- 通販番号
- 1008931910
- 発売日
- 2024年10月08日
- EAN
- 9784845119509
商品詳細情報
歌とギターが語る、人生という名の旅。
時流に染まらず、自分を曲げず、独自の音楽を追い求めた55年。
振り返ってみれば、確かな当てもなく、歌を歌って生きていきたいというだけの思いで、音楽の世界に飛び込んだ。テレビに出たいとか、有名になりたいとか、レコードを出して売れたいというようなことは、全く考えていなかった。
自分の感覚が一般的ではなく、そんなにたくさんの人の共感は得られないという妙な自信があった。ただただ、自分がいいと思う歌を歌って、限られた人でもいい、聴いてくれる人がいて、それで生きていければ充分だと信じていた。
売れるために、人の意見に左右されるつもりはないし、作曲家の先生に作ってもらった歌を、意に反して歌うことなど考えられなかった。どこかの芸能事務所に所属して、指図を受けるなどもってのほか。
………
ぼくの歌は、当初、ギターをもって自作の歌を歌っていたから、なぜかフォークに分類されたが、いわゆるフォークではない。ではなんだと言われれば、シャンソンもブラジル音楽も、アメリカのポップスも歌っているので、説明に困る。ただ好きな音楽を、ギターを奏で歌ってきた。
長い歌手人生のなかで、何度か仕事として歌うのはもうやめよう、もう歌うことはできない、と思ったときもあった。それでもつづけられたのはなぜなのか。よくいままで、歌いつづけて来られたものだと、われながら感心する。
九〇歳まで現役だったフランスの洒脱な歌手、アンリ・サルヴァドールの歌に「J'ai vu (私は見た)」という曲がある。ぼくは「人生という名の旅」というタイトルで、レパートリーのなかに取り入れたが、その歌詞の一節を「もう、終わりは近いけど 生きるべき夢がまだあると 心が囁く」と訳して歌った。
デビューして五五年、いままで、何周年なんていうのは気にしなかったけれど、ここまで来たら自分の歌と人生をまとめてみてもいいかな、と近年思うようになった。そんなとき、知人でノンフィクションライターでジャーナリストの川井龍介さんから、人生と歌を本にしてまとめてみないかと提案された。
ぼくの歌をずっと聴いてきてくれて、折に触れてアルバムの紹介記事のコラムを、素晴らしい文章で書いてくれた川井さん。音楽にも精通し、その感覚にも共通点を感じたし、自分の信じることをひたすらに貫いてきた人たちに寄り添い活動しつづけてきた川井さんがそう言ってくれるなら、やってみてもいいかなという思いに至った。
その提案から二、三年たって昨年ようやく川井さんとの長時間にわたるインタビューが実現した。ぼくが語ったことをもとに川井さんが構成し、その後ふたりで、何度もやり取りを重ねまとめたのが本書である。(「はじめに」より
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