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トゥナイー・ボスコは、ギター&ヴォイスの魔術師ジョアン・ボスコの実弟でSSW。その作風は兄ジョアンを「動」とすると「静」となる対照的なものだが、その清らかで人情味溢れるフレージングは、純ミナスの色合いを持つ才人として活躍。メディア露出などの派手さはないものの、自身の創作にこそ精力を注ぎ込むスタイルで、ミュージシャンズ・コミュニティで敬愛される渋さが魅力のベテラン作曲家である。澄み渡るフォーク・マナーと、ブルージーなペーソスで培われたその楽曲は、独特の味わい深さを醸し出し、数多のシンガーにカバーされているところだが、2011年ソロ最新作は、自身のペンによる佳曲を、素晴らしいゲストと自らの言葉で表現されたキャリア集大成ともいえる傑作に仕上がっている。
同郷の先輩にあたるミルトン・ナシメント、そしてヴァギネル・チゾとのコラボレートが実現したオープニング#1から、その感動が染みてくる。ナイーヴな旋律をハイトーンで優しく響くのトゥナイーとミルトンのヴォイスが包み、ヴァギネルのドラスティックなピアノとカルロス・マルタのソプラノ・サックスが絶妙な音像を残す深い味わいの1曲。続く#2は、若手♀vo.パトリシア・メロディが綴るメロウ・フォーキー・ナンバー。#4では、ゼリア・ダンカンの説得力のある歌いまわしが、ドラマティックに彩るブルージー・トラック。
#7は、音楽活動のポリシーがトゥナイーにも通じる女傑ジャニ・ドゥボキが参加したミディアム・ラテン調の洒脱な逸品。再びヴァギネル・チゾがアクセントを付けるスロー・バラード#7、トゥナイーの豊かな表情が聞いて取れるセルフ・カバー曲を経て、そしてラストは、ミルトン・ナシメントと、今をときめくジョルジ・ヴェルシーロとトゥナイーが集い、疾走するソフト・サンバで締めくくられている。そして最大のハイライトは、エリス・レジーナ晩年の名作「或る女」のラスト・トラックに抜擢されたトゥナイーのキャリア最高傑作「AS APARENCIAS ENGANAM」(#6)。ここでもミルトン・ナシメントとヴァギネル・チゾに、♀vo.でシモーネのヴォーカルも入り、精神世界に訴えかける美メロが最良の形で再構築されている。
何度も聞き重ねるほど、その魅力に引き込まれていくようなトゥナイーの楽曲。繊細でクレバー、それでいて人間味を帯びた音の粒が、今ひとたびの輝きを放つ。MPBファンに再評価を促したい才人として、レコメンド。
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TUNAI / トゥナイー