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エドゥアルド・マテオ周辺のウルグアイものを中心に南米の知られざる音楽をアシッド・フォークやサイケデリック・ロックの文脈で紹介する好レーベル、ライオン・プロダクションの新たな一手はなんとペルー・サイケ幻の1枚!
エル・ポレン。花粉を意味する妖しい名前のとおり、プログレ・ファンや辺境アシッド・フォーク好きの間で密かに愛されるカルト的バンドである。ペルーのバンドであるが、その音楽性はペルー音楽の伝統と当時南米を席巻していたロック・サウンドとの融合が試みられている。アルゼンチンのアルコ・イリス、チリのコングレガシオン、ボリビアのワラ、コロンビアのジェネシスといったバンドとも同期するフォルクローレ+ロックの実験的な試みは今聴いても発見すべき点が多く、混沌としたエネルギーは軍政の多かった当時の南米ならではのもので、現在でも後進の音楽家から大きな尊敬を集めている。
今回再発された「Cholo」は1972年にリリースされた彼らの1stアルバム。ウーゴ・ソティルというサッカー選手をモチーフにした映画のサウンドトラックとして製作されたものである。冒頭の11分を超えるトラックから度肝を抜かれること必至であろう。ヴァイオリンやアコギに交じってアンデスのフォルクローレで頻繁に用いられる横笛ケーナや弦楽器チャランゴが、不自然なまでに牧歌的なメロディを延々と奏でていく。穏やかであるといえば穏やかであるが、通奏低音の如く延々と鳴り響くボンゴや、不思議な位相で生々しく録音された各楽器のアコースティックな響きを聴き続けるうちに、その穏やかさに潜む狂気に気付くこととなる。
アンデスのフォルクローレ・アンサンブルの手法を取り入れながらも、サージェントペパーズ以降のビートルズを思わせるサイケデリックな世界観を獲得した"Sitting Dreaming"における病的なまでの欲情の抑制。更には南米らしいスウィングまでをも獲得した"Tondero"など、興味深いトラックが並ぶ。そして今回更に驚くべきことにグラミー賞を獲得したことでも知られる現代アフロ・ペルー音楽最大の体現者、スサーナ・バカがゲスト参加したという信じられないボーナス・トラックを収録しての再発。貴重フォト満載のブックレットも嬉しい限りである。
まだまだ知られざる音楽が掘り出される南米。そんな21世紀の秘境を知るための重要な一枚として決して見逃すことのできないリイシューだ。
EL POLEN / エル・ポレン