なコミュニケーションが制限され、心が荒みがちなコロナ禍の人々にそっと寄り添うような一枚。アートワークも素晴らしいです。



(以下レーベル・インフォより)

This is the time to be slow,
Lie low to the wall
Until the bitter weather passes.

いまは歩みを緩め
壁の傍にじっとたたずむ
厳しい雨風が通り過ぎるまで

(excerpt from Benedictus by John O'Donoghue)

東京を中心に活動中のデュオ、ギデオン・シュークズ(チューバ | オルケスタ・リブレ、渋さ知らズ etc.)と、竹内理恵(バリトンサックス | シカラムータ、ガラヤポリモ、ex海藻姉妹 etc.) によるデビューアルバム。

1. The Black Heath
Blackheathは、ロンドンの南東にある、大きく開放的で、緑豊かな美しい場所です。そこは1348年6月に大流行したペストの犠牲者のための大規模な埋葬地だったと言われています。自治体はこれを真実ではないと否定していますが、その後の1497年、貧しい大衆が決起したコーニッシュの反乱で亡くなった人々が埋葬されていることはあまりに明確な事実です。そして今では時々、夜が明ける頃、何匹もの黒いカラスがこの土地の草(heath)の上にじっと佇んでいるのです。

2. John of the Greeney Cheshire Way
18世紀に北西イングランドで発見された、船乗りのダンス音楽です。大きな2拍で作られることが多い中、この曲は大きな3拍。珍しいリズムが特徴です。
ところでJohn of the Greenとは一体誰なんだろう?

3. Tatlagiin Kholboo
モンゴルの作曲家J.Mend-Amarが西モンゴルの旋律(Tatlaga)を集めて1992年に作曲しました。民族楽器、馬頭琴のための美しい曲です。

4. Chaconne in D Minor
Monsieur de Sainte-Colombe (1640?-1700)の生涯についてはほとんど知られていません。この著名なフランスのヴィオラ・ダ・ガンバの父は、隠居生活…まるでstayed at home、isolationのためにひきこもり、おうち時間を過ごす私たちのような生活を送っていたと思われますが、彼は多くの魅力的な作品を遺し、今日まで数々の音楽家に影響を与え続けています。

5. Iomante Rimse
アイヌの古式舞踏イオマンテリムセは、熊の魂を送るための踊りです。狩猟民族であるアイヌは生活と深い関わりのある熊や動物を敬い、その魂を神の世界へ送り返すための儀式を盛大に行いました。

6. Dormition of the Mother of God
聖母マリアの“眠り”(死)と、天国に昇る前の復活。イギリスの作曲家、John Tavener (1944-2013)による作品です。

7. Praise to the Lord
ドイツの神学者、校長、賛美歌の作曲家であるJoachim Neander (1650-1680)によって作曲されました。30歳で結核に倒れるまでに、彼は60曲をも超える賛美歌を生み出しました。

8. Travel To The Island
17世紀、江戸幕府が布告した禁教令から隠れ、キリスト教を信仰し続けた隠れキリシタン。彼らが口伝えで伝承してきた祈りの歌に“ぐるりよざ”という曲があります。その原曲とされるスペインの聖歌“O gloriosa Domina”と、今も長崎で歌い継がれる“ぐるりよざ”。まるで兄弟のような2曲と、スペインから日本への長い旅を想った1曲です。

credits
Produced by Rie Takeuchi & Gideon Juckes
Mixed & Mastered by Gideon Juckes
Cover Design by Gideon Juckes
Cover Image "Woman in National Dress and Drinking Tea" (1875) John Thomas, National Library of Wales
Poetry Translated by Nao Suzuki