TIMMY REGISFORD・NEW ALBUM「PLACES AND SPACES IN TIME」リリース記念インタビュー
NYハウスの伝道師、ティミー・レジスフォード(以下T)による最新アルバム『PLACES AND SPACES IN TIME』は、昨年リリースされた1st『Africa Calling』とまったく逆の性質を持った作品である。前作で顕著だった生楽器の響きは硬い打ち込みのビートへと姿を変え、スピリチュアルな歌声は電子音に変換されている。現在のクラブ音楽の潮流への返答とも受け取れる今作で、彼が標榜したヴィジョンはいったいどんなものなのだろうか。彼の生い立ちから探る『PLACES AND SPACES IN TIME』の世界を本稿で検証したいと思う。
(取材・文/高橋圭太)

■まず、あなたが音楽に初めて触れたのはいつごろですか?
T : 小さい頃からだよ。もともと親父がドラマーでレコード・コレクターだったから、音楽に興味を持ったのも早かったと思うけど。
■じゃあ、初めて自分で買ったレコードは覚えてますか?
T : 覚えてないなぁ。ブラックミュージックだと思うけど…忘れてしまったな(笑)。でも当時はスティービー・ワンダーやマーヴィン・ゲイがお気に入りだったよ。もちろん彼らは今も大好きなアーティストだ。
■今作を作るにあたって、インスピレーションを受けたものはありますか?
T : 前作は自身のルーツが下敷きになっていたんだけど、今作に限っては外部から受けた影響はあまりないかもしれない。このアルバムは集中してスタジオワークに専念した結果だよ。単純に優れたアルバムを作りたいと思って完成させた作品なんだよ。
■構想はいつぐらいからですか?
T : 前作をリリースしてからさ。
■制作期間はどのくらいですか?
T : 5ヶ月かな。その間はずっとスタジオに篭りっぱなしだった。ジムへ行って、スタジオへ行っての繰り返しだったんだ。
■制作はどのような環境で行われましたか?詳しく教えてください。
T : ロジックとプロトゥールズで僕が基本的なプログラミングをして、そこにライブ・ミュージシャンたちが音を加えていく、というようなスタイルで全編を通している。
■今作は非常にテッキーな仕上がりですね。これは現在のクラブ・シーンの状況も汲み取った結果なのでしょうか?
T : とはいっても色々な要素は織り交ぜてあるだろう?ストレートなテック・ハウスの作品と違う点はそういった部分だ。今のシーンでいうならミニマル・テクノはあまり好きではないな。僕は歌をすごく重視しているから、ああいったキックとハイハットのみで構成された音楽は退屈に聞こえるんだよな。プログレッシブ・ハウスなんかは時々いいリリースがあるけど。
■各楽曲のタイトルはどのような形でリンクしているのでしょうか。意味、メッセージがあれば教えてください。
T : ここ何年かでギリシャやロンドン、パリなどに行く機会があって、そういった場所でインスパイアされた言葉なんだ。僕はいつもトラックを先に作るから、そこから連想するタイトルをつけるって感じだね。
■現在のNYのクラブシーンはどのような状況ですか?
T : どんどんアンダーグラウンドな場所は少なくなってしまっているのは確かだ。ただそこに誰もいなくなってしまうことはないだろう。言ってみれば波のようなものだからね。

■NYハウスの新しい世代について訊かせてください。近年では、あなたの弟子筋にあたるクウェンティン・ハリスをはじめ、デニス・フェラーやカリズマなど、新世代のプロデューサーが秀逸な作品をリリースしています。彼らの印象と、ほかに注目すべきプロデューサーがいれば教えてください。
T : クウェンティンは素晴らしいね。彼の作品は欠かさずチェックしているよ。デニスもアルバムが非常にいい出来だったと思うよ。カリズマは……今年はちょっとハードワーク過ぎて似た性質の作品が多かったようにも思う。ただ彼も素晴らしい才能の1人だ。若い世代では他にもタイロン・フランシスってヤツがいる。コイツは是非チェックしてもらいたいね。
■シェルター・レコード以外にもいくつかのサブ・レーベルも運営していますね。それぞれのレーベルカラーと呼べるものはありますか?
T : 実のところ、特にカラーはないんだよ(笑)。どのレーベルも1ヶ月に1枚のリリース・ペースで作品をリリースしているんだ。だってシェルターのレコードを1ヶ月に4枚も買う奴は少ないだろ?
■レーベルを運営する上で苦心する点はどんなところでしょうか。
T : ビジネスはいつだって大変なことだけど、音楽制作の方がもっと大変なことだと思う。わかるだろ? でもその反面すごくクリエイティブだよね。ビジネス面でいったら僕のレーベルは5人のスタッフで動かしているから、慣れるまではすごく大変だった。いま働いてくれているスタッフをリスペクトしているよ。
■ティミーにとって優秀なDJの必須条件とは?
T : えぇとね、まずたくさんのアーカイヴを持っていること。そしてDJに対してパッションを持っているということ。最後に重要なのが、正しい知識を持っているかどうか。レコードをかけるくらいのことは誰でもできるだろ? だけどパーティーで一晩を作り上げるためには、そこに編みあがった1つのストーリーを提供しなくてはならない。その為には正しい知識が必要になってくるんだ。ただ正解は人の数だけあるから、そこにDJの個性が滲み出るんだと思う。とにかくダンスを止めない術を持て、ってことだよ。僕はシェルターでのDJセットを毎回録音して、後で聴き直すんだ。ジムでのワークアウトやランニングの時なんかにね。もうものすごい量、録りためてあるんだ。
(2008.4.23)
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