『Super Son』は、トリップしてしまうようなルンバ、サイケ・アフロ・ラテン・ファンク、そしてトーレスのバンド、アルゴ・ヌエボによるビッグバンドのホーン・セクションを伴った、風変わりなオーケストレーション・トラックが収録された素晴らしいレコードだ。革命後のキューバでは、国家による検閲は行われていたが、プロのミュージシャンは政府から給料をもらっていたため、音楽活動をする上での自由は与えられていた。その恩恵によって、キューバでは70年代と80年代には実験的な作風が盛んになったわけだが、『Super Son』はまさにその実験精神を反映した作品だ。アルバムの冒頭を飾る「Y Que Bien」は、サイケデリックなギターとスキャットが、ジャジーなアフロ・キューバン・ホーンと絡み合い陽気なファンク・グルーヴを生み出している。「Pastel En Descarga」では、ファズ・ギターとパーカッションをベースに陽気なホーンが楽曲のエネルギーを最高潮まで高めている。他にも、アフロ・キューバン・リズムに包まれたサイケデリック・ファンク「Son A Propulsión」、「Son Riendo」など、キラー・チューンが目白押し。
