「あなたを好きな理由」新成人のあなたへ...

「あなたを好きな理由」 新成人のあなたへ…
誰しも10代の頃があったんだ…。
若い頃は理解できなかったけれど、大人になった今だからこそ染みる。そんな盤をこっそり紹介。
ディスクユニオン パンク・スタッフによる独断と偏見、偏愛まみれのディスクレビュー。
パンクに触れ始めて間もない頃。
イースタンユースを聴いた勢いで頭を剃り上げ、安い偽物のMA-1とコンバットブーツを履き、スキンヘッズ憧れ族のパキパキ童貞だった高校生の狼工房。
知らないバンドの名前を見るたび「これは俺の知らない世界を広げてくれるに違いない」と、バイトのおちんぎんを惜しげもなくレコード屋にぶち込んでは、狂ったように買い漁り、興奮して震えるような毎日を送っていました。
当時現役だった国内外のバンドから、Discharge、Disorderといったレジェンド勢まで、とにかく手当たり次第に聴いては「うおお…」と感情を燃やしていたあの頃。
そんな中、どこのレコード屋に行っても「これは聴いとけ」「外すな」と持ち上げられまくっていたのが AMEBIX。
「よっしゃ、じゃあ今度はどんな新しい地平を見せてくれるんだ??」と胸を躍らせ、ワクテカしながら再生ボタンを押したわけですよ。
ところが再生した瞬間に出てきた言葉は、「いや、KILLING JOKEじゃんこれ!」という、ミニコンポに向かっての一人ツッコミ。
当時の自分には全く良さがわからない。
なぜこれが“神格化されるレベル”なのか、さっぱり理解できなかった。
そのまま棚の奥に放り込まれ、AMEBIXはしばらく完全に肥やし。
自分は相変わらずハードコアやスキンズばかりを貪っていました。
それから月日が経ち、狼工房もパンクの「パ」の字くらいは理解し始め、極東北海道から都内近郊に引っ越して、社会の苦さをじんわり味わいながら少しずつ大人になっていきました。
ちょうど世は就職氷河期の真っ只中。
学校を出たはいいものの、残っているのは「ロクな生活なんか残っちゃいねえ」状態。
20そこそこのガキだった自分は心が折れ、結局北海道へ逃げるように戻りました。
朝早くから体力的にも精神的にもギリギリな第一次産業の手伝い。
その合間に、亡き愛犬との静かなお散歩だけが心の支えで、耳当て替わりのヘッドホンで音楽を聴く時間が唯一の救い。
ド田舎特有の空がやたら高い夕暮れ、犬に引っ張られながら「東京帰りたいなぁ…」とぼそっと漏らしつつ歩いていたあの日。
そんなとき、不意に流れてきた 「Control」 や 「Sunshine Ward」。
スピーカーの奥に潜んでいた空気の重さや湿度、もさもさの音質の中でも生きてるソリッドさ、そして白黒な世界観に、突然「あ、これ好きかも」と思いました。
まるで急に視界が開けたみたいに、AMEBIXの魅力が腹の底から理解できた瞬間。
なんでこんなにいいものをほったらかしていたんだろう!と、夕暮れの道端でひとり静かに興奮。
それからはしばらくずっとAMEBIX漬け、AXEGRINDERも もちろん定食のしば漬け的においしくいただきました。
クッソ寒い言い方をすると、あれほど響かなかったのが、人生のタイミングが変わっただけで一気に刺さる。音楽って本当に面白いですね。
そこからはメタル沼にも片足どころか全身でダイブし、世界がパッと開けてしまったような感覚に陥りました。
今では東京近郊にまた戻ってきて、気づいたらすっかり“Am I Punk Yet?”状態の大人になっていますが、それでも今でもふとした瞬間に思い出す大事な体験です。
名盤。おすすめ。ってね。
-狼工房(DIW)
向井秀徳をして、bloodthirsty butchers、eastern youthらと並んで札幌の偉大なバンドと言わしめたfOUL。エモに夢中だった高校時代、当時はYOUTUBEにも音源は落ちてないうえに、岐阜の中古CDショップにfOULがあるはずもなく。先にBEYONDSを聴いた俺はそりゃもうえげつないエモバンドなんだろうと期待値ばかりが先行していた。その後上京しディスクユニオン町田店にて初の邂逅を果たしたときは思わず声を出してしまった。ウキウキで帰宅し、再生ボタンを押した瞬間度肝を抜かれた。全然歪んでない!全然エモじゃない!なんだこれ!!なんだかよくわからないというのが正直なところ。クセになるような、ならないような。
その後映画が公開され、劇場で体感するfOULのサウンドに完全にクらってしまった。思い通りにならない人生。それがfOULのサウンドなのだと谷口氏は語っていた。その頃ちょうど大学を中退したり彼女に振られたりしていた俺はそのままfOULに夢中になり。活動再開がアナウンスされたときは速攻でチケットを予約し整理番号2番を勝ち取ったのだった。
語弊を恐れず言うと、病んでいる人間にしか出せない味があって、その旨味は同じく病んでいる人間にしか味わえないのだ。fOULの素晴らしいところは、そういう部分にあるのではないでしょうか。最初こそよくわからなかったですが、私が一番好きなバンドはfOULです。。
-西谷(DS7)


Hi-STANDARD
「Screaming Newborn Baby」
2025年、Hi-STANDARDの新章がスタートした。
自分はこれについて語る術がない、というのも、10代、20代の頃にあまり聴いていなかったので。同年代の陽キャな男子も女子も、3つ下の弟もその友達もみんな大体ハイスタを聴いていた。そういえば高校の同級生のヤンキーなギャルから免許取れたから車に乗せてあげるよ、と誘われ断る間もなくヤン車に乗せられ横浜方面を夜中に爆走、そこで爆音で「STAY GOLD」が流れていた。今思うとヒヤッとするけどそれはそれで楽しかったような気がする。
それでも、90年代後半から00年代初頭のメロディック・パンク・ムーブメントの眩しさに目を背けていたもので、そうこうしているうちにハイスタは活動休止期間となり、それも相まって自分の中で神格化されてしまい、気づいた時には私なんて日陰者が聴いて良いものではないんじゃなかろうかという存在になっていた(あくまでも極狭な自分の世界だけの話)
それから月日は流れ、様々な角度から様々な音楽に触れる中で、いろんなところでハイスタが存在している事実に直面し、改めてこのバンドの存在感、影響力に恐れおののいた。それでも「やっぱりすごいなぁ」くらいの小並感な言葉しかなかった。
そして、2025年9月24日、20時からの生配信があった。仕事終わりの電車で何気なく見始めたものの気づいたら時間を忘れるほどに見入ってしまっていた。
結果的にここで新メンバーの加入が発表となるんだけど、その発表に至るまでの語りがとても良い時間だった。じっくりじっくり言葉を選ぶように丁寧に、行間を窺わせるかの如くの約1時間半だった。時間と経験を重ねてきた人間の説得力が確実にあったと思う。そこで演奏された3曲も本当にかっこよかった。でも、あの時に聴いておけば良かったなぁとは思わないし、今このタイミングで巡り巡って聴くことができて本当に良かったと思う。若さと未熟さゆえにマスターピースの大きさに気づけなかったけど、今年再確認できて良かった。年齢ですべてを括るわけではないけど、若い時分特有の輝きと、ずっと輝き続けるという普遍性は相反するものだからこそ追い求めるのかもしれない、そんなことを感じながら最寄り駅に着き、何とも言えない高揚感に包まれた夜となった。
-笹野(商品部)
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