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※デジパック

NY在住のピアニスト、井川弥生の2005年作品。
ドラムにタイショーン・ソーリーを迎え、疾走感溢れるオリジナル曲を展開。

NY在住の日本人ピアニストの作品。いずれも疾走感に溢れたスリリングなオリジナル曲ばかり。冒頭からドラマーのリズムのキレの良さに惹きつけられるが、それもそのハズ、ヴィジェイ・アイアーのバンドFIELDWORKのメンバーとしても知られ、デイヴ・ダグラスのツアー・メンバーとしても活躍する、注目の若手黒人ドラマーのTYSHAWN SOREYが参加。冒頭から、目にもとまらぬ速さで繰り出される彼のリズムに喰らいつく井川さんのピアノもダイナミックでモーダル。しかし、荒削りでは無くバラードではメロディを丁寧に奏でている。黒人霊歌を思わせるスピリチュアルな出だしから激しいドラムン・ベースへ、そしてラストには童謡「赤とんぼ」のフレーズまで飛び出すユニークなラスト・チューン「MOTHERLAND」は秀逸。VIJAY IYERや彼女が師事したジェリ・アレンなどのファンの方にもオススメ。

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原田和典さんの連載原田和典のJAZZ徒然草 第113回は、卓越したカメラ・ワークでジャズ・ピアニストの妙技に迫るストリーミング・ライヴ・シリーズ、「ニューヨークからのラブレター」。そのアシスタント・プロデューサーを務めるピアニストの井川弥生さんに番組のこと、そして現在のNYのジャズ状況についてメールで質問してみたぜ という話だったので興味深く拝見した。
井川弥生さん懐かしい名前。今日はそんな井川さんのCDのこと思い出して書いてみたい。
2005年、15年前に井川さんのこのColor Of Dreamsが入荷した。どういう経緯で仕入れしたのかは、どうしても思い出せない。当時こんな文章を書いていたようだ。
この作品9月初めくらいに紹介しようと思っていたのが、先延ばしになってしまい遅れていた。
売れ行きも好調のようで現在入荷待ちの店が多いみたいだ。
井川弥生、東京生まれの彼女、実は2004年クラウンレコードからファーストアルバムをリリースしている。
この作品はセルフプロデュースによる自費制作盤で、自身の音楽探求から習得したものを残したいという意図から生み出されたもの。
井川自身のノートにも記されているけど、「喜び」「悲しみ」「愛」「情熱」「平和への願い」・・・普遍的な感情を表現したかったそうだ。
レジー・ワークマンが最も強い音楽的影響を受けた師匠であるらしい。またマリリン・クリスペルや感情表現の方法がジェリ・アレン、捻じれ具合がポール・ブレイを彷彿させるところがあって非常に個性的な自身の手法を持っているミュージシャンだと思う。(当時のコメントより抜粋)
最初に出てくるクラウンの作品は、女性トリオによる作品『スリー・エンジェルス エンジェル・アイズ』のことで、スタンダード曲を演奏しているようだ。ただ、いまだ聴いてことはない。「インビテーション」どんな雰囲気なのか興味あり。
この作品『Color Of Dreams』は当時大騒ぎして彼女の登場を喧伝したように思う。2000年代、2005年ごろはピアノトリオ作品が人気で、多くのエンスージアスト(熱狂的なファン)が日夜レコード店に日参し、「何か発見はないか」とパトロールに余念がなかった。
そして彼女のオリジナリティは、エンスージアストに迎えられた。最後の曲「Motherland」では、赤とんぼのフレーズが聴こえてきて、ウルウルする場面もある。
2014年には、マイケル・カーヴィン・エクスメンタルに参加、『Flash Forward』を録音、存在感を示した。
マイケル・カーヴィンのことは名前くらいしか知らなかった。2012年ニューヨークで「リメンバリング・ウィルバー・ウェア」を観た。ドスン、ドスンとやたら要所でキメルドラムが、凄いと思った。それが彼だった。寺島靖国さんが、「これなんだよジャズのドラムは」と泣いて喜びそうなドラムスタイル。スーツもバッチリと着こなして、往年のジャズドラマーという風格だ。ジャッキー・マクリーン、ファラオ・サンダースなど多くのビッグネームと共演しているベテランだ。そんな人物と一緒にジャズできた経験はどんなにか素晴らしいものだろうか。
今後の活動も気になる井川弥生さんだ。
(山本隆)

■YAYOI IKAWA(井川弥生) (p)
TYSHAWN SOREY (ds)
JIM ROBERTSON (b)