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全体的に、これ以前の都会シリーズよりは内省的で落ち着いたものに、きらびやかなアートワークから白黒のジャケへの転換も非常に印象的でした。破曉 (I)、破曉 (II)は、ディックリー作曲編曲作で、都会的な感覚はそのままに、中国回帰的なアレンジでアジアへの愛情も感じる素晴らしい内容に。広東語による詩的で韻を踏んだ名事な表現と二胡や笛などのアレンジが相まって、伝統的・懐古的な作品に。サンディのMercy、ディックリーをフィーチャリングした「瘋了」を含めるとディックリー主導の作品は4作収録されています。今作は一人の女性の内心をテーマにしており、しっとり歌い上げる曲が多めではありますが、一方で「瘋了」のようなキラーソングも収録されておりそこら辺のバランス感も健在。ディックリー作品以外にも、そのほかにも、スタンダード・ジャズ風のアレンジによる香港BOSSA最高峰のA4「哈囉感覺」は彼女の特徴の一つである吐息を漏れ出すかのような歌唱法、少し気怠いような感じもあり最高です。ほかにも香港のトップアイドルであるダニー・チャンを迎えた作品や、見事なカヴァーソングも収録されており、とにかく全編にわたって素晴らしいクオリティです。

シンガポールの男性シンガーのディック・リー(DICK LEE)の大人気作「エイジア・メイジア」には、サンディ・ラムをフィーチャリングした「情人的眼涙(Lover's Tears)」が収録されており、当時のワールドミュージック好きは、このタイミングでサンディラムという逸材を知ったのではないでしょうか?アジアンポップスへの印象が大きく変わったのもDick Leeの作品ないしサンディラムとのこのコラボ作が成した大功績だと思います。説明不要ではありますが、本作に収録されている心野夜のアレンジ元であるSandyの”Mercy”(久保田真琴、ディック・リーによる共同プロデュース作)なんかもこの時代の最高作の一つに挙げられますね。さて、今作は、ディック・リーのプロデュースソングが3曲収録されていたりと関りも強い一作で、そういった経緯もあってか、日本版のCDにはボーナストラックとして「情人的眼涙(Lover's Tears)」が収録されています、当時のCDお持ちの方は要チェックです。