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渋谷毅, 市野元彦, 外山明,5年あまりの“時"“ライヴ"を重ね、録音された極上の一作
奥行き深い美しさ、懐かしさ、ユニークさも垣間見せる音の世界
★往年のジャズ・ファンから、“おかあさんといっしょ"や“みんなのうた"といった童謡に親しむファンまで、老若男女の心をつかむ渋谷毅、オーガニックな演奏からバンド"rabbitoo" まで幅広い活動で注目を集めるギタリスト、市野元彦、個性派パーカッショニスト、外山明。これ以上になく自然体な鬼才3 人による一作品。
★始まりは、6, 7年ほど前、神戸のビッグ・アップルで、ライヴのインターバル時間にかかっていた市野元彦作品『Time lows(like water)』を渋谷さんが耳にしたことがきっかけ。市野さんの音楽を気に入った渋谷さんが共演を希望。2 人がそれぞれに出演していたジャズ・バーのマスターの紹介によって、静かにドラマは始まりました。
☆しかし、初共演から波長はぴったり。渋谷さんいわく、“市野さんとは、ハーモニーに対するセンスに似たものがあって、美しいと思うものに共通したものがあるみたい"とのことなら、“渋谷さんは譜面を見ただけで、曲の世界を特別なサウンドにしてくれた"というのが市野さんのコメント。
☆そして、作品は昨年2015 年8月に、ゲストという形をとりつつ、最近のライヴでは、ほぼレギュラー的に加わっている外山さんが、全面的に参加したトリオ編成で録音。ピアノ- ギター- ドラムという形は変則的ながら、渋谷さんにとっては、自身のオーケストラのギタリスト石渡明廣さんとの月の鳥が外山さんを迎えているように、これが必然。そして、いい意味で3人の素の姿が記録された作品になりました。
★曲はライヴで演奏してきた市野さんのオリジナルが中心。
☆思いついたメロディをコアにして、時には繋ぎ合わせたりもして曲をつくっていく、という市野さんのオリジナルは、美しく、かつ、とてもユニーク。何々風、誰々スタイルなどと、理論では決してくくれない自由なものであるのはもちろんながら、その世界は誰もが心の中に抱くノスタルジーをかき立てるような世界もあれば、仮想の記憶の中にまぎれ込むような世界も。“演奏していくうちにどんどん気に入っていってね。"と渋谷さんが語るオープニングに始まり、イマジネーションに満ちた世界は、不思議な魅力に満ちています。
☆楽曲の一瞬一瞬にまるで命を吹き込むような演奏もこの3 人だからこそ。渋谷さん市野さん共に、それぞれが奏でる“なにげないのに美しい音の世界"をお互いにリスペクトしていますが、メロディの流れやリズムといったベースの奥にある音色や音の息づかいには新鮮な驚きがいっぱい。また2 人の世界を自由に泳ぎ、ストーリーを感じさせる外山さんのドラミングも素晴らしいものがあります。
★市野さんいわく、<3人で一つの楽器・音楽を奏でているよう>という波長のあった心地よさと、はっとさせる美しさにみちた演奏の数々。深い余韻が残ります。
■渋谷毅(p)
市野元彦(g)
外山明 (ds)
TAKESHI SHIBUYA / 渋谷毅