ディスクユニオン ラテン・ブラジル・ワールドミュージック バイヤーズ・チョイス11月
ディスクユニオン ワールドミュージック・バイヤーズチョイス11月号
World music buyer's choices
ディスクユニオンスタッフによるワールドミュージック・バイヤーズ・チョイス11月号! 新譜も旧譜も中古も私物もサブスクもチャンプルー(ごちゃまぜ)でお届けいたします! 今、ディスクユニオンのラテン、ブラジル、ワールドのバイヤーが本当におすすめしたい良質な作品を一挙ご紹介!!
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https://diskunion.net/latin/ct/news/archive/9
■ラテン・ワールドWEB&通販担当
https://diskunion.net/latin/

15 15『MARARA』
https://diskunion.net/detail/1009294161
「Simon Lancelotがエンジニアとして参加」の一文で飛びついたアルバム。ポリネシアに浮かぶ架空の島を舞台にエコロジカルなメッセージを紡いでいくというコンセプチュアルなプロジェクトで、サウンドも未来派ズークと呼びたくなる独特の仕上がりです。Bon Iver~Mk.geeあたりのUSインディー勢に推薦の一枚。 (天然水Ⅱ)
■JazzTOKYO
東京都千代田区神田駿河台2-1-45 ニュー駿河台ビル2F
https://diskunion.net/shop/ct/jazz_tokyo

ED MOTTA『TOC-TOC』
https://diskunion.net/detail/1009247456
アニョハセヨ。季刊宅録批評ブラジル特派員左右田鰺(サウダ アジ)です。キムチ鍋の材料を探しに出かけた妻がコリアン餅とまちがえて買ってきたのがこのCD。ブラジルの宅録マエストロ、エヂ・モッタの新作だったのはラッキーなミステイクでした。ひと通り聴いた印象は、シンセベースの快楽を極めた1枚。クロスオーバー時代のスティーヴィー・ワンダーやハービー・ハンコックを想わせる解放感あふれる曲調と相まって、タイトに締まっていながら緩やかという不思議な音世界。気の利いたエレピやテナーのソロが挿入されてジャズ的満足度も高め。ちなみにシンセベースでクレジットされているのはエヂではなくミシェル・リマという鍵盤奏者。前2作にも各種鍵盤やソロなどで参加しており、今回は演奏のみならずプロデュースと編曲にも名を連ねている。ジャケットのエヂ・モッタはどことなく魔術師めいた風貌だが、卓越した音感覚も表現力も魔術的、それもポジティブな白魔術。その名を見かけるようになってから30年以上経つというのに、その間ずっと都会的に洗練された印象を更新し続けている。時代を超越して新しいまま響きそうな永遠のコンテンポラリーポップス。くれぐれも鍋に投入してはいけませんよ。(カイピリーニャ)

ORCHESTRA BAOBAB『MADE IN SENEGAL』
https://diskunion.net/detail/1009282629
アフリカ大陸西端の国セネガルの西端に位置する首都ダカールのナイトクラブ"バオバブ"専属バンドとして1970年に誕生した、その名もバオバブ楽団。生演奏音楽低迷期の解散、そして再結成、メンバーの交代はあっても半世紀以上の歴史を誇る長寿楽団である。長寿で知られるバオバブの木そのままではないか。グループ名は重要だ。元々は結成当時流行していたアフロキューバンジャズを主に演奏していたのが、やがて地元セネガルのサウンドと融合してユニークなアフログルーヴバンドになっていったという。ズバリ"セネガル産"と名打った9年ぶりの新作。前作で再演していた伝統の名曲"Sey"の哀愁を受け継ぎながら、とろんとしたギターが心地よいハイライフなグルーヴで魅了してくれる。近所の公園でも河原でも里山でも古本屋、レコード屋でもいい。どこか外に出かけたくなる音楽はいい音楽だ。しかし大西洋に突き出した魅惑の都市ダカールまで出かけてみたくなる音楽というのは一体いかなる形容がふさわしい音楽なのか。繰り返し聴くうちに長寿を敬い崇めあやかりたくなってくる。楽しく長生きしなければ。(カイピリーニャ)

CATBUG『WAS ONS KWIJT IN MIJ』
https://diskunion.net/detail/1009274567
4年前、ヴァシュティ・バニヤンの再来と言われ、小さな農場を営みながら歌を紡ぐ “ファーマー・ソングライター”として当店のワールドコーナーに届いたのが、ベルギー出身のSSW、キャットバグの2nd作だった。自身のギターを中心としたアコースティックで紡がれる飾らないアシッド・フォークで、彼女の生活がそのまま閉じこめられたかのような日の光と風の生々しいにおいに溢れる傑作だった。しばらく音楽活動から離れた後、2024年に農場にやってくる野鳥たちからインスピレーションを受けた3作目『ムシェメーシャ』をリリース。前作のサウンドにピアノやベース、彼女によるコーラスが加わり、静かに音楽的な洗練を感じさせるとともに、彼女の感情の変化があらわになり、かなしみから光へと向かう、より一層繊細さを増した作品だった。そして、2年ぶりに発表された本作は、ギターと交差するシタールやハープのような響きが神秘的で、冒頭から新たな章を感じさせる。彼女を取り巻く様々な出来事や環境の変化により、なんと一時的に農場を離れる決断をしたそうだ。こちらが勝手に彼女のアイデンティティのように思っていたので驚いたが、自然や動物を通して自分を見つめ、表現をおこなってきた彼女が、本作ではある意味、導かれるように自身の内側へと降りていくことになった。彼女の音楽から感じる魅力は、ありのままをさらけ出す表現の在り方、そこにある彼女の今の姿にむき出しの真実が宿っていることにあるのだろうと思う。彼女にとっての音楽はまったく商業的なものではなく、ただ自分と向き合う術のひとつなのだ。今作では、フルートやストリングス、フリューゲルホルンが登場する。しかし、あくまで彼女がひとりで弾き語りをしている“像”のようなものは変わることがない。彼女に寄り添う自然界の声のように流れていてくれる。とても豊かだ。ここにあるのは暗さではなく、それらが表現として立ちあらわれるときに浄化や癒しに変わる。タルコフスキーの、“何を表現しようとも、(たとえそれが破壊や崩壊であっても)芸術のイメージは希望の具現化であり、祈りである”というような言葉も思い出す。「人だけではなく、動物のためにも歌う」と語っていた彼女の自然、動物、人間への愛は、彼女の根幹に根付いていた希望だった。変わるものと変わらないもの、私たちは彼女の作品によってそのどちらもうつくしく愛おしいものだと気づかされる。(松本)
■新宿ラテン・ブラジル館
東京都新宿区新宿3-31-4 山田ビル4F
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CANDEIA『AXE』
https://diskunion.net/detail/1003177231
サンバ史に燦然と輝く巨匠であり、アフリカ回帰的なルーツ・サンバの伝道者でもあるカンデイアが1978年に豪華客演とともに発表した彼の遺作。 カンデイアはサンバの作曲にとどまらず、反人種差別活動家としての側面も強くあった。1970年代のブラジルは軍政の厳しい統治下にあり、反人種差別運動もまた「反体制的活動」とみなされ、抑圧される時代であった。 そのような時代背景の中でカンデイアは1975年、リオデジャネイロに黒人文化団体の GRANES Quilombo を設立し、文化を通じた人種差別との闘いを展開した。他にも1977年にジャンルの垣根を超えてブラジリアン・ファンクのアーティストと共同で活動を展開するなど、音楽の枠にとどまらない影響力を持つ人物である。 そんな彼が遺した本作はアフリカ回帰的なメッセージに溢れた骨太な作品である。アフリカ系ブラジル人の歴史が持つ悲哀、そしてより良き未来のためのエンパワーメント。そのような本作に含まれたメッセージ性はカンデイアの人生そのものを表現する一本の巨大な筋である。 収録曲の Dia de Graça はデビューアルバムである Candeia (1970)にも収録されており、全く異なるアレンジのため聴き比べるの是非ともオススメしたい。 (加藤)

CELESTINE UKWU『NO CONDITION IS PERMANENT』
https://diskunion.net/detail/1008503322
「スロー・ハイライフという名の静かな抵抗」 1970年代初頭のナイジェリア音楽シーンは、激動と地殻変動の渦中にあった。 1970年に終結した凄惨なナイジェリア内戦(ビアフラ戦争)の傷跡が癒えぬなか、旧首都ラゴスではフェラ・クティがファンクやジャズを強烈な政治性と融合させた「アフロビート」を産み落とし、若者たちを狂騒させていた。 一方で、1950年代に西アフリカを席巻した伝統的な「ハイライフ」は、当時急速に勢いを失いつつあった。 多くのハイライフ・バンドが生き残りをかけ、当時流行のソウルやロックの要素を安易に借用しようと躍起になっていた。 そんな「アフロビートの台頭」と「ハイライフの衰退」という二大潮流の狭間で、全く異なる革新的な道を切り拓いた孤高の音楽家こそが、東部エング出身のセレスティン・ウクウ(Celestine Ukwu)である。 ステージ上では派手な衣装を排し、黒のタートルネックにスポーツコートを羽織るという、まさに大学教授のような佇まいで歌ったウクウ。 1977年、彼は37歳という若さで自動車事故により突如この世を去ってしまう。 彼が率いたバンド「His Philosophies」の名の通り、セレスティン・ウクウはナイジェリア音楽の哲学者であり続けた。 「明日のことは誰にも分からない」とウクウは歌う。だからこそ「いかなる状況も永遠には続かない」という静かなる抵抗のメッセージは現代においても希望であり続けている。 (西原 幸雄)
■ROCK in TOKYO
東京都渋谷区宇田川町32-7 HULIC &New UDAGAWA B1F
https://diskunion.net/shop/ct/rockintokyo

MATU MIRANDA『APUAMA』
https://diskunion.net/detail/1009318020
一足も二足も早くはるの暖かな陽気をコンパイルした怪作がブラジルから登場です!共同プロデューサーはニューアルバム『Ecos À Deriva』も話題沸騰中&ラテン・グラミー賞を見事受賞したBala Desejo『Sim Sim Sim』のミックスも担当したミナスのシンガーソングライターLeonardo Marquesが担当、長年培ったジャズからの影響とChico BuarqueやCaetano Velosoを始め往年の伝統的なMPBサウンドを引き継ぎながら現代的なプロダクションで見事融合させ、アコースティックギターの牧歌的なメロディと軽やかなリズムが織り成す新時代トロピカル・フォークがここに誕生いたしました、都市から都市へと絶え間なく移動する長きツアーを経て故郷への帰還をテーマにした今作『Apuama』は、何処と無く彼の故郷であるセアラー州の清涼感を感じさせられる素敵な1作です。(鎌田)
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