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ブラジル音楽界最高の知性派SSW、ゼ・ミゲル・ヴィズニッキの最新作登場!
ソロ作品としては久しぶりの本作は2021年5月からレコーディングが始まったという。レーベルサイトによるとタイトルの『Vão』は空洞、空虚、実現しないもの、などを意味すると同時に、1曲目に登場する大木"ジェキチバ"が存在するスペースを意味する。
ジェキチバの木のある場所、それは大都市サンパウロの中心を縦断するパウリスタ大通り沿いにあるトリアノン公園だ。交通量の多い通りを挟んで向かい側にはサンパウロ美術館(MASP)があり、大企業のビルが建ち並ぶ。そんな都心にありながら、トリアノン公園はちょっと驚くほどうっそうとした緑の濃い場所で、人々は大木の木陰に憩いながら散歩をしたり語りあったりする。MASPも銀行もできる前からサンパウロを見守り続けてきたジェキチバの視点で綴られる歌詞の妙味はオリジナルのビデオクリップを見ていただくと味わえるだろう。
直接は語られないが『Vão』というタイトルには、空回りし続けているような大都市の閉塞感、この2年間の社会情勢も暗喩されているのではないか。しかしそれでも時は流れ続ける。“空虚”を満たすものはまだ見ぬ未来なのだろう。楽曲的にも詩的にも、過去から未来へと偏ることのない視野、リアルに現実を見つめつつ感情過多にならない哲学的な視点が彼らしい。 ひとつひとつ丁寧にアレンジされた楽曲が並び、ナ・オゼッチ、セルソ・シン、モニカ・サウマーゾ、ヒカルド・ヘルツ、ネイマール・ヂアスやセルジオ・ヘゼ、スワミ.jr、ジョアン・カマレロなど日本でもお馴染みのゲストが多数参加。中でも娘であるマリーナ・ウィスニッキのヴォーカルがとても良い。
ZE MIGUEL WISNIK / ゼー・ミゲル・ヴィズニッキ
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