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過 去の焼き直しは絶対にやらない、Kitsuné は永久に姿形を変える未来志向で、画期的なサウンド・イノヴェーションや楽曲のディレクションに数々の新 しさを見出しながら、新世代の才能を常に応援し続けている。そして、17 作目ちなる本作は、《Kitsuné》のインディー・ポップ魂がしっかりと宿っ た素晴らしい作品集となっている。
▼各曲解説
1. Parcels / Herefore
この新顔の18歳のグループはオーストラリアのバイロン・ベイ出身で、彼らの
最近リリースしたデビューEPがきっかけとなって現在ネット上でちょっとした
話題になっている。彼らの強みがまた違った多種多様の感覚から生まれる組合
せにあるかも、ということで、彼らは、世界を席巻する熟成したバンドになる
べく現在ベルリンに移住して活動中。
2. Danglo / The Morning
ロンドンを拠点に活動する魅力的なプロデューサー/DJのDangloは、すぐさま
素晴らしい才能であるとわかる。彼の独創的で変幻自在のハウス・サウンドは、
競争の激しいこのシーンのなかで実に爽やかで強烈であり、したり顔でいる
オーディエンスはもとより聴くものを虜にしていく。
3. Chiefs / Demon ft. Beayz
またもオーストラリアはメルボルンから出てきたプロデューサー、Chiefsは
平均的オージー・ファッションのなかにある強烈なまでのユルさ、そこから
得た感覚をいろいろ組み合わせているのだが、なんとそれがちゃんと機能して
いる!そのバタバタとしたビート、粗野なR&Bボーカル、レゲエの裏打ち
コードが絡み合ってオリジナルなトラックを作り上げ、それは呆れるほどに
中毒性が高い。
4. MUNA / So Special
LAのトリオ、Katie Gavin、Josette MaskinそれにNaomi McPhersonからなる
Munaはダーク・ポップの世界を日々探求している。奔放なリリシズム、
フォーキーな語り口、そしてR&B的官能性が楽曲So Specialにおいて、
スタジアムを熱狂させるようなアンセムとしてのクオリティをもたらしている。
5. Daunt / This Body Rushes
ロンドンをベースに活動するDaunt、それまで長らく活動していたバンド・
プロジェクトから離れ、一大決心しソロで行くことに決めた。
彼のグルーヴィーなトラックはシンプルでメランコリック、現代社会における
曖昧さを呼び起こし、そこでは孤独と人付き合いの中でもがく自分を感じてしまう。
6. Bad Bad Hats / Psychic Reader
Kerry Alexanderはかつて彼女の母のシャワールームでデモを録ったり、90’s
ポップス・カヴァーをオープンマイクの場で歌ったりしていたが、
その後ミネソタ・カレッジの友人二人とBad Bad Hatsを結成。その4年後、
このPsychic Readerがきっかけとなり、現在注目を集めている。
7. JATA / The Curse
ベルリンの若手プロデューサーJATA、彼は自身のデビューEPの高評価に
よって、いちアーティストとしてその存在を知らしめることになった。
ヒップ・ホップやジャズ、チルウェイヴ等さまさまな影響をブレンドしながら、
リードトラックThe Curseは注目のスタートとなった。
8. Mylko / Animal
音楽制作、楽曲制作において、王道的なコンセプトに熱く異を唱えている、
メキシコを拠点に活動中のデュオ、Mylkoは変態的リズムアクションと前例の
ないサウンド作りを意識している。音楽学校において彼ら二人がドラマーとし
てスタートを切ったという事に、誰もが頷けるはずだ。
9. Cesare / Want You ft River
信じるか信じないかは別にして、Césare Brasileiro Sampaio de Souza Vieira
de Oliveira(セザールの本名)はブラジル・サッカー界で成功した人物であった。
引退後イパネマに移り、ビーチ沿いで音楽制作を始める。今回は女性シンガー、
Riverとタッグを組み、その中毒性の高いサニー・ポップ・ディスコに、聴くも
のは虜になること間違いなし。
10. Kita Alexander / Go My Own Way
もう一人の若き天才はオーストラリアから、Kitaは8歳で歌とギターを始めた。
Port Macquarieマーケットにある、母が切盛りするフルーツ売り場で
カバーソングを歌いながら、ライヴを始めた彼女は、一切振り返る事もせず、
ロンドンやLAまでコラボ相手探しに奔走している。
11. Kafka Tamura / No Hope
日本のシュールレアリズム小説の主人公の名前をバンド名とする、イギリス人
のトリオKafka Tamuraは、2012年サウンドクラウド経由で出会い、その後すぐ
彼らの繊細なインディー・ポップ・サウンドが注目を集めるところとなった。
シンガー、エマのか弱くもパワフルな歌声を中心にこの偉大なNo Hopeは現実
と夢の間を行き来している。
12. MOTHXR / Stranger
ブルックリン在住のプロデューサー、Jimmy Giannopoulosとヴォーカリスト
Penn Badgleyの着想から生まれたプロジェクトMOTHXRは、一癖あるポップと
いう美学のもと、それに誓ったサウンドが出来上がるのを辛抱強く待ち、
ついに現代的でありそれにメランコリックな感情が入った楽曲が出来上がった。
13. Beach Baby / Ladybird
ロンドンをベースに活動する4人組、Beach Babyはゴールドスミス・カレッジ
という音楽的にも恵まれた環境で誕生し、彼らのフレッシュでUSライクなこの
オルタナティヴ・ポップ、一聴してお気に入りになるはずだ。
LadyBiedは間違いなくみんなで一緒に歌える楽曲。
14. Harrison Brome / Fill Your Brains
Harrison Bromeが歌うゴスペルの倍音や落ち着いたハーモニーは、忘れがたい
ほどに厳粛な体験となり彼の故郷、バンクーバーのどんよりとした天気を呼び
起こすだろう。Fill Your Brainsで、このアーティストが評価に値するアーティ
ストの中にいることが垣間見える。
15. Grace Lightman / Vapour Trails
このロンドン拠点のシャンソン歌手は、自身のデビュー曲Vapour Trailsできち
んとその印象を残し、ケイト・ブッシュの詩的奔放さとバロック的官能性をす
ぐに思い起こさせながら、Grace Lightmanの透明でその甘い歌声は、いつでも
聴くものの心の琴線をゆっくりと捉え、忘却の彼方へ連れ出してしまう。
V.A.
2024.03.22
NOISE / AVANT-GARDE
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