パウリーニョ・ダ・ヴィオラをはじめ、多くのアートワークを手掛けてきた画家エリフアス・アンドレアート(現在のラティーナ誌表紙も氏のデザイン)によるジャケットも印象的な本作は、そんなインストゥルメンタリストのホジーニャの全才能が色濃く反映され、キャリアの頂点に達したといえる76年発表の傑作「CHEIRO DE MATO」(直訳は、雑草の匂い)。オリジナル楽曲を中心とした構成で、サンバ、ボサ・ノヴァ、アフロ・ルーツ、地方音楽とリズム素材も豊か。ブラジル人の持つメランコリックな精神を投影したメロディ・センス、そしてシンプルながら印象的な音像を残すアンサンブルから、隅々までホジーニャの音楽へ対する真摯な姿勢、こだわりが聞こえてくる。ホジーニャのギターそして普遍のハスキー・ヴォイスを根幹に、インスト・フル・バンドが適所で彩りを与える。そのメンバーにも注目。メロウなエレピ・サウンドは天才ジョアン・ドナート、アコーディオンにシヴーカをフィーチュア。パーカッションにシコ・バテーラ、ベースはルイザォンと、当時のMPBファースト・コール・プレイヤーが当然のごとく配され、さらにはヴォイス・アンサンブルで当時売り出し中の♀シンガー・スエーリ・コスタ、そしてボサ・ノヴァの歌姫ミウシャを起用。アレンジにはフランシス・イーミ、そして後にホジーニャに追随する活躍をすることとなる女流ギタリスト、セリア・ヴァズの参画も興味深い。