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イジー・ゴルドン。パウラ・リマのようなアフロ・ヘアが特徴的だが、実は、ボサ・ノヴァ初期に活躍した女流音楽家ドローレス・ドゥランの姪にあたり、ミュージシャン一家にて生まれ育ったサラブレッドである。若くしてバールで歌い始め、2005年には叔母であるドローレス・トリビュート・アルバムにてデビュー。都会派らしい視点で綴られた現代的なボサノヴァが好評を博し、一躍注目を集めた。プロのキャリアとしては実に20年を誇るベテランの彼女がリリースする新作「O QUE EU TENHO PRA DIZER」。これがブラジル新世代MPBの面白さを集約したような、大変素晴らしい出来栄えなのである。
冒頭曲"De Cada Lado"でいきなり度肝を抜かれる。重いロック・ビートと、どこかチープなエフェクトをかました多彩なキーボードに、パーカッションのアクセントを加えたアレンジ。遊び心でひとつのポップ・ソングへと昇華させる音に心が躍る。さらにイジー自身の作詞作曲の表題曲"O que Eu Tenho Pra Dizer"。アコースティック・ギターをベースにミュート・トランペットやクイーカが空間を巧みに漂う残響のセンスも素晴らしいが、巧みな歌声が曲の中心であることは明白。心地良い高音でかすれ気味に歌う彼女のシンガーとしての実力に魅せられること必至。そんな歌声を支持してかKadu Vianna, Magno Mello, Pedro Moraes, Alexandre Grooves, Gabriel Moura, Giana Viscardi, Michel Ruzitscka ・・・などなど近年ブラジル音楽好きを騒がせたアーティストがこぞって曲を提供しているのも本作の注目点。アナ・コスタを彷彿させるエレクトロ・サンバ"Gata Lúcida"や、より強靭なリズムへと進化したマラカトゥ"Recife Nagô"などなど、ワクワクするようなアレンジで歌われる好曲群はどれも捨て曲ナシ。極めつけはジャマイカ出身の世界的カリプソ・シンガー、ハリー・ベラフォンテの名曲をスティール・パン入りで披露する"Kingston Market / Jamaica Farewel"だろう。多彩な音楽性を持つ新世代MPBアーティストは数多いが、ここまで面白いアレンジを聴かせるアーティストは本当に稀である。
サンパウロ・インディーらしい「やりたい放題」感とアーティスティックな感性の絶妙バランスが面白い好作だ。
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IZZY GORDON / イジー・ゴルドン