ルー・リードやレディオヘッド、フレイミング・リップス、ポーティスヘッド、ナイン・インチ・ネイルズといった世界のトップ・アーティストに愛され、ジム・ジャームッシュの最新映画『リミッツ・オブ・コントロール』の音楽担当に起用。さらに日本アカデミー賞最優秀作品賞に選ばれた映画『告白』の挿入曲も担当するなど、世界の第一線で活躍する日本のヘヴィー・ロック・バンド、Boris。今年3月に同人音楽やアニメ・ソング、ヴィジュアル系といった日本固有の音楽、そこに広がるヴァーチャルなトリップ感覚を作品世界にフィードバックした新作アルバム、その名も『New Album』をリリース。彼らの劇的な進化は国内外、新旧リスナーの間で大きな話題となったが、この作品でオートチューンとシンセサイザー、そしてインダストリアルなビートによって、Borisの新たな地平を切り開いた「Black Original」のリミックス12インチ・シングルが登場する。

手がけるのは、今年設立20周年を迎える日本を代表するインディペンデント・レーベル、CRUE-Lオーナーにして、欧米のレフトフィールドなダンス・ミュージック・シーンで高く評価されているDJ/プロデューサー、瀧見憲司のプロジェクト、LUGER-EGO。そして、2008年リリースのアルバム『9dw』がアメリカのレーベル、Waxpoeticsよりライセンス・リリースされ、生音を活かしたハイ・クオリティーなプロダクションから繰り出されるエレクトリック・フュージョン/ブギーが海外に一躍知れ渡った斉藤健介のソロ・プロジェクト、9dwという2組だ。

Luger-Egoは、マッド・トライバルなドラム・トラックとノイジーかつシンナー・サイケデリックな上モノ、そしてニュー・ウェイヴ・ファンクなベース・ループとヒプノティックなベースラインを曲中で交錯させながら、カオス空間に誘う「Luger-Ego Remix」とその狂気性を更に増幅させたLUGER E-GO Re-Boost」の2曲を提供。一方の9dwは、2009年にBorisとのスプリット・シングル「Golden Dance Classics」のリリースや今年5月にアメリカのレーベル、Sergent Houseよりリリースされた更なるBorisの新作アルバム『Heavy Rocks』収録の「Galaxians」にシンセサイザーで参加。Borisをよく知る彼のアプローチは、原曲のアグレッシヴな勢いやロック・フィールを活かし、従来の作風から考えると、アッパーなディスコ・リミックス「Black Magic Original Woman」へとトランスフォーム。3曲ともにダンス・フロアの新たな起爆剤として、またクラブ・ミュージック・シーンからの返答を通じて、Borisの謎めいた世界の足がかりになる可能性に満ちた刺激的な一枚だ。(text : Yu Onoda)