訃報 ヴァルター・ヴェラー(1939-2015)

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2015.06.16

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かつてウィーン・フィルのコンサートマスターを務め、永らく指揮者として活躍した元ヴァイオリニストのヴァルター・ヴェラー氏が、膵腫瘍のため6月14日に死去しました。75歳でした。

1939年11月30日、当時ナチス・ドイツの統治下に置かれていたオーストリアのウィーン生まれ。幼いころから神童ぶりを発揮し、ウィーン音楽院で名教師フランツ・サモヒルに師事したのち17歳でウィーン・フィルに入団。22歳でコンサートマスターとなり、11年に渡りその重責を担いました。ヴェラー四重奏団を結成するなど、ヴァイオリニストとしての活動のかたわら名匠ヨゼフ・クリップスに指揮を学び、1969年からウィーン国立歌劇場の指揮者として活動を開始しました。
1971-72年にドイツ西部の都市デュースブルクにあるデュースブルク・フィルの指揮者を務め、1977年から活動の拠点をイギリスに移し、指揮活動に専念するためヴェラー四重奏団を解散しています。

イギリスではリヴァプール・フィル首席指揮者(1978-1980)、ロイヤル・フィル首席指揮者(1980-1985)、スコティッシュ・ナショナル管首席指揮者(1991-1996)を歴任し、他にもバーミンガム市交響楽団、ロンドン・フィルなどイギリスのオーケストラと深いつながりを持ち続けました。録音でもイギリスとのオーケストラとの名盤がいくつも生まれています。代表盤として真っ先に挙げられるのは、やはりロンドン・フィルとロンドン交響楽団を振って完成させたプロコフィエフ:交響曲全集(DECCA)でしょう。

近年はベルギー国立管とともにベルギーのユニークなレーベル「FUGA LIBELA」にマルチヌーやグラズノフ、スクなど、それまでヴェラーの録音レパートリーになかった作曲家の作品も取り上げるようになり、ますますの活躍が期待されていたなかの突然の訃報は残念でなりません。

謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。 (©ディスクユニオン / 2015)