ノルウェーの南西部に位置する港湾都市・ベルゲン近郊の街・ヴォス生まれの女性音楽家、マリ・ペルセン。自ら作曲/編曲し、歌い、ヴァイオリンやピアノやギターなど多くの楽器の演奏までこなすマルチな才能が際立つ彼女の2009年のソロデビュー作。“Hans Petter Gundersen”のグループや、来日公演も果たしたノルウェーの人気バンド=“ザ・ロイヤリティーズ”での活動を経て、自らが敬愛してやまないブロッサム・ディアリーはもちろん、3?40年代のゴールデンエイジ・ポップスや60年代の映画音楽など、 彼女が愛する全ての音楽的要素を詰め込み、Ronni Le Tekro (TNT)やMatias Tellez、Tommy Haltbakk (The Royalties)など、現地の敏腕ミュージシャン達に支えられて作り上げられたのが本作『Mari Persen (マリ・ペルセン) [主演 マリ・ペルセン]』です。
一聴で耳に残るメロディに心奪われるアコースティックポップ「01. All In One [あなたのオール・イン・ワン]」から作品の普遍的なクオリティが伝わりますが、同じくノスタルジックな「05. Melody [メロディ]」、ドラマチックな幕開けのボサノヴァ風の「10. Bonnie Michelle [わたしのボニー・ミシェル]」など耳触りの優しい楽曲達に心くすぐられます。一転、緊張感溢れる「03. Criminal [クールな罪人]」、「07. Midnight [ミッドナイト]」、「09. I'm Gonna Get You [虜にするわ]」などのグルーヴィーサイドの楽曲たちは、70年代のソウルやファンクのエッセンスと映画音楽的なドラマ性の高いアレンジで聴かせるという懐の深さ。どこか深いベルゲンの夜を思わせるクールな質感。さらに極め付けは、全てのポップス好きを虜にしてしまうのでは?と言うほどのキャッチーでポップなメロディ、弾けるリズム、優美で華やかなアレンジの「02. Sweetheart [愛しいひと]」、「08. Leo [愛しのレオ]」の2曲。それでなくても素晴らしい作品を、さらに“ファンタスティック・サムシング”に仕立てる名曲たちがここには収録されています。まさに魔法のような珠玉の楽曲たちがずらりと並ぶ、一本の感動的な映画のようにアルバムです。何度でも繰り返して楽しめる大変素晴らしい1枚です。
