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2009年のマリア・ガドゥに続く、本年の気鋭ブラジル♀シンガーの本命とされる注目アーティスト、ベアトリス・マソンがデビュー。
そのタイトルは「MOSAICO(モザイク)」。リオに生まれ、多様な音楽に触れて磨かれたベアトリスの柔らかく自在なヴォイス・ワークと、エドゥ・クリエゲール、ペドロ・ルイス、マルセロ・カルディ、シコ・ピニェイロといったMPBシーンの新時代を切り開く作曲家と、想像力豊かなミュージシャン(マルコス・スザーノ、ジョルジ・エルデル、ガブリエル・グロッシ...参加)とが創り上げる多面体の音像芸術である。
儚い泡が漂うようなプログラミングとハープが心地よく鳴るM1に、アルゼンチン音響派通じるセンスをまず感じずにはいられない。続くブラジル南部のSSWヴィトール・ハミル作M2はバンドネオンをアクセントに悲哀な世界観を絶妙な声色で表現。続くM3は、ソリッドなエレトロボッサ調に仕上げたスザンヌ・ヴェガのカバー。エレピ・コードとギター・カットな不思議な癒しをもたらすロック・ナンバーM4を経て、かのマリア・ヒタのデビューを想起させるしなやかなアーバン・ビートが綴られた中盤へ。そしてソフト・マルシャ的アレンジのM10で和ませ、ラストはアルゼンチンの知性派SSWホルヘ・ドレクスレルのメロウなフォーク・ナンバーで締めくくる。色彩豊かでありながら、スタイリッシュなモノローグ然とした聴き味は、ベアトリスの優しく知性的でフェミニンな存在感を投影しているに他ならない。新たなビューティ・シンボルがここにまた誕生した。
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BEATRICE MASON / ベアトリス・マソン