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誰も聴いたことのない田中希代子のベートーヴェンの3番(※第1楽章のみ)が日の目を見た!
驚愕の録音がフランス国立視聴覚研究所(INA)に残っていました。1952年に行われた第14回ジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で田中希代子が日本人初の最高位(1位なしの2位)に入賞、そのガラコンサートのライヴ。
田中希代子はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番の第1楽章のみを披露していますが、オーケストラの序奏が終わり、ピアノが最初の音を放った瞬間から魔術にひきこまれてしまいます。輝かしい音、壮絶なまでに激しい演奏で、聴衆の熱狂ぶりが凄まじいのも納得。珍しいライネッケのカデンツァも聴きものです。
ジュネーヴの5年後、フランスの放送用に収録されたスカルラッティのニ短調のソナタと平尾貴四男のピアノ・ソナタの第1、3楽章も非常に貴重。スカルラッティはニッポン放送音源にはなかったニ短調K.9 (L.413)で、さりげなくも主張の強い芸風が表れています。また平尾のソナタは非常な難曲ながらよく弾かれる名作ですが、田中希代子の演奏は火のような情念と超絶技巧で蒼然とさせられます。
ニッポン放送所蔵の超お宝音源は、かつて田中希代子の夫君だった宍戸睦郎のピアノ協奏曲。ニッポン放送が昭和35年の文化庁芸術祭に参加させるため宍戸に委嘱し、同年11月13日に杉並公会堂で収録されたもの。田中希代子の協奏曲セッションは極めて珍しく、また同曲唯一の録音でもあり、その価値は計り知れません。宍戸睦郎はこの曲でピアノの打楽器的な面を強調したと述べていますが、田中希代子の強靭な打鍵とボルテージの高さで作品をさらに高い次元に引き上げています。
(資料提供:キングインターナショナル)
【収録内容】
[1] ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37~第1楽章
[2] スカルラッティ: ソナタ ニ短調K.9 (L.413)
[3] 平尾貴四男: ピアノ・ソナタ~第1、第3楽章
[4] 宍戸睦郎: ピアノと打楽器群と管弦楽のためのピアノ協奏曲(1960)
【演奏者】
田中希代子(ピアノ)
サミュエル・ボー=ボヴィ(指揮)、スイス・ロマンド管弦楽団 [1]
森正(指揮)、ビューネン・グルッペ [4]
録音: [1] 1952年11月10日/ヴィクトリアホール(第8回ジュネーヴ国際コンクール、ガラコンサート。ライヴ)
[2,3] 1957年2月11日/フランス放送スタジオ(パリ)
[4] 1960年11月13日/杉並公会堂(セッション)
INA & ニッポン放送音源
KIYOKO TANAKA / 田中希代子
日本のピアニスト、教育者 (1932-1996)