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※USBメモリ(収録音源は48kHz / 24bit)
故・菊地雅章の甥にして、現代音楽からフュージョンまでを股にかける異才・菊地雅晃が、10年以上に渡って取り組んできたプロジェクト「2ベース・カルテット」がついに音源として登場!
ジャズにおいてベースが2本という編成は珍しいが、これまでにも全く存在しないというものでは無い。
古くはオーネット・コールマンのダブル・カルテットから、近年ではジョシュア・レッドマンまで、著名なジャズメンもトライしている編成であり、名盤もそれなりに存在している。
フリージャズをベースにしたカオスなものから、2台のベースをしっかりとアレンジしたものまでさまざまだが、菊地がここで目指したものは、そのどれとも微妙に異なる。
それは菊地の言葉を借りると『バスフルートの虚ろな響きと、コントラバスの弱音のアルコのビブラート無しのロングトーン(ハーモニクス含む)のアンサンブルと、クールな生ブレイクビーツドラムの融合』であり、現代音楽からクラブ・ミュージックまで、20世紀に生まれた音楽を大きく縦断する試みとも言える。
本作では、前半が菊地のオリジナル曲、後半は有名なスタンダード・ナンバーとなっている。
特に前半の菊地オリジナル曲パートでは、ポリリズミックな2台のベースリフとブレイクビーツが印象的なM2「Atlas」から、完全即興に聴こえながらその実、ほとんどのパートが譜面に記されているという45分にもおよぶ大曲「Arreignment」まで、どこを切っても菊地の意図する仕掛けが充満しており、その才気と10年間の成熟したバンドの姿を堪能できる。
一方のスタンダードのパートでは、前半と比べると幾分かリラックスしたムードになっているが、その中で2台のベースがうっすらと醸し出すえも言われぬ妖しさに注目してもらいたい。
ここまで菊地のことばかり触れてきたが、他のメンバーの卓越した手腕があってこそというのは言うまでも無い。
今や日本ジャズ界において欠かせない存在とも言えるもう一人のベーシスト、千葉広樹。
菊地のアルバム『on forgotten potency』でも目覚ましいプレイを聴かせるフルート、松村拓海。
そしてこのボーダーレスなバンドに最適とも言える、ジャンルを越えて活躍するドラマー、イトケン。
彼ら個人個人の豊かな音楽性の上に成り立っているバンドでもあり、その意味では非常に「ジャズ的」な聴き方でも楽しめるバンドである。
MASAAKI KIKUCHI / 菊地雅晃