音の始原を求めて 3『佐藤茂の仕事2』 <2025・リマスター盤> / THE BEGINNING OF JAPANESE ELECTROACOUSTIC VOL.3 ENGINEERD WORKS BY SHIGERU SATO
BEGINNINGS OF JAPANESE ELECTROACOUSTIC / 音の始源を求めて
ノイズ ・ アヴァンギャルド2025年改訂版 / 〈放送センター移転と大阪万博の頃〉
- 通販番号
- 1009129143
- 発売日
- 2025年10月23日
- EAN
- 4580695860203
商品詳細情報
小懺悔 諸井 誠 | 1967
この作品の音の根幹をなしているのは、奈良・東大寺の「お水取り」で収録された法螺 貝、高尾山の法螺貝、そして尺八、太棹三味線、長唄三味線といった日本の伝統楽器の 生 々 し い 響 き で あ る 。こ れ らの 素 材 音 は 、聴 感 的 に 強 烈 な 変 調 効 果 を 生 み 出 す L A M (Linear Amplitude Modulator) によって新たな生命を吹き込まれている。 こ の L A M の 対 数 特 性 に よ る ト レ モ ロ や ビ ブ ラ ー ト 効 果 は、聴 く 者 に 強 い 印 象 を 残 す 独特な音色変化をもたらした。この複雑かつ豊かな響きは、1961年に製作 された「電子音楽用 6トラック録音機」という、当時の技術的限界を超えたツールを駆使 することで初めて実現可能となった。
ディスプレイ ‘70 | 1969 柴田南雄
この曲は、打楽器音と電子音の組み合わせで構成されており、それぞ れの音素材の個性が際立つよう、楽器音と電子音の対比が重視されて います。「ディスプレイ」とは「展示する」という意味で、この曲は大阪万国 博覧会(1970)の日本政府館で再生するために制作されました。 当時、電子音楽室「CC-500」は新しい設備でしたが、音の記録はまだ「テープ録音」が主流でした。本作の制作では、数百もの異なる素材音が作られ、それぞれの音に音量差をつけながら、作品の時間軸に合わせて テープを編集する、非常に手間のかかる「オフライン制作」が行われました。 現代のようにコンピュータで容易に音を扱える時代とは異なり、非効率的 な作業でした。
電子音と声による「まんだら」 黛 敏郎 | 1969黛 敏郎
この曲は、LAMとリング・モジュレータを駆使して制作されました。 特にLAMは、音量調整器として開発されましたが「変調効果」にも優れ ることが分かり、積極的に活用されています。 曲の前半では、多数のサイン波を重ねた「クラスタ音」から、フィルタと LAMで切り出した小鳥のさえずりのような音や、ホワイトノイズを元にし た低いうなり音が使われています。 このクラスタ音は、数百種類もの素材の周波数と音量をランダムに変 化させて重ね合わせた合成音を、フィルタで周波数ごとに分け、LAMで リズムを刻むことで、個々の音が作り出されました。これはまさに、数百台 の発振器が同時に鳴る状態の瞬間を切り取ったような、再現不能な偶然 の音と言えます。 曲の後半は、日常的な「笑い声」例えば、日常的な笑い声や、浄瑠璃の 笑い声をリング・モジュレータで変調したり、フィルタで加工することで、 独特のサウンドが生み出されています。
ボイセスカミング 湯浅穰二 | 1969
作曲者は、電子音楽について振り返るなかで、次の様に述べています。 「私は1957年にハーバード・リードの『イコンとイデア』を読み、多くの 影響を受けた。同時に鈴木大拙の『禅と日本文化』を1953年から読み 始め、次々と彼の本を読んだ。そして、一体何が日本か、何が西洋かでは なく、何が人間にとって大切なものか、と言うことを学んだ。一体何が人 間を規定するのか、を考えると音楽の発生も人間の声の発生も同時にあると思った。言語の発生、つまり私と私以外のものを決める、つまり、 私と、それ以外のもの。」そこで、次のような人間の言葉、言語の三部作 を作ることになった。
ブロードキャスティング 篠原 眞 | 1973
この曲は、作曲者がヨーロッパから帰国した際にNHKの放送を聴き、 その「現実」をコラージュの手法で表現しようとした作品でしたが、その 制作にはいくつかの大きな困難がありました。そのひとつ目は、NHKのラ ジオ放送(中波2波、FM1波)を、それぞれ丸一日、録音し続ける壮大な 計画だったのでした。そのためには、6台のテープレコーダと100本の 6mm幅録音テープが必要で、これを約1時間ごとに交換し、すべての放 送を完全に録音するという手間がかかりました。 もうひとつは、曲の長さである19分35秒に合わせるため、録音された 一日分のラジオ放送の内容を短縮し、一日が凝縮されたかのようにコ ラージュされた録音テープを制作することでした。しかし、この合成時に 問題が発生しました。当時のアナログテープレコーダは、2台以上同時に 再生すると、約5分後にはそれぞれの録音機間で再生音が0.数秒ずれる のが常でしたが、作曲家にとっては、このわずかな時間のずれは許容でき ませんでした。 そこで、技術者は録音機のずれの状態を調べ、テープ編集でその誤差 を修正する作業を行いました。ところが、修正を施して録音再生機は毎 回、異なる場所で同期がずれてしまいました。そこで、この修正のため、担 当者は10日ほど毎日、編集に明け暮れ、疲労困憊しました。
ソングリスト
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1. 小懺悔 諸井 誠 | 1967年制作 | 13’33”
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2. ディスプレイ ’70 柴田南雄 | 1969年制作 | 10’10”
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3. 電子音と声によるマンダラ 黛 敏郎 | 1969年制作|10’29”
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4. ボイセスカミング 湯浅穰二 | 1969年制作 | 20’49”
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5. ブロードキャスティング 篠原 眞 | 1973年制作 | 19’40”
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