ヴィンテージな薫りを持ったオルガン/シンセや粘っこいギター、サックスによって形作られたサウンドはまさしく60/70年代のブルース/ファンク/サイケからインスピレーションされたものでありながら、各ジャンルのサウンドをコンパクト&スマートな形にブラッシュアップしたうえでクロスオーバーさせた、過去のサウンドの単なる模倣とは程遠いその作風は、必ずやプログレ・ファンにも大きくアピールするであろう逸品。度重なる曲調の変化によってフリー・ジャズ~即興音楽にも近い緊張感や危うさも秘めつつ、あくまでユニゾン部の旋律はメロディアスに仕上げられており、その塩梅もまた絶妙。Phil Millerをも思わせる線の太いギターとサックス/キーボードが颯爽と駆け抜ける、現代版カンタベリー・サウンドとも言うべき'Effect Of Creation'に始まり、タイトル通りブルース色濃いめのサウンドとパーカッシブなグルーヴが同居した'Backyard's Blues'、アコースティックギターが軽快に鳴り渡る出だしから70sオルガン・ハード/ヘヴィ・サイケまでコロコロと姿を変わる曲展開を盛り込んだ、プログレ的な性質が強く出た組曲'Tales...'など、どの楽曲も一瞬たりとも聞き逃すことの出来ない魅力に溢れた好作。
