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現代ショーロの最高のカヴァキーニョ奏者であるエンリッキ・カゼスは、その演奏だけでなく、昨今は「ジョタ・カナーリャ」名義で歌手として活動したりしていますが、ショーロの研究家として本も執筆したりしています。その演奏家と研究家の両面を合わもった活動として、『エンリッキ・カゼス・アプレゼンタ・ショーロ歴史物語』や、またブラジル音楽の歴史上における重要人物へのいくつものトリビュート作品などをリリースし、評価を得てきました。そんなエンリッキが今回取り組んだのは、彼のメイン楽器であるブラジルのカヴァキーニョの歴史。
カヴァキーニョはポルトガルからブラジルに持ち込まれた4弦の小型ギター。親戚楽器であるウクレレに鉄弦を張ったものと言えば想像しやすいかもしれません。まずブラジルに持ち込まれたカヴァキーニョはルンドゥーやモジーニャといった都市のポピュラー・ミュージックで使用されるようになりました。それは19世紀の初めのころですが、1870年代にもなるとショーロがそのスタイルを確立するようになり、カヴァキーニョがギターとフルートとともにショーロの基本編成に欠かせない楽器になります。その一方で、この楽器はカーニヴァルなどのお祭りでも演奏されるように。と、そのような広がりを持つようになると、歴史の必然としてカヴァキーニョの名手やイノヴェイターが現れてくるようになります。カニョート、ガロート、ヴァルジール・アゼベート…そしてその衣鉢を継ぐエンリッキ。また名作曲家であるラダメース・ニャターリも若いころカヴァキーニョを弾いていました。
本作はそんな名手や作曲家が残した名曲や秘曲をエンリッキが新たに録音したもの。そのパートナーは7弦ギターを演奏するマルセーロ・ゴンサルヴィスや、パーカッショニストである兄ベト・カゼスなどなど。ヴァルジール・アゼベートの大ヒット曲「ブラジリーニョ」ではじまり、ブラジルの大作曲家エルネスト・ナザレーの名曲で終わる本作は、“歴史”のことを考えなくずにカヴァキーニョのさわやかな響きを聴くだけでも楽しい。
(メーカーインフォより)
HENRIQUE CAZES / エンリッキ・カゼス