PUNKスタッフによるオススメの1枚!!"STAFF REVIEW"

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2018.09.07

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1998年創刊の前身誌[EXTRA]以降20年間続けてまいりましたFOLLOW-UPはvol.181号をもって休刊させていただきました。が!せめてご愛読いただいていた皆様の為に、この場を借りて【STAFF REVIEW】は継続させていただきます!!


noy / HARD CHOICE BRINGS US THE PAIN

BREAK THE RECORDS / BTR-084 / 営業部:安藤

ある時期爆発的に増殖した「この手」のバンドですが、しっかりと自分達を持っていると感じるようなバンドというのは一握りでした。その多くは今でも活動を続けているバンドである、というのも当たらずも遠からずな事実なのかと。noyはその流れの中でも登場が遅かったと記憶していますが、地道に活動を続け、確かにそのシーンの一角を担う存在になりました。cosmicnoteからリリースされた「DERIVE」でその存在を確かなものにした彼らが、今作にて更なるステップアップを示そうとしています。それは嗜好に没頭するあまりに陥りがちな受け身の姿勢ではなく、自らが発信をしていく事への覚悟を決めた攻めの姿勢であると感じました。仕事をしながら流し聴きをしている際、11曲目の「褪せない遺恨」でズバッと全意識を持っていかれた時の感覚は音楽人として至高の一瞬であったと思います。琴線に触れるというのはこういう事かと。



PALM / TO LIVE IS TO DIE,TO DIE IS TO LIVE

DELIVER B Records / DVBR001 / 千葉店:矢代

前作『My Darkest Friends』が個人的に100点満点だったんですが、今作は200点満点です。M1『Scapegoat』を皮切りにM2『Only Ego』M4『Burn The Silence』など、前半はリフやギターソロの際立った楽曲に度肝を抜かれ、M6『ex Owner is fucked』を境目に後半はドゥーム・スラッジ感満載のドロドロしたパートや魔界チックなフレーズが盛り込まれた、いかにもPALMらしい楽曲にずぶずぶとハマってしまいます。ジャケットの荘厳なデザインも◎。ハードコアでもメタルでもなく、"PALM"というジャンルを確立し得る一枚。DVD付初回限定盤は既に流通分の在庫終了との事ですので、未入手の方はお早めに…。ユニオン限定7inch収録曲の『Useless』も名曲ですので、是非チェックしてみてください。



MULE SKINNER / AIRSTRIKE


F.O.A.D. / FOAD148CD / 営業部:時田

このリリースはあがりました。90's USニューオリンズ・グラインダーの1stアルバム「ABUSE」('96) 以来実に22年ぶりとなるニューアルバム。ABUSEアルバムは個人的に長年愛聴している名作だけに、ブランクも長いし正直そこまで期待してなかったんですがこれがなかなかの快作。さすがに現代的なプロダクションになってはいるものの、タイトでヘヴィ、オールドスクールな中に独自の捻りを効かせたオリジナルのグラインドコアは健在。同時リリースの初期音源集が必聴なのは言うまでもなく、こちらも併せて聴いてもらって損はない良い内容です。



MASSACRE 68 / NO ESTAMOS CONFORMES

DOOMED TO EXTINCTION / DTE27 / 千葉店:内澤

MEXICAN HARDCORE LEGEND!!MASSACRE 68のオリジナル盤は激レア、90年発の大名作1stアルバムが過去何度かCDやリプロ盤での再発はありましたが、ついにオリジナルフォーマットでオフィシャル再発されました!前のめりにつんのめりながらドタバタ駆け回る感覚の怒気を孕みまくった原始的な南米ハードコアの教科書的1枚、相変わらずOlho Secoのカヴァーも最高です。2018年復活作「EL MURO」も良作でしたので未聴の方は併せて聴いていただきたいですし、もちろん愛聴してる南米ハードコア好きの皆様は改めてもう1枚ゲットされるのも良いのではないでしょうか。



KUZIRA / Deep Down

TRUST RECORDS / RCTR1070 / 営業部:牛頭

岐阜県発メロディックパンクバンドKUZIRA。1st/2nd DEMOは驚異的なセールスを叩き出しソールドアウト、初の全国流通盤がTRUST RECORDSからリリース。メンバー全員20代前半と超フレッシュ&活動期間も1年と短いながら抜群のメロディセンスに魅了されました。90年代メロディック要素も感じられながら現代のバンドだと分かるハイセンスサウンド×ボーカルのハイトーンボイスが完璧にマッチング。最近のありがちなペラペラメロコアとは一線を画す、これぞメロディックパンクと言い切れる一枚!ジャケットも最高じゃないですか?ちょっとでも目離してたらあっという間にデッカくなってそうです。



the hatch / OpaqueAge


十三月の甲虫 / JSGM28 / 立川店:中村

今巷で話題の「the hatch」の待望の1STアルバムが遂にリリース。今までのリリース音源がガムだったりZINEだったりでスタンダードな形態での単独でのリリースは今作が初である。MINUTEMENやBIG BOYSといった奇天烈なハードコアバンドを彷彿させる楽曲展開、メンバーの根底にあるブラックミュージックやサンディエゴのカオティック要素も存分に感じられ聴くたびに嫉妬してしまうほどにかっこいい。ライブでのパフォーマンスも圧巻だが、音源で集約されたhatchもメンバーのこだわりを感じられるので心に響くものがある。言葉では伝わらないので聴けばいいんです。



lang / There is no reply, but sweet wind blew

自主 /  / 営業部:青砥

個人的にも長い付き合いになる東京激情ハードコア "lang" 待望の2nd。前々から話には聞いていたスペインでのレコーディングも問題なく終え、同時に行われた現地でのショートライブツアーも大盛況で迎え入れられたとの事で相当高いモチベーションと熱量に包まれながら世に放たれたこのアルバム、良くないハズがないんですがやはり「最高」の一言に尽きます。短編小説を読んでいるかの様に頭の中に浮きあがってくる様々な情景、BGMの様に聴き流すのではなくしっかりと詞の一つ一つを噛み締めて感傷に浸りたくなる世界観。彼等自身も恐らくそんなに意識はしていないだろうし「激情」という括りに入れるのもちょっと疑問を抱く方もいると思いますが、敢えて自分はこれぞ激情!と強く言いたいです。長らく流通されていなかった1stアルバム『調べ』も同時に入荷してますので未聴の方はそちらも是非。ここにきてlangが沢山の人に聴かれて新しく支持を得始めているという事実が自分の事の様に嬉しくてたまらないです。



STIMULATORS / LOUD FAST RULES!

FRONTIER / FRT1137 / 新宿パンクマーケット:石井

BACK TO FRONT VOL.1のジャケとしても有名なNYC PUNKバンドの1st EPが待望の正規再発!内容が素晴らしいのはご存知の通りですが、なかでも特筆すべきは今回初収録の未発表曲。こんなキラーチューンをよく今までしまっておいたな・・・これだけでシングルカットしちゃっても良いくらいの名曲ではないかと。言わずもがなオリジナルはメガレアなので、欲しい人はお早めにゲットしておくことをお勧めします。ちなみに在籍当時はまだあどけない12歳の少年だったHarley Flanagan氏ですが、近年出たソロ作の裏ジャケで大型犬を散歩させている姿は完全に休日の組長のそれでした。人間どう成長するか分からないものですね。



ABNORMALS / Z・E・R・O


SPIDER RECORDS / SPD003 / 営業部:佐々木

現メンバーが導く新たな破壊と構築を彷彿させる前作「黙示録」から1年5ヶ月というスピードで完成させた今作品。前作の闇と光を行き来する起承転結な1枚に衝撃を受けた筆者は「次作は2~3年後なのかな」と1人心待ちにしておりましたが…まさかこんなにも早く拝めるとは。ダークかつポップな疾走感溢れるメロディはより研ぎ澄まされ、Vo.COMI氏が切り拓く世界観には、今作もつい口ずさんでしまう作品ばかり。どうやらボイスレコーダーに録音したCOMI氏の"鼻歌"が作曲の鍵になったらしい(FOLLOW-UP最終号インタビューより)。毎度見返してしまう「あのコ」や「お前」といった誰かを連想させる歌詞はもちろん、各メンバーの絶妙なコーラスにも是非注目して聴いてほしい。現在進行形ABNORMLSを是非一度。



ACCIDENTE / 2011-2015


VOX POPULI / VOX019 / 営業部:黒坂

9/7(土)からの来日ツアーが楽しみなスペイン産メロコア/メロディックパンクバンド"ACCIDENTE"の11年~15年の5年間でリリースした3作品"S/T LP(2011)", "Amistad y Revelion LP(2014)", "Split 7" with DUELO(2015)"を網羅した編集盤!昨年フィンランドアナーコPUNK”1981”を招聘していたVOX POPULIよりリリース。東京70s style/Killer PUNKバンド"NUMBER TWO"のギタリストうしさんからライブのフライヤーを貰い、絶対行きます!と約束し、うしさんがZINEやWEB上で猛プッシュしてるし間違いねえと思って聴いてみたら。。。これは泣きましたね。。。みんなあったじゃないですか、メロディック聞いてぶったまげる瞬間。ハイスタ、SNUFF、LEATHERFACE、FOUR TOMORROW。あの頃受けた衝撃と似たような感覚。2ビートに豊かなコード進行、そして特筆すべきはボーカルBlancaさんの鮮やかできらめきながらも淡々と語りかけるような歌声(PEACE OF BREADファンは絶対に反応すると思う)。いやなんでこんなにも感動するのかと思い、マイナー進行が心にザクザク突き刺さる「Juntos ellos y ellas」の歌詞を翻訳にかけてみたら、全ての差別から自由のために闘う決意表明が画面に現れて、ぴっと背筋を伸ばしてもう一度聞き直しました。そういえばバンドのロゴもDISCHARGEに似てる。曲の構成やアレンジも工夫されていて本当に素晴らしいし絶対ライブ行くぞ!