1938年生まれで今年80歳となったサンバの生きる伝説、マルチーニョ・ダ・ヴィラ。1stアルバムのリリースは1969年で来年には50周年となる。そんなマルチーニョの待望の新作が本作『BANDEIRA DA FE』である。 タイトル曲は自身の楽曲ではあるものの、これまでにルイス・カルロス・ダ・ヴィラとアジェペーが歌いヒットさせていたもので、自分自身で歌うのはこれが初めて。セルフ・プロデュース、自身の娘たちであるマルチナリア、マイラ・フレイタス、さらにはサンバ×ヒップホップの名ラッパー、ハッピン・ウッヂといった面々を迎えつつ、70年代のサンバ黄金期を思わせるアコースティック・アンサンブル、そして一聴してマルチーニョとわかるいぶし銀の歌声を披露する全12曲。王道サンバらしい風格はこれまで同様ですが、音色の隅々にまでこだわったようなその完成度の高さはここ10年くらいのマルチーニョ作品のなかでもピカイチの出来と言えるでしょう。王道ブラジル音楽ファンに自信を持って薦めたい一枚です。
