【特集】関西ハード・ロック・シーンの重鎮Muthas Prideにインタビュー!!

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2022.04.08

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70年代後期~80年代からHR/HMシーンで火花を散らし、“伝説”を創り上げてきたメンバー達が集結したバンド:MUTHAS PRIDEが、4/22(金)に新作2ndアルバム「After Tears~明日への光(きぼう)」をリリースする。“レジェンド達”の実力と実績に裏打ちされた「メロディックHR/HMの傑作」として、往年のジャパニーズHR/HMファンは勿論、その時代を知らないメロディックHR/HMフリークの方々にも必聴なアルバムに仕上がっている。

そんな新作のお話を伺うべく、今回はメンバー全員にお集まりいただいた。令和の時代に生まれた、「新たなるメロディックHR/HMの伝説」の一端をご覧いただきたい。
●まずは結成前後からのバンドの歴史を簡単に教えてください。

〔筒井〕 1998年暮れに、それまでやっていたPARABELLUMが解散しまして、より高いレベルのバンドを目指して、ギタリストだった三木弘司とマリノ結成時からの旧友:吉田“LEO”隆を誘って結成しました。バンド名はN.W.O.B.H.M.のオムニバス・アルバムのタイトル「MUTHAS PRIDE」から命名しました。結成当初から70年~80年代の伝統的ハード・ロックを現代に継承するスタイルを貫いています。その後、幾多のメンバー・チェンジがありましたが、2013年に元HURRY SCUARY、 DRAGON FLYのヴォーカル:南安秀、元MOON STRUCKのドラム:中島賢三が、2018年にはさかもとえいぞう氏のバンドVIWやKING BACKのギター:池内教雄が、2020年にはSTARLESS、SCHEHERAZADE のベース:大久保寿太郎が加入して、2022年にBlack-listed Recordsと契約を交わし、現在に至ります。

●そうそうたるメンバーですが、各メンバーの皆さんはそれぞれバンドへの加入を打診された時、どう思いましたか?

〔中島〕 MUTHAS PRIDEは以前、前任のドラマーの方が体調を崩した時にヘルプで叩かせていただいたのですが、楽曲も良く、「いいバンドだな」と思っていたので、お誘いがあった時は喜んで引き受けさせていただきました。
〔南〕 当時はもう歌うつもりは全く無く、最初はイヴェントのお手伝いで歌わせていただき、その後もヴォーカル不在のままだったので、なんとなくという感じです。なんの違和感もなく打ち解けていきました。
〔池内〕 サポート・ギタリストとしてライヴに出演した後の忘年会で、ヴォーカルの南さんに「一緒にやろう」と声をかけていただきました。年明けにリーダーの筒井さんから正式メンバーとしてのオファーを受け、「こんなレジェンド達と一緒にバンドが出来るのか?」と、嬉しくも不思議な気持ちになりましたね。バンド内では世代的に若い自分のギター・スタイルが、バンド・サウンドの可能性をどう拡げられるか、楽しみでもありました。
〔大久保〕 その時点で還暦過ぎてたので、「よくこんな将来性の無い人間を誘うな~」と思いました。(笑)


●Muthas Prideの音楽性は、各メンバーがこれまで活動してきたバンドの影響下にあるメロディックHR/HMだと思うのですが、「こんなバンドにしたい、していきたい」という方向性はありましたか?

〔筒井〕 メンバー全員が意見を言い合えるバンドですね。伝統的ハード・ロックを継承しながら、メンバーそれぞれのバック・グラウンドも大切にしていきたいです。
〔中島〕 作曲している訳ではないので、特には無いですが、自分のスタイルを保ちながら、できるだけ作曲者の意図に沿えるように心掛けてやっています。
〔南〕 私の中では様式美は苦手なのでなるべく出さず、誰もがコピーしてみたい、コピーできる、と思うようなストレートな楽曲を作っていきたいです。
〔池内〕 HR/HMファン以外の若い人にもカッコいいと感じてもらえるサウンドも追求出来ればと思います。そして世界的に認めてもらえるバンドを目指していきたいです。
〔大久保〕 現在の方向性で自分的には大丈夫です。


●さて、新作アルバムに関して伺っていきたいのですが、今回のアルバム「After Tears~明日への光」の収録曲は、筒井さんが中心に書かれていますね。

〔筒井〕 結成からずっとメイン・ソング・ライターをやってます。(笑) 今回は南の曲も入っていますが、全体の2割ぐらいは他のメンバーに楽曲提供を頼りますね。バンドの音楽性も広がるし、世界観が異なるので面白いと思います。

●既存曲のリレコーディングと新曲が半々位で収録されていますが、リレコーディング曲と新曲は、それぞれどの様にピックアップされたのですか?

〔南〕 MUTHASのこれまでの代表曲は、前回のアルバムから何度もライヴを重ねて来て、歌い込んで自分のものになっている楽曲達だと思います。新曲は前回のアルバムから今回までにできた曲です。
〔大久保〕 再録曲は自分の好みで決めさせてもらいましたが、新曲とのバランスなども考えて、ベストな選曲だと思います。
〔筒井〕 既存曲のリレコーディングは寿太郎さんの発案でした。自分のベースで録り直したいと言ってくれたのは嬉しかったですね。寿太郎さんにとっては全てが新曲ですから。(笑) 曲順も寿太郎さんにお任せしました。
〔池内〕 ライヴで育ててきた曲を新しいメンバーでのアレンジで録音出来た事で、ファンの皆さんの反応が楽しみです。


●歌詞は基本日本語詞ですが、一部英語詞の曲もありますね。その辺りの書き分けには何か理由とか法則みたいなものはありますか?

〔南〕 日本語の詞は今までのスタイルを貫いた感じですが、英詞になった経緯は、テーマが仕事やバンドで苦楽を共にした亡き親友、長年連れ添って子育てもひと段落した相方へのラブ・ソングとして書いたので、日本語だとストレートすぎて小っ恥ずかしいので、ワン・クッション置いての英詞です。

●今回エンジニアリング全般は寿太郎さんが担当されていますね。

〔大久保〕 レコーディング・スタジオでエンジニアに録音してもらうのは、時間的にも経費的にも限界があるので、15年位前から自分のバンドのレコーディングを始めました。自分でやる分には無制限に色々試せますからね。今回もミックスなど色々試して、何度もメンバーに聴いてもらい、納得してもらうまでやり直せました。

●プロデュースは寿太郎さんとバンドというクレジットになっていますが、制作過程でのそれぞれの役割分担みたいなものはありましたか?

〔大久保〕 自分は所謂サウンド・プロデュースと、曲を選ぶのと、曲順を決めた事です。
〔中島〕 寿太郎さんにあれこれ注文を付けただけで、特に役割分担はありません。
〔南〕 自分のわがままは言わせていただきましたが、サウンドに関してはほぼ寿太郎さんにおんぶに抱っこ状態でした。
〔池内〕 ドラム録音のためにメンバーみんなでマイクの位置を試行錯誤したり、良い経験を積めました。個人的には自分の持っていたミキサーがドラム録りに使われたので、このミキサー買っといてよかったなと。(笑)
〔筒井〕 最初のドンカマは僕が作成したかな?(笑) いつもの練習スタジオでマイクやPCを持ち込んで、皆でセッティングしましたね。ミックスダウン以降、寿太郎さん以外は全員聴き手側でした。皆の希望にほぼリアルタイムで快く対応してくれました。


●ちなみにアルバムのタイトル「After Tears~明日への光」には、どの様な意味合いが込められていますか?

〔筒井〕 今のようなパンデミックは誰にも想像できなかったと思います。コロナが蔓延して色んなことが制限され、自由に振る舞うことが「悪」にもなってしまった…でもそんな状況でも必ず出来る事はあるし、ある意味これから先のことを考える良い機会にもなると思うんです。大切なのは希望を捨てないこと、諦めないことだと思います。こんなことはずっとは続かない。悲しみの後には必ず明るい未来がやってくると思ってアルバム・タイトルを付けました。

●まさにレコーディング時期がちょうど新型コロナのタイミングと被っていたかと思いますが、レコーディング自体は大変ではなかったですか?

〔大久保〕 直接の影響は無かったと思います。
〔中島〕 特に新型コロナの影響は無かったと思いますが、個人的に事故で鎖骨を骨折して、プレートで固定した状態でレコーディングした事が一番大変でした。(笑)
〔池内〕 コロナ禍だからこそ、ライヴをしない分レコーディングに時間を割くことが出来ました。今まで長年セルフ・レコーディングしてきた経験も、こういう時期だからこそ活かすことが出来たと思います。


●最後にアルバムを聴いてくださる皆さんや、このインタビュー等で興味を持ってくださった皆さんにメッセージをお願いします。

〔池内〕 今の時代に、伝統的なHR/HMをこんなに真正面から表現するバンドは少なくなりました。時代が流れても普遍的なものはあるという事を、このアルバムを通して感じてください。
〔中島〕 このアルバムでMUTHAS PRIDEを知ってくれた方は、是非ライヴで生の演奏を体感していただきたいです。コロナ禍ではありますが、ライヴハウスでお待ちしてます!
〔南〕 もう既に還暦を過ぎたメンバーが3人もいるバンドですが、まだまだ行けるところまで行きますので、応援よろしくお願いいたします。
〔筒井〕 そう、年寄りも頑張ってるんです!(笑) MUTHAS PRIDEを聴いて元気な気持ちになってくれたら嬉しいです。
〔大久保〕 SCHERAZADEやSTARLESSのファンの方には、是非この機会に今の自分の音を聴いていただきたい。従来からのMUTHAS PRIDEのファンの方には、新しく生まれ変わったMUTHASの音を聴いて欲しいです。