音楽史の中で Covid-19禍における 最良の音楽の慰楽 

-高橋朝 (シェシズ、マヘルシャラルハシュバズ) 

音楽の起源とダイレクトに繋がっているような不定形の音像、

非常に魅力的です。これは邪気を寄せ付けぬ音の魔方陣。

-瘡原亘

2020年結成、大阪を拠点に活動する天神さやかと宮岡永樹によるフリー・ミュージックユニットサヨ族、衝撃のデビューアルバム。ここには、わかりやすい、うた・リズム・メロディはありません。全篇アコースティックの楽器/非楽器によるlo-fiな宅録作品です。使用楽器は、声やギター、パーカッションの他、鳥、虫、汽笛、牛、赤ちゃんなどの擬似笛や、口琴、篳篥、サーランギ、カリンバ、トゥンビ、ソー・ウー、二胡等の民族楽器、百円楽器、玩具に加え、擦る叩く置く物音や水を使った音、ハサミ、マジックテープ、髪ブラシ…等の楽音/非楽音が同じ俎上で演奏され、尚且つフリー・インプロヴィゼーションやノイズに陥りがちな過集中や意図的な整然さとは全く別次元の音世界が展開されていくのです。ある種のスカスカなゆるしょぼ感を伴った、時におどろおどろしくも親しみやすい作品です。また、全篇に渡り、それぞれの楽曲が物語の一場面として繰り広げられています。

このアルバムは注目に値します。自然界が都市と一体化し、新たな浮遊世界となっています。森を歩き、小川、道、洞窟、ハンマー、動物の巣穴を見つけるかもしれない。そこには繰り返しはなく、岩、水、森、崖、動物、そしてそこを歩き、そこで暮らし、そこで呼吸する私たちの身体さえも連続しています。都市の構造、自然の崇高さ、そして新しいサヨ文化の形跡が、信じられないような質感とともに浮かび上がってくるのです。(Alan Sondheim)

"音楽の起源とダイレクトに繋がっているような不定形の音像、非常に魅力的です。

これは邪気を寄せ付けぬ音の魔方陣。"

-瘡原亘 

宮岡永樹と天神さやかによるデュオ“サヨ族”にイエレ・キルピネン (Junkyard shaman)、向井千惠 (シェシズ)、佐藤史 (新カリチアル)、タカハシシカロ(沼)、染谷藍(沼)が参加した“大サヨ族”が2021年8月19日難波ベアーズにて収録した究極の一枚を発売。素っ頓狂なリコーダーと尺八の合奏から始まり、ギター、ドラム、声や鉄琴や木魚などのパーカッション、バードコール、ゴピチャンド、篳篥、各種小物楽器、オモチャ楽器類等が、間を活かしつつも、独特のゆるさと緊張感で演奏されていく28分のライブ・ドキュメント。

2021年に、フランスのAn'archivesよりレコードで発売され完売となったレコードがボーナストラック2曲+解説和訳付きで300枚限定CDリイシュー!「音響の鬼才」「レコーディングの魔術師」と名高い宇都宮泰氏による素晴らしいリマスタリングです。

ジャックス、裸のラリーズ、灰野敬二、不失者、光束夜、靜香、割礼、みみのこと、ハレルヤズ etc、、、日本のみならず世界をも魅力する日本のアンダーグラウンド・サイケデリック・シーン。その影響を色濃く受けた、終古のオミット。正規メンバーは、宮岡永樹(gt. vo.)は、実の兄である杉森太樹(Bass)、白いベランダのgt. vo.であり、宮岡の実の従兄である山﨑悠風也(Drums, Pianica, Chorus)。その実まともに演奏出来たライブは、5回もなく、宮岡が、開始早々狂気的に号泣して終わったライブや、全曲の一部分ずつのみ演奏されたライブなどを除いた、第3回までのライブをコンパイルしたのがこの作品である。タイトル「秘密の回顧録」とあるように、この3回のライブですら、本来彼らにとって秘密にしておきたい代物で、演奏中に、演奏ミスとともに「ミスった」と口走ったり、歌詞も演奏もここまで酷くて、なぜレコードになったか!?というほど、ある意味では、恥ずかしく、しかし、再現不可能な魅力に溢れたアルバム。「1970年代の発掘録音かと思った」というコメントも。必聴!