ここ日本の洋楽史上の中でも、知名度といった点ではかなりの上位にランクされるであろうスリー・ディグリーズ。70年代中期には日本語バージョンのリリースや頻繁に来日しての公演は勿論、レコーディングや音楽祭参加、TV出演などで様々な方面に露出、コアなリスナー以外でも、名前だけは知っているというアーティストなのでは。しかし現在は邦題『荒野のならず者』でお馴染みのPIRデビュー作他極一部の作品以外、ベスト盤のみが店頭に並んでいると言う状況…。そんな中、EPIC原盤のこの77年作『STANDING UP FOR LOVE』がようやくの初CD化。しかも日本でレコーディングされたシングル・オンリー曲など、注目のボーナスを追加したエクスパンデット・エディションとして、初のリイシューとなります。
オープニングのファンキー・ディスコ・ナンバー「Standing Up For Love」はジョージ・クリントンの手によるもので、彼女達の持ち味であるポップな味わいは残しつつも、よりファンキーな時代に即した方向へのアプローチといった点が伺える。ヴォコーダーも使用したファンク・チューン「Macaroni Man」のブルージーな魅力も、結構イケてます。が、やっぱり安心するのは「People With Feeling」のような華麗なストリングスが舞い、キャッチーなメロディがはねる一番フィリー・テイストの強いアップ。これがあると、やっぱり引き締まります。他はスロウで占められているのですが、ミュージカル『コーラス・ライン』からの「What I Did For Love」や前年ヒットを早速カバーした「We're All Alone」などかなりポピュラー寄り。そんな中、スウィート色強い「Gee Baby」はオススメで、三分弱の短さが悔やまれるほど良く出来たスロウです。そしてやはり触れておきたいボーナスの充実さ。「Do It (Use Your Mind)」はここ日本でレコーディングされ、クレジットも日本人の名前がある特にゆかりのあるナンバー(作曲に惣領泰則、アレンジに深町純)。これは当時を知るリスナーにとっては嬉しいでしょう。そしてイギリスではこの曲をB面にしてシングル・リリースされた「Toast Of Love」。「恋に乾杯」という邦題の方がお馴染みでしょうか。基本的にはノットオンLPのようですが、ここ日本では編集アルバムに収められたこともあるとのこと。まるで日本人のために行われたリイシュー?というのは言い過ぎかもしれませんが、嬉しいことには変わりありません。とにかく祝、初CD化です!
*インフォメーション段階で収録予定だった Do It (Use Your Mind) - Disco Version はレーベルの都合により収録が見合されております。
