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マット・ピアソン・プロデュース〜ダイナ・ステファンス新作
ブラッド・メルドウ,ジュリアン・レイジ,ラリー・グレナディア,エリックハーランド完璧な布陣!秋の夜長にぴったりのバラード集
1978年生まれ、アル・フォスターや、ケニー・バロンといった今や、レジェンドというべきアーティストに抜擢されてきた一方、アンブローズ・アキンムサリ(82年生)、テイラー・アイグスティ(84 年生)といった同世代アーティストと、シリアスに音楽をクリエイトしてきたことで、大きな注目を浴びるダイナ・ステファンスの最新作品。
オランダのCriss Cross からも作品をリリースする一方、Sunnysideでの第一弾作品『That Nepenthetic Place 』は上記のアイグスティやアキンムサリ、そしてグレッチェン・パラート, ジャリール・ショーら長年の朋友らを迎えた作品で話題になったものでしたが、Sunnysi deレーベル第二弾は、その対極を行く意味で、また注目です。
プロデューサーには、マット・ピアソンを迎え、ピアノにはブラッド・メルドー。ベースにはメルドウの紹介によりラリー・グレナディア。ドラムには、ステファンズのファースト・アルバムにも参加し、グレナディアとは名コンビであるエリック・ハーランド。そこに、まだティーンエイジャーであった頃から、ステファン自身も畏敬の念を抱いたというジュリアン・レイジが参加するという超豪華な布陣。しかもこのメンバーで、バラードに絞った作品なので、強いコンセプトを感じさせるものといえます。
作品は、このメンバーだからこその、思慮に富み、美しいサウンド。期せずして、トリビュートとしての意味合いも加わった、ホレス・シルヴァーの名バラード“Peace”に始まり、カルロス・ジョビンにピアソラ、ジャズ史上の隠れた名作曲家ブルーベックなどによる巨匠の残した楽曲を描き上げるサウンドは、< 端正>で折り目正しいものがあります。しかし、この端正さは豪華メンバーが集まったからだけではないでしょう。
楽曲によって、ステファンスは、ソプラノ、テナー、バリトンと、持ち替え演奏。中でもM4 の“ザ・グッド・ライフ”は、ドラムレスとして豊かでのびやかな音空間を創ることに成功。また白眉なのは、2 つのモリコーネ・ナンバーで、“ザ・グッド・ライフ”同様にドラムを排した“ブラザー”は、ゴスペル的な哀愁をソプラノで優雅に響かせており、『ワンス・アポン・ナ・タイム・アメリカ』の“デボラのテーマ”では、楽曲が湛えたノスタルジックなメロディを哀歓深く演奏。繊細なメルドウのピアノ、スペイシーな音色でノスタルジーをかきたてるレイジのギター、懐深くつづるステファンスのテナー、そして寄り添うべースとドラム・・・。またトニー・ベネットのヴォーカルで知られるM2や4 のようなナンバーも注目です。
秋の夜長のバラード集。キリっとした空気に染みる作品です。(新譜案内より)
■Dayna Stephens(sax),
Brad Mehldau(p),
Julian Lage(g),
Larry Grenadier(b),
Eric Harland(ds)
DAYNA STEPHENS / デイナ・ステファンズ