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THE STROKESのギタリストであり、ソロ・アーティストとしても活動しているアルバート・ハモンドJrが通算4作目となるソロ・スタジオ・アルバム『FRANCIS TROUBLE』をリリース!“死に別れた双子”への音楽的オマージュ。極めてパーソナルなテーマに挑んだ「私小説的」作品がここに産声を上げる。
タイトルの『FRANCIS TROUBLE』は、彼の“死に別れた”双子の兄弟の名である。本作は、その兄弟のこと、そして彼がアルバート・ハモンドJrの人生と音楽に与えた影響を描いた作品なのだ。1979年11月、アルバート・ハモンドJr(AHJ)の母、クラウディアが流産した。彼女とAHJの父であるアルバート・ハモンドは急いで病院に駆け込んだが、お腹に残されたもう一人の赤ん坊は、生き残るには未熟すぎると医師に告げられたという。しかし、アルバートは、クラウディアが妊娠6か月目近くになるまで、誰にも気づかれることなくひっそりと成長を続けていたのだった。
そんな数奇な出生を経験したAHJは、ずっとフランシスの存在を知ってはいたものの、36歳の時に叔母に聞かされるまで、その”死に別れた”フランシスの一部――指の爪が――AHJと一緒に出てきたことを知らなかった。母の子宮に残されたフランシスの一部は、AHJと共に育ち、彼の身体にくっついて生まれてきたという。
自身の音楽が別の方向へと進み始めているのを感じた時、AHJは、この新たな方向性が、自分の中に潜む別の面から生まれたのではないかと考えるようになった。同時に、その“別の面”が、ずっと昔、”死に別れた”フランシスと共に過ごした僅か数カ月の経験から生まれたものなのではとも。本最新作『FRANCIS TROUBLE』は、双子の兄弟の死と自身の誕生に対するオマージュであり、その二人の関係性から生じた複雑なアイデンティティを表現したものでもある。ここでAHJは“フランシス・トラブル”という仮面を被り、自身の中から響く“フランシス”の声に耳を傾けるのだ。そのアルバムについて、AHJ本人は、ボウイの言葉を借りてこう語る:「音楽が語らんとしていることはシリアスかも知れないが、それを伝えるものは、決してそれを疑問に思ったり、分析したり、真剣に受け止め過ぎてはいけないのだ。着飾り、キャラクターに仕立て上げ、それ自体を一つにパロディに仕立ててしまうべきなのだと僕は思う。音楽はメッセージが被る仮面であり、そして僕、つまりパフォーマーは、メッセージそのものなのだ」
“死に別れた双子”、フランシス・トラブルというペルソナを被った、アルバート・ハモンドJrの”仮面の告白”。それが本作『FRANCIS TROUBLE』なのだ。
ALBERT HAMMOND JR / アルバート・ハモンド・ジュニア