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Pan sonicの中心人物であるミカ・ヴァイニオのATAKから2枚目のソロアルバムとなる本作は、足の怪我による入院期間中に病室に機材を持ち込んで制作されたという異色作。究極の密室も言える病室というプライベートな環境で作られた本作は、結果的に彼の音楽的指向性が全開となった異色作と呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
本作は当初、ATAKの初のダウンロードオンリーのデータ作品として2009年10月にリリースされた。それは病室という完全な密室で作られたこのストレンジな作品が何の媒介を通さずに直接リスナーの密室へと届けられるダウンロードという流通形態がこの作品にふさわしいと考えられたからだ。同時に、常に音楽とメディアの関係/可能性を探求するATAKにとってはCDメディアの現状に一石を投じる試みであったことは言うまでもない。
そして2010年3月に行われたミカ・ヴァイニオのジャパンツアーに際して、アルバムタイトルにちなんだ364枚のみCDとして限定リリースされた本作は、透明のクリアケースに盤面手書きされたCD盤のみという徹底的にシンプルなフォーマットや極端に制限した流通形態の実験が大きな話題を呼び、いわば CDからデータへの過渡期を象徴する作品となっている。
MIKA VAINIO / ミカ・ヴァイニオ