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Jagjaguwarから再発された名作“Sapphie”がクラシック・ギターによる形而上学的なソングライティングの極みだったとするならば、今作はそれをピアノで紡いだ、“Sapphie”の双子アルバムであると言えそう。天高く昇っていきそうなほどの澄んだヴォーカルと 、 "白も黒も鍵盤なら" とでも言わんばかりに叩かれたフリーキーなピアノの反復が、少ない音数の隙間にざらついたアシッドの感触を忍ばせる。“Sapphie”から考えてもその音楽性はさらに自由度を増し、現代音楽にも通じる実験的要素と、いわゆるフォーク・ミュージックの持つ芯の強さとを、同じ一音から聴き取ることができるようだ。言葉と抑揚、その余韻に託された豊かな感受性の波が、意識を浚っては返す、ちょっと信じ難いような美の小旅行へと誘ってくれる。
津田沼店 腰原
RICHARD YOUNGS / リチャード・ヤングス