10/26発売 ブラックメタル×クラフトワークな Vampilliaの別名義VMO1stフルアルバム・リリースに伴うdiskunion独占インタビュー&曲解説&ブラック・メタル対談!!

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2016.10.26

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Vampillia が別名義VMO ことViolent Magic Orchestra でついに1st アルバム『Catastrophic Anonymous』をリリース。ブラック・メタルとテクノやインダストリアルを融合させた『架空の西暦2099 年の世紀末アートミュージックプロジェクト』、そのVMOのリーダーへのインタビュー&曲解説、そしてブラック・メタル対談でVMO に迫ってみました。
Interview:小林健太郎(K) / 田村直昭(T)


 

T:まずVMO を始めた経緯を教えて下さい。

リーダー(以下R):Vampillia は大人数で吉田達也や竜巻太郎のスケジュールを合わせるのも大変だし、若い男衆の修行の場と尻軽腰軽ユニットを創りたいというのがありました。Vampillia はざっくりポスト・ロックとブラック・メタルを混ぜるスタイルなのですが、もう一つテクノとブラック・メタルを混ぜると言う考えも元々ありました。Vampillia とは別にそう言ったユニットを始めようと思ったのと、自分が思うアート的ものをと言う事で始めたのがVMO ですね。

T:外国人メンバーもいらっしゃいますよね。

R:ぼくらは打ち込みができないので、元々構想としてあったコンセプトに合ったビートを創れそうな人を探していました。最初ピート・スワンソン(元YELLOW SWANS)にオファーしたんですけど、彼はビートも創れないしミックスも出来ない。でもやりたいと言ってきました( 笑) 。で、彼からいいやつがいるぞと。MONDKOPF とかEXTREMEPRECAUTIONS をやっていたインダストリアル・テクノのプロデューサーがいると言って紹介されたのがポール・レギンボーでした。彼がビートとMIX を担当、ピートがエレクトロニクス、エディットを担当してくれることになり、それでVMO が結成されたという感じです。

T:ちなみにVMO(Violent Magic Orchestra)はYELLOW MAGIC ORCHESTRA をもじったものだったりするのですか?

R:はじめはドラゴン・クエストにも出てくるBAZUZU にちなんでVAZUZU しようかと思ってました。でもそれを外国人メンバーに言ったら「酷い」と(笑)。発音が下品だったのが大きな理由だったみたいですね。フランス人のポールはそうでもなかったんですが、下品の代表アメリカ人のピートがかなり難癖つけてきました(笑)。ピートの提案してきたバンド名もどうかと思うものばかりだったので、レーベルのオーナーに相談したら「VMO」ってどう?と言われ、VMO だったらVampillia も含ませることが出来るし、じゃあViolent MagicOrchestra という意味にしてみようと思い、外国人メンバーに聞いてみたところ、「それはいいね」という反応で、あこれはいいんだっていう(笑)

T:VMO の前にVampillia Blackest Ever Black Metal というバンド名でしたが…

R:それはイギリスにBlackest Ever Black というテクノ・レーベルがあって、そこのアーティストにブラック・メタルみたいな事をやってるやつがいたら面白いなという感じで、仮で付けた名前です。本格的な活動に入る前の仮名ですね。

T:仮名だったんですね。

R:そうです。Vampillia とは区別化するために付けたもので、いずれはちゃんとしたバンド名を付けるつもりでした。

T:アルバムにはMAYHEM/SUNN O)))のアッティラ・シハーとTHE BODY のチップ・キングが参加していますね。

R:元々Vampillia の方でも参加したりコラボを創っていたりしていたのもあるのですが、ブラック・メタルとテクノ、ブラック・メタルとインダストリアルと言うのをブラック・メタル方面で分かり易くするにはそのシーンの当事者たちがいた方がいいなと思ってオファーして参加してもらえることになりました。

T:VMO はアートも大切にしていますよね。

R:ざっくりとした感じではあるのですが、アートの方面にも行きたいというのもありました。元々VMO はアート・プロジェクトという意味もありました。といっても僕が思うアートですが。

T:オフィシャルサイトに載っている”Halved”もグラフィック・デザインが凄いなと思いました。

R:最初から映像込みのプロジェクトとして考えていたのでKezzardrix というビジュアル・アートを担当する人もメンバーとして加入しています。彼はBUMP OF CHICKEN とか、LITE いうポスト・ロック・バンドのツアー映像とか、SJQ++として確かドイツで行われたArs Electronica Award of Distinction を受賞したりもしています。今は忙しくて素材だけ貰ってライヴで流していますが、11 月1 日スーパーデラックスのレコ発ではライヴに参加してエゲツない映像を3 面スクリーンでかまします。


  


T:ではアルバムの曲解説をお願いします。オープニングの「The Beginning Of Fortune」は初期の頃からライヴでもやっていましたよね。

R:そうですね。THE BODY のチップ・キングがたくさん声の素材を送ってきたので、色々はめ込んでみたらどの部分にも合っていたので、至る所にチップの声が入っているんですよ。

T:この凄い絶叫もチップの声なのですね。

R:そうです。ちなみに海外でVMO に似たようなバンドっていますか?

T:これだというバンドは思い浮かばないですね。このオープニングは、ちょっとSILENCER っぽい感じではあるとは思うのですが、そのままズバリという訳でないですからね。

R:元々はさっき言いましたが、Blackest Ever Black レーベルのアーティストとか、あとBJORK をプロデュースしたARCA みたいなテクノ寄りのアーティストがブラック・メタルをやったらどうなるのかというのがありました。海外には打ち込みのブラック・メタルアーティストは結構多いのですが、結局そういう人たちの作品はTHE それになってしまうのです。自分達はもっとテクノの響きの中でブラック・メタルをやりたいというのはあります。

T:だからVMO に似た感じの音が海外にはないのですね。

R:あと全然関係ないですが、海外のアーティストって意外とアイドルが好きな人が多いんです。チップもずっと自分のことを”チッピー・メタル”って呼んでました(笑)。LADYBABYとかも普通にピートもポールも知っていて、ボーナス・トラックで金子理江に歌わせたいと話していました。結局実現しませんでしたけど。とにかくチップは銃をこよなく愛し人間が嫌いなアイドル好きなんですよ。

T:チップってそんな人なんですね。かなり意外です(笑)

R:(2 曲目:「Acts Of Charity」)この曲は、元々ピアノで書いた曲なんです。メロディアスな曲が欲しかったので、この曲はメロディーを入れてみました。北野武・久石譲的な感じで(笑)。外国人メンバーは、この曲だけ他の曲とテイストが違うので方向性が見えず、悩んでいるということだったのですが、どうにかがんばれ!っていったら、やっぱり、ノイズでメロディーがまあまあ消えて出来上がった曲です(笑)

K:(3 曲目:「In Favor Of Cruelty」) 音圧のある部分はラジカセだとどうしてもひび割れてしまいますね(笑)

R:家庭用プレイヤーだとボコボコでひび割れする音になってしまうと外国人メンバーに言ったんですけども、彼等は「大丈夫だ」って言うんです(笑)。うちのスピーカーでは大丈夫だって。でDOMMUNE でプレイしたら低音が無茶苦茶凄くて(笑)。こんなスピーカー家庭にはないよって笑日本人と外国人の感覚の差なのかなと思いながら、他の作品とかと比べてみてもやっぱりこんな音のボコボコした正規盤ってあるのかなと(笑)。そこがブラック・メタルなんでしょうけど(笑)。アナログとデジタルの融合モコモコみたいな(笑)

T:そうですね。ブラック・メタルには結構こういうボコボコな音をわざと創るバンドがいますからね。

R:その意図はありますね。あんのか?!(笑)

K:ライヴのパフォーマンスを意識して曲を創っているのですか?それとも曲に合わせてパフォーマンスを行うという感じなのですか?

R:曲ありきですね。このままのビートを使ってこの音はライヴでは出ないので、試行錯誤しながらライヴはアップデートしています。

T:(4 曲目:”Divorcer”)この曲はアッティラが参加していますね。

R:アッティラってさすがだなと思ったのは、アカペラで送ってきた素材を聴くと正直歌下手だなと思うんですがオケと混じると凄くいい感じになる、っていうか完璧になるんですよ。今年の初めにオーストラリアでツアーをしたんですけども、ちょうどSUNN O)))もツアーをしていて、アッティラが見にきてくれたのでライヴに参加してもらったのですが、ステージの横の見えない位置で椅子に座って歌ってました(笑)

T:なぜ?

R:たぶん契約上の問題があったのだと思います。彼はそれを言いたくなかったのか、変な理由をいっぱい付けながら椅子に座ってました(笑)。客には俺が見えない。でも声が聴こえる。ミステリアスボイス。クールだろ?って(笑)

K:メンバー全員が曲創りに参加しているのですか?

R:そういうわけではないです。この曲(6 曲目:”One Day Less”)はVampillia のキーボード・メンバーが創ってます。一応参加させたろうか、っていう感じで(笑)。元々ピアノの曲だったんですけども、外国人メンバーにデータを渡したら、こんな感じにされてしまいました。まずは僕らが曲を創って、デモを海外組のポールに渡します。彼はそれにビートを付けてくるので、そのビートに対して、ぼくらが録音していって素材をピートに渡すんです。ピートはVMO のために凄い装置を開発したらしく、それによりボコボコな音が出来上がる(笑)。ので、それをまたポールに回して、彼がミックスして出来上がる。というのが曲創りの過程です。

R:(7 曲目:”At The Bank”)ここから後半戦です。後半はさっき言ったARCA がブラック・メタルをやったらどうなるのか、というテーマで創られてます。( 9 曲目:”Pursuit Of Dignity”)これはBlackest Ever Black Metal 名義で創った時のデモが元になってます。

K:ライヴの前は根詰めて練習するのですか?

R:うちのメンバーはほんまにバカで(笑)、絶対に「大丈夫」って言うので、その”大丈夫”の根拠を聞くじゃないですか。でも絶対大丈夫じゃない根拠しか出てこない(笑)。物凄い温厚なPA さんがいるんですけども、そのPA さんが、「めちゃくちゃ遅いし、こんなポンコツだとは思わなかった」って言うぐらいです(笑)。だから死ぬほど練習します。あと、フロントにいるモヒカンじゃない爽やかな方のヤツの髪型が凄く嫌で、何かチャラい(笑)。ビジュアル系の音楽ではなくてアクションが好きらしいんです。音楽はTHEPRODIGY しか好きじゃないぐらいだったのでブラック・メタルを色々教えたら、DEATHSPELL OMEGA が一番いいと言ってました( 笑) 。でも、アクションはDEAFHEAVEN(笑)

K:対バンはアイドルが多いですよね。

R:本当はアイドルとテクノ系の対バンで押したいんですけども、アイドルのイメージが強すぎて(笑)。同じぐらいのバランスではやっているつもりなんですが、やっぱりアイドルは集客が強いですから、そういうイメージになってしまっているとは思います。あとアイドルから呼ばれることも多いので、そうなってしまいますね。そこはイーブンにしたい。こう見えてno wall, no music なんで。

K:VMO の初めの頃は、MC もほとんどなくて恐怖心を煽っていくライヴ自体が一つの作品のような感じだったと思うのですが、最近は前説があったりサンドバックを持ってきて蹴らせたりするパフォーマンスも多いですよね。

R:本当は僕は、あんなしょーもないパフォーマンスは嫌いなんですけどね(笑)。結局関西人ってどこかで笑いを取ろうとしてしまう。逃げですよね。とにかくあいつのしゃべりも動きも嫌なので、せめて髪型だけは変えてほしいんですけどね(笑)

K:でもお客さんは楽しいと思いますよ。アイドルのお客さんは結構なんでもノってくれるところはあると思うので…

R:バンドよりもアイドルの方がパフォーマンスとしては強いじゃないですか。その部分は凄いなと思います。ただなんでもノッてくれるお客さんに甘えるブラック・メタルってどうなんですか(笑)





K:ではブラック・メタル対談を始めましょうか(笑)

R:一つお聞きしたいことがあるんですが、ポスト・ブラック・メタルの始まりは何年ですかね。

T:どうなんですかね…ALCEST が始めとも言われてたりしますけども自分はもっと前からだと思っていて、90 年代の終わりとは00 年代初めぐらいに出てきたノルウェーのVEDBUENS ENDE やMANES とかイタリアのEPHEL DUATH とかのアヴァンギャルドなブラック・メタルですかね。これまでのブラック・メタルとは違うブラック・メタルという意味合いでのポスト・ブラック・メタルという認識でした。それがいつの間にかポスト・ロックに近いブラック・メタルがポスト・ブラック・メタルと広く言われるようになっていました(笑)。ALCEST 以降のことなんですけども、間違ってはいないけどもなんか違うんじゃないかっていうのはあります。

R:FAXED HEAD っていう、CAROLINER RAINBOW とかマイク・パットンのMR.BUNGLE 周辺のヤツらが組んだバンドが、凄く変なブラック・メタルをやっていて、来日もしていてBOREDOMS 周辺とも一緒にやってるんですけども、自分はそれが凄く好きなんですよ。あとPESTE NOIRE もアホっぽいですよね(笑)。そういうのがやっぱり好きですね。ALCEST とは凄く仲が良いんですけども、EP の『LE SECRET』が出たのが確か05 年だったと思うのですが、ポスト・ロックとブラック・メタルを混ぜるのは実は彼等よりもたぶん自分達の方が先だったはずなんです。ただ彼等の混ぜ方は凄く分かりやすいじゃないですか。だから負けました(笑)。DEAFHEAVEN とかってどうなんですか?

T:DEAFHEAVEN はもう完全に新しい形のものだと思います。ブラック・メタルの要素もあるんですけどもどちらかと言えばハードコアの方が近いのかなって思います。

R:DEAFHEAVEN についてKRALLICE のミック・バーと話したことがあって、彼はDEFHEAVEN は、メロディーが好みじゃないということだったんですが、KRALLICE も初期は、そこはかとなくメロディアスだったのに最新作ではそういう部分がなくなったのはそういう事なのかと。でもLITURGY は好きらしいんですよね。バンの中でLITURGYのボーカルの物真似をみんなでやりましたね(笑)。それとKRALLICE のコリン・マーストンによると、彼がやっているスタジオに来るアーティストのほとんど全員が壁にあるLITURGY のレコードを指差して悪口を言っていくらしいんです。でも僕自身もLITURGYはチャレンジ精神に溢れているし、おこがましいながら考え方も似ていて、ヒップ・ホップとブラック・メタルを混ぜるだのアホなことをがんばっていて凄いなと思います。僕は大好きです。

T:LITURGY は一時期SNS で凄くエラそうなことを言って色々と叩かれたみたいですね。

R:たぶん天然なんじゃないですかね(笑)。メタラーからめちゃくちゃ嫌われているみたいで。自分達も一緒で、Vampillia がイギリスのCandlelight Records からアルバムを出した時、DIRTY PROJECTORS などをリリースしていたWestern Vinyl からも話があったのですが、Candlelight の方がデカい規模のレーベルということに目がくらんでしまったんです。それ以前にCode 666 からも僕らはリリースしているんですが、アヴァンギャルド系が好きな人からは凄く高い評価を得ることが出来たんですけれど、メタル・サイドからは酷評でした。それなのにまたメタル系レーベルのCandlelight と契約してしまうというミスを犯しています(笑) COHOLがOsmose Productions からアルバムを出すのはハマるじゃないですか。でもVampillia だとCandlelight のレーベルの人はもちろん自分達の音楽性を理解してくれるんですけども、リスナーであるメタラーにはまったく響かないみたいですね(笑)。くやしい(笑)! 精進します。

T:それって海外の評価なんですよね。

R:でもライヴをやると受けるんですよ。音源では伝わりにくいみたいですね。僕はあまり好きではないんですけども、もっと分かりやすくてピュアなモノの評価が高くなるみたいです。

T:う~ん、メタル的にどうこうではなくて評価される場所がないってことなんですかね…

R:いつでもそうなんですよね…まあ単純に力不足なだけなんですよ!いききってないんです。Vampillia のオフィシャルサイトの来歴にも書いているんですけども、SXSW に出た時にBAD BRAINS のマネージャーが見に来ていて、「お前ら、俺たちと一緒にツアーするぞ」と言ってきて是非お願いしますっていう感じだったんですが、そいつが「お前らは俺にとってはSIGUR ROS や。でも普通に人にとっては捉えどころがないからそこだけが問題だね」って言われました。

T:日本のバンドって海外の人からはストレンジだという評価を得ることも多いような気もしますが、やはり日本人とはちょっと違う感性なんですかね。

R:ストレンジというのはまだいい意味合いも含まれるじゃないですか。BORIS とかもちょっと面白い部分があると思うんですが、それが外国人にとってはシリアスだったりするしストーナー文化が凄く強いのでそこの部分で評価されたりもしていますよね。でも僕らの場合はマジでストレンジなんでしょうね。そのくせ、いききれてない(笑) ツアーをやると色んな人から凄いねと言われるんですが、いざそれを差し込むちょうどいい場所つまりシーンがまだないんだと思います。自分達もブラック・メタルだと思ってやっていないので、ブラック・メタルにカテゴライズされても困るんですが、やはりカテゴライズは必要なんだなと思います。海外ではそんなことは関係なしにいけると思っていたんですが、そういう訳でもなかったんです。やっぱり分かりやすいのが受け入れられやすいっていうのは日本も海外も共通なんだなって思います。だからこそVampillia はもっと強くなり、自分達の生きた証を刻み込むため、身を削ってなんとかします。必ずや。

T:その辺は日本人の方が細かいのかなとは思ってました。特にメタル・ファンは分かりやすい方の受けが圧倒的にいいですし、これは何とかメタルとかカテゴライズするのも好きじゃないですか。

R:一緒でしたね(笑)

T:それはメタル・ファンだけに限らずなんですか?

R:そうですね。もうチャレンジですね。ただ何度もいいますがわかりにくいものをわかってもらうには、いききらないとダメなんだなと。高校の時の友達で、当時はメタル差別じゃないけど完全にメタルってダサいって時期で、GLAY が正義だったんですが、そいつは凄くて、ビリー・アンダーソンとかの音が凄い好きだったり。BURZUM もそいつに勧められて。僕はスラッシュ・メタルもちょっとは好きだったんですが、ブラック・メタルだけは結構本気で好きになりましたね。

T:では一番初めに聴いたブラック・メタルはBURZUM だったのですか?

R:そうですね。BURZUM とかMAYHEM ですね。VENOM とかは古いなって感じました(笑)。僕にとってブラック・メタルは究極のアートだとも思います。だってブラック・メタルって変じゃないですか。自分はギター・ソロが苦手なんですが、ブラック・メタルってただ一貫してトレモロ・リフとギャァアアって声じゃないですか。でもそこに何かある。精神世界と変な音楽観が同居してるみたいな、そういうのが凄くいいです。STRIBORG とかああいうのが凄く好きですね。LEVIATHAN とかは自分的には北斗の拳過ぎるんですが、XASTHUR は凄く好きです。STRIBORG は聞いた話によると物凄く変なヤツらしいですしね。変なやつ最高ですよ。

K:普通に生活していたらブラック・メタルの情報なんて入ってこないじゃないですか。知るきっかけって何だったのですか?

R:それはさっきの高校の友人ですね。そいつにブラック・メタルは色々教えてもらいましたね。ICED EARTH とかIN FLAMES もちょうどその時期に出てきて、IN FLAMES の2nd アルバムはカッコいいなと思いました。あととL.A.メタルは子供の頃から好きなんですけどね(笑)

T:世代的にL.A.メタルはリアル・タイムではないですよね。

R:母親がTWISTED SISTER とかが好きで家でもああいうのはよくかかっていたので、それもあって好きでしたね。やっぱりブラック・メタルが一番好きなんですか?

T:そうですね。やっぱり面白いですからね。色んなタイプの音があったり、あっ、こんなのもありなんだていう発見もかなりありますからね。

R:一方で、キラキラしたメタルとかも好きなんですか?

T:凄く好きなわけではないですが、別にピロピロした速弾きギターとかハイトーン・ヴォイスとかも全く苦になることはないですし…元々そういうバンドも好きではありました。

R:そういうバンドにも面白いのはいるんですか?ステレオタイプじゃないというか…。

T:結局同じパターンにハマってしまうバンドが多くて、すぐに飽きてしまうところはありますけど。

R:結局メタルって一つの流れが出来るとそこに群がるような感じが…それが強く出るジャンルなんですかね。なんでもそうなんですけどね(笑)

T:そうですね。どのジャンルにもあるのかもしれないですけど、一つ成功したバンドがいると、そこに一気に同じタイプのバンドがいっぱい出てくるという傾向は強いのかもしれませんね。

R:初期のブラック・メタルってみんな同じようで実は全然違う音だったりするじゃないですか。

T:そうなんですよね。全然違うんですよね。

R:でもそれが一つのシーンになっているのが凄いし、アートワークやロゴのデザインとかも素晴らしいですね。僕は偏ったアートでしかも美しい音楽っていうのが初期のブラック・メタルだと思うんですよ。今凄いって言われているブラック・メタルって何かありますか?

T:最近ですか…いいなってバンドはいますけど、衝撃を受ける程というのは…ここ3、4年ぐらいの間にポスト・ブラック・メタルと言われるバンドがたくさん出てきて、そこから先が頭打ち状態なような気がしますね。もちろん、ノイズに近い音を出したり変なのもいたりして面白いバンドはいるんですが、シーンとしての流れにはなっていないというのが現状なのかもしれませんね。

R:今のメタルの主流って何ですかね?

T:海外ではやっぱり若い人はメタルコアとかになっちゃうのかも知れないですけど…

R:KILLSWITCH ENGAGE とかはまだ人気あるんですか?

T:もうビッグなバンドになっちゃってます(笑)

R:僕はハイテククノロジーな音が苦手で、ブラック・メタルってもっとRaw じゃないですか。WOLVES IN THE THRONE ROOM とかアナログな感じが凄い好きですね。

T:そうですね。ブラック・メタルってそういう音を出すバンドが多いですねよ。それが凄くカッコいいんですけどね。

R:全然関係ない話なんですが、アッティラがMAYHEM でライヴをした時に、「贈り物です!」って届いたダンボールの中に●●(自主規制)が入っていたらしいです。当時ブラック・メタル・ファンの間で●荒らしが流行っていたらしいです…。超夢がある話ですよね(笑)ブラック・メタル・ドリーム!

T:えっ!それっていつ頃の話なんですか?

R:いつですかね…彼がMAYHEM に復活してからだと思いますよ。

T:ここ10 年以内のことじゃないでか!そんなことあったんですね。

R:大きなニュースとかになってなかったんですか?

T:う~ん、初めて聞きました。多分ニュースとかにはなっていないと思います。っていうかそれってかなりヤバいことですよね。

R:ヤバいですよね。VMO でメンバー名をGORGOROTH とかIMMORTAL とか名前を使ってるんですが、大丈夫なのかな…(笑)。もちろんリスペクトはあるんですけど。次のアルバムではさらに次世代のブラック・メタルの名前を使おうかなって思ってます。VMO で今回使ったバンドが第一期だとすると、今の世代のブラック・メタルとの間に位置するってどんなバンドになるんですかね。CRADLE OF FILTH とか?

T:そうですね…あとDIMMU BORGIR とか…

R:正直、その辺にはあまり思い入れはないなぁ…KRALLICE とかLITURGY とかに行く前のは??

T:DEATHSPELL OMEGA とかXASTHUR とかですかね…

R:う~ん。その辺は比較的新しいような…そのちょっと前ぐらいになるのは??…DARKFUNERAL とかなんですかね…

T:DARK FUNERAL はやっぱり第一世代に近い気が…

R:DARK FUNERAL って凄い人気あるみたいですね。ぼくらのエンジニアが言ってました。奴らを見習え!と。いやいやいやいやいやみたいな(笑)

T:そうですね。一時期メンバーが決まらず何年かほとんど活動してなかったんですが、今年出したニュー・アルバムの反応を見てみてもやっぱり人気ありますね。

R:そう言えば、前にEMPEROR が日本に来た時、彼等はCandlelight 所属じゃないですか。なので、前座は絶対自分達だろうと思っていたらSIGH がやりました…(笑)だからCandlelight での売名作戦も憧れのEMPEROR の前座も僕がCandlelight に描いていた希望はこの時全て潰えたのです(笑)そういえばCandlelight って買収されたみたいなんですけど。

T:Spinefarm に吸収されちゃいましたね…

R:その話も自分達のところにはレーベルからちゃんとした知らせが来てませんからね…知人から皆さんはもう当然知ってるとは思いますがーって。知らないし!ってなって、担当の人にメールしたら買収されたから俺はもう辞めた、これから何かあったらこいつに連絡してくれみたいな…僕らは3 枚契約なんですよ。ただもう二度とCandlelight からは出したくないと思っていたので、ちょうど良かった(笑)。メタルレーベル恐怖症(笑)。でもレーベルのサイトにバンドが載っているのはいいことなんで、しばらく載っけといてもらおうかなと(笑)。こんな事言っときながらビッグなメタルレーベルからオファーきたら2つ返事でオッケーしてまた同じ事になるんですよ!どうせ僕らなんて(笑)

T:Candlelight は買収されてからリリースがかなり減ってしまって、前は毎月2~3 タイトルぐらいはコンスタントにリリースがあったんですけども、今は数か月に1,2 タイトルぐらいになっちゃってます。

R:出してくれと言っても出してくれなくなったんですかね?契約書にはちゃんとサインしたんですけどもまったくお金が入ってこない。海外のレーベルってそういうところ多いらしいですね。まあ僕らの場合は売れてないからそもそも払うお金がないんだろうけど(笑)でもそこそこ売れてそうな人達も同じような事いいますよね(笑)

T:確かにそういう話はよく聞きます。ライヴのプロモーターとかも結構いい加減な人が多いらしいですね。大分前にある取材の時に聞いたんですが、DESTRUCTION のシュミーアが、ルーマニアだかブルガリアだかのプロモーターがライヴ終わった瞬間にお金持って行方不明になりやがったって怒ってました…(笑)

R:オーストラリアがヤバいみたいです…Big Day Out っていうオーストラリアで一番大きかったフェスが潰れた理由が凄くて、アーティストがキャンセルしてもそのアーティストに責任はないって契約書に明記されていたらしいんです。でxxxx がキャンセルしたら借金が凄いことになったらしくてフェス自体が潰れたらしいです。xxxx が悪いんではなくてそんな契約にする方が悪い…。Soundwave も今年中止になったじゃないですか、ギャラ全部未払いらしいって!ほんとかは知らないけどオーストラリアすげーなと!穴掘りバブルフォーエバー!





K:では最後に一言お願いします。

R:Vampillia が参加した戸川純の35 周年記念アルバムがもうすぐ出来上がるので、これも是非聴いて頂きたいです。VMO よりも全然聴きやすいです(笑)

K:戸川さんとは繋がりがあったのですか?

R:一回対バンしていたのと、Vampillia をフューチャーリングした曲を1 曲やっていました。そして戸川さんが35 周年記念アルバムをVampillia と一緒に創りたいと言ってくださったんです。12 月14 日にリリースされる予定なので是非よろしくお願いします。

K:アルバム丸ごと参加しているんですか?

R:そうです。戸川さんの代表曲を9 曲、僕らがアレンジして戸川さんがボーカルを入れていくという感じで創られたのと、あと新曲も入ってます。Virgin Babylon から出ます。僕らはついに色んな事に気づいたし、やっと音楽が何かがわかった気がするんですよ!だから来年が楽しみです!(笑)Vampillia もVMO もモヤモヤ、フニャフニャしたものはこの先も絶対につくりたくないんですよ!ハッキリとした突き抜けたものをつくりたい!そう、カニエ・ウエストの発言や態度みたいな音楽をつくりたい!以上(笑)


  • VMO / Catastrophic Anonymous
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    • 特典終了

    Catastrophic Anonymous

    VMO

    2016年10月26日 / CD / JPN

    2,200円(税込)

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