2003年に録音されたチャーリー・ヘイデンとジョン・テイラーのデュオ。ヘイデンと言えばデュオ名人とでも呼べるほどにデュオ作が多く、また高いクオリティを保っていますが、ここでの演奏でもその例外ではありません。ジョン・テイラーの硬質なピアノと、そこに影のように忍びよるベース。まるでこの演奏に即興なんて無いのはないかと思ってしまうほどの一体感で、しかしどこか儚ささえ感じさせる演奏。そしてそれは弓で鯨の鳴き声を模した、9分以上に渡る名演「Song For Whales」からドン・セベスキーの美しいバラード「Bittersweet」で頂点に達します。ケニー・バロンとの名作『Night And The City』が端整な輝きを放っているのとはまた異なり、息を呑むほどの緊張感と崇高なまでの美しさに溢れた一枚。誤解を恐れずに言うならば至高の芸術作品として位置するのではないでしょうか。
