■アルバムに収録されている11曲には、自分の中にある2面性と苦闘する彼女の姿が投影されている。ステージで愛や希望について歌うポップ・シンガーとしての1面と、ショウのあと一人バンの中で泣いている、鬱や不安にさいなまれ、インポスター症候群や自殺衝動に苦しむ若い女性としての1面――アルバムの中でJETTY BONESはその2面性を受け入れ、共存するための休戦協定を自分の中に見つけ出そうとしているのだ。彼女にとって自分自身との折り合いをつけるためのプロセスだといえるだろう。「私は問題に真剣に取り組み、まだ解決できないけど、何とかしようと一生懸命になっている姿を具現化したいと思っているの」アルバムについて彼女はそう語る。リード・トラックの「Taking Up Space」には、「チケット代を払って私を見に来てくれる人がいても、自分が求められているかどうか不安に感じる」インポスター症候群に陥った彼女の姿を描いており、そこには自己肯定できない面が、友情やキャリアの選び方、人とのつながりや恋愛関係にまで影響していく苦悩との闘いが、ポップなサウンドで綴られている。ヘイリー・ウィリアムズなどに続く、新生代のポップ・ロック・クイーン候補、JETTY BONES。自分の中にあるダークな問題を赤裸々に綴りながらも、その曲調は明るく、ポップである。だからこそ彼女のサウンドは同世代の共感を集めているのだろう。