●ジェフ・ベック追悼。60年代ベスト・プレイ集!
●ブルースにブギーにボレロ。ベックのロックなギターが冴える!

2023年1月、急逝したジェフ・ベック。
誰が名付けたか・・『ギター殺人者』。それもうなずける。ジェフが繰り出すギターフレーズのひとつひとつが「ライヴ」であり、1音たりとも同じ音、同じ瞬間は無い。
そんなジェフが60年代に残した名演をコンパイル。
ヤードバーズでのデビューから、ソロ。そしてロッド・スチュワートと組んだジェフ・ベック・グループ。
更にはデビュー前のバンド「トライデンツ」やゲスト客演などのレアトラックも網羅し た、こだわりの名演集だ。

まず本版は、これぞジェフの看板曲とでもいうべき「ジェフス・ブギー」で幕を開ける。
速いハンマリング・オン、プリング・オフの連続で、ギター教則のようなインスト・ナンバーだが、「メリーさんの羊」や、「始業チャイム音」など、楽しいフレーズが盛りだくさん。
そののちのジェフのギター。トリッキーさを印象づけた代表曲だろう。

ジミー・ペイジと圧巻のツインギター編成を組んで、全米ツアー中に突如脱退を表明したジェフは、ソロ・シングルを1967年に発売する。それがスマッシュ・ヒットとなった「ハイ・ホー・シルバー・ライニング」だ。
スウィンギン・ロンドンを感じさせるポップソングだが、ギター2本を重ねたソロが間奏で聴ける。
ここにはオリジナル・モノ・ミックスが収録されている。

エリック・クラプトンの後釜として加入したヤードバーズでは、いきなり「フォー・ユア・ラブ」がヒットすると、続くシングル「ハートせつなく/Heart Full of Soul」では、ジェフが初めてレコーディングで結果を示す。
スタジオに招かれたシタール奏者を帰して、ジェフがファズやトーンベンドを使って、イントロフレーズをギターで表現する。
その奏法は、ここではBBCでのライヴバージョンで聴ける。

代表曲「トレイン・ケプト・ア・ローリン」は、歌詞を変えて録音した「ストロール・オン」も収録されていて、双方の違いを聴くことができる。
とくに「ストロール・オン」は、ジミー・ペイジとの爆音ツイン・ギター編成での貴重な録音で、映画『欲望』でも使われ、ジェフが劇中にギターを叩き壊すシーンが話題となった。
ここにはその破壊音ノイズなどがダビングされていないクリーン・ミックスで収録されている。

そしてハードロックの時代を告げる、キース・ムーン参加の「ベックズ・ボレロ」は、終盤に逆回転ギターが聴けるオリジナル・モノ・ミックスを収録。
ロッド・スチュワート、ロン・ウッドが加わったJ.B.Gでは、レコードデビュー前のBBC放送での珍しいライヴや、シングルB面の「ロック・マイ・プリムソウル」は貴重な別バージョンで収録されている。

瞬間に見せるリックの煌き、予測不能のフレーズ。
ジェフ、貴方のすべてのプレイに感謝したい。

★全曲解説、5,800字、日本語ライナーノーツ、8頁。
★日本著作権協会JASRAC許諾商品
★ Getty Images Japanのライセンス写真使用ジャケ