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ブラジル・グルーヴィ・シンガーの新女王として10余年のキャリアを経た、ルシアーナ・メロがリリースする通算6作目の新作。これまでの印象を超越し、懐の深いソロ・シンガーとしてさらにステップ・アップを成し遂げた、完成度のMPBヴォーカル・アルバムに仕上がっている。
Making of "Mentira" - Participação Jair Rodrigues
2007年の名作「NEGA」でのディーヴァぶりを落ち着かせ、彼女が「表現者」として挑む11トラックは、いずれも好曲カバーのコンテンツ。シコ・セーザルの豊かなノルデスチ・ポップを取り上げた#1"Descolada"を皮切りに、兄ジャイル・オリヴェイラのアレンジが心地良いバラード・ナンバー#2"Tchau"へと展開。セルジオ・サントスのアルバム・タイトルにもなった名曲#3"Áfrico"で、ソフトなアレンジのルーツ・ブラジルに傾倒した後には、孤高のSSW、ゴンザギーンニャの70'S名曲#4"Recado"を歌い上げる。そして、あのゲーンズブールの世界に入り込んだ#6"Couleur Café"、父ジャイル・ロドリゲスとの共演でホットに響かせる#7"Perto de Mim"、ジャヴァンの傑作アルバム「MALASIA」に収録された好トラック#8"Deixa o Sol Sair"、そして、アルナウド・アントゥネスの知的なセンスが光る佳曲#9"Se For pra Mentir・・・どこを聞いても確かな輝きを放つ。
定評のある絶妙な歌い回しに加え、感情豊かに、等身大の女性の姿を投影するルシアーナの声に、興奮と共に安らぎさえ覚えてくるようだ。ジャジーなテイストと趣味の良いポップ・センスに彩られたサウンド・メークも素晴らしい。MPBファンのツボをしっかりと捉えることのできる、ルシアーナ・メロのネクスト・ステージがここから始まる。
LUCIANA MELLO / ルシアーナ・メロ