どんな楽器も弾きこなしたと言われるヒンデミットですが、彼はもともと優れたヴィオラ奏者であり、ソリストとしてだけでなく、一時期は自らが結成したアマール弦楽四重奏団でも8年に渡ってヴィオラを演奏、その間に自作の弦楽四重奏曲第2番の初演を行うなど、多彩な活躍をしたことでも知られています。
そんなヒンデミットですから、ヴィオラのための作品も積極的に作曲、それまでは「縁の下の力持ち」的存在であったヴィオラを独奏楽器として認めさせることに成功したのです。
このアルバムでは、ヴィオラのための作品を4曲収録しています。
代表作の一つである「室内音楽」は、6曲全てに独奏楽器が与えられた実質「協奏曲」であり、この5番がヴィオラ協奏曲となっています。そして、イギリス王ジョージ5世(1865-1936)の葬儀のために書かれた「葬送音楽」も比較的知られている作品です。
タイトルにインパクトがありすぎる「白鳥を焼く男」。こちらはもともと、3つの楽章に中世のドイツ民謡が使われていて、終楽章に「あなたは白鳥の肉を焼く人ではありませんね」というメロディが使われていることでこのタイトルが使われています。そして「協奏音楽」の草稿版による演奏は世界初録音となります。
いずれも技巧性と音楽性を兼ね備えた名作であり、ほんのわずかな近寄り難ささえ乗り越えれば、本当に数多くの事を語りかけてくる優れた作品です。 (資料提供:ナクソス・ジャパン)
【収録内容】
ヒンデミット(1895-1963):ヴィオラ作品全集 第1集・ヴィオラと管弦楽のための作品集
[1] 白鳥を焼く男 (古い民謡の旋律によるヴィオラと小管弦楽のための協奏曲)
[2] 葬送音楽 - 弦楽オーケストラと独奏ヴィオラのための
[3] 室内音楽 第5番 Op.36-4 (ヴィオラと大管弦楽のための協奏曲)
[4] ヴィオラと大室内管弦楽のための協奏音楽 Op.48a (初稿版…世界初録音)
【演奏者】
タベア・ツィマーマン(ヴィオラ)
ベルリン・ドイツ交響楽団
ハンス・グラーフ(指揮)
TABEA ZIMMERMANN / タベア・ツィンマーマン