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デュオのコンセプションに無限の表現力を感じてしまう静かなる名作。
インタープレイの真髄を刻んだ作品といえば真っ先に挙がるこの『アンダーカレント』。ビル・エバンス=ジム・ホールによるデュオで1959年に録音された大名盤。純粋な"即興+即興"が生み出す相互作用の芸術的な美しさに不変の輝きを感じる一枚です。美しさと言ってもそれはきらびやかだったり華々しい類のものではなく、デリケートで静かで非常にセンシティヴな感覚。瞬間ごとに両者が着想しながら表現していく様子に高度な緊張感と刺激を感じることと思います。耳馴染みのあるはずのA1「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は原曲のおもかげをほとんど感じさせないほど奔放に演奏されています。エバンスとジムが交互にバッキングしつつ進行する展開にドラムレス、ベースレスという違和感を全く感じさせない程リズミカルな印象を受けます。何と言ったらいいのでしょうか。お互いがバッキングし合っているとでも言うのでしょうか。高度な相互刺激が発する簡単には表現できないこの対話感覚がまさにインタープレイなのでは。A3「ドリーム・ジプシー」、B1「ロメイン」のスロー・ナンバーではまさに極地とも呼べる程のインタープレイをしている事に気付きます。ぶつかり合うのではなくお互いが交差し、理解し合い、深く交わってゆく様子に高純度な美を感じます。リリカルでブリリアントなエバンスのフレーズと幻想的でドリーミーなジムのピッキングが極度な緊張感の中で混合した芸術的な音世界。目を閉じて身を任せているといつの間にかデュオの演奏である事を忘れて水の中、あるいは空気中、もしくは光の中を漂っているかのような不思議な感覚に陥っています。静かなる美を繊細に表現した作品。デュオのコンセプションに無限の表現力を感じる名作だと思います。
[ 1963 ]
渋谷JAZZ/RARE GROOVE館 野村優
BILL EVANS / ビル・エヴァンス