2009年ベスト・アルバム、いやソウル史に深く刻まれるべき作品が突然リリースされるなんて誰が予想していただろうか。40年強のキャリアを誇るサザン・ソウル界のボスが作り上げたニュー・アルバムは、彼の長年のファンですら思わず絶句せざるを得ない素晴らしい内容に仕上がった。またこの作品は元ブラック・ストリートのデイヴ・ホリスター参加作としても話題になっており、先行シングル「Dance The Nite Away」はビルボードのUACチャートでトップ30にランクインする程の反響を得ている。
収録曲は全14曲。先に紹介した先行シングル収録曲の「Dance The Nite Away」はゆったりしたウォーキング~ステッパーズのリズムに、イキそうでいかないテンポのダンス・チューン。(サム・クックの有名曲のカヴァーではない)「We Both Grown」はデイヴ・ホリスターをフィーチャーし交互にリードをとるR&B風味の曲。それぞれの個性が際立つ作り。「I Need To Know」は70年代のHIレーベルのサウンドを現代のサウンドに落とし込んだような曲。歌が少しアル・グリーンしているのも面白い。「Special To Me」は彼らしさ全快なスケールの大きい厳かな雰囲気のバラード。そんなわけでダンス・チューンからバラードまで一曲も聞き逃せない非常に密度の高いアルバムなのである。
【店舗スタッフ・レヴュー】 これぞリアル・ソウル!本作は歌一筋で生きてきた男の信念が結実した希代の名盤である。メジャー級のコンテンポラリーなサウンド・クオリティーに珠玉の楽曲、そして今まさに絶頂期を迎えているベテランの歌。この三拍子揃った作品の破壊力は、想像ををはるかに超えるものだった。元ブラック・ストリートのデイヴ・ホリスター参加曲「We Both Grown」のようなR&B風味の話題曲の他に、まるでヴァン・マッコイがアレンジを施したような「Dance The Nite Away」や70年代のHI SOUNDを現代風に解釈した「I Need To Know」にソウル・ファンなら幸せのあまり、思わず笑みを浮かべてしまうことだろう。自らがソウル・ファンであることに心から感謝したくなる、そんな素晴らしい内容である。 (新宿ソウル/ブルース館 齋藤雅彦)
