ECMワイン雑感 JazzPerspective 山本隆

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2019.12.20

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ECMワイン雑感
JazzPerspective 山本隆


このワイン初回入荷はすぐに売り切れて、その後数か月して二度目の入荷があった。思っていたより好評でやれやれという気持ち。最初に50周年記念のECMワインをリリースしたいと思った瞬間の話を今日は整理して書いてみたい(今までもいろいろちょこちょこと書いてはきたが)。
7度目のミュンヘン出張(2014年4月)に際して、「一度ECMのオフィスに行きたいんだけど」とマンフレッド・チャフナー氏にお願いをしてみた。「彼は携帯を持たないしオフィスにもあまり来ないのでコンタクトつけるのが大変だけど」と言いながらも日程を調整してくれた。
4月9日、小雨降る寒い朝、チャフナー氏の住むパージングからECMオフィスへタクシーを走らせた。15分ほど走るとそこは小さなショッピングセンターのようでその一角のビルの前で車を降りた。倉庫みたいな外観でボクのイメージとは少し違った。正面玄関を入ると、ヴィンテージ風の電気製品が並べてある。ステレオとかテレビとか、50年は経過してそうな年代物ばかりだ。なんでこんなものがここに展示してあるんだろうとチャフナー氏に質問してみた。するとこういうことであった。
ECMレーベルはご存知のように1969年のマル・ウォルドロンの『Free At Last』より歴史が始まる。その日、バウアー・スタジオがあるルートヴィヒスブルクに向かうクルマに同乗していたのは、マンフレッド・アイヒャー、マンフレッド・チャフナーそしてカール・エッガーの三人だった。両マンフレッドは音楽的な部分を担当していた。ではカールはどうだったか。実はカールは財務部分、つまり資金的な部分で参加していたのだった。カールの実家は「Elektro-Egger」という電気店で設立当初のECMの事務所はその店舗に間借りしていた。
ということで、エッガー電気商会の商品なども記念に展示してあるということらしい。
それらを眺めながら二階へ行くとECMのオフィスがある。一部屋に一人、ないしは二人といういい環境で仕事をしている。廊下を挟んで小部屋がある。どうやら売店のようだ。見渡すと奥にはECMのCDが面展示されている。レコードもカセットテープもあるようだ。それからバルサミコ、スパゲッティ、トマトソース、オリーブオイルなども売っている。ワインもあるぞ。「LaSelva」と書いてある。「ラセルヴァ」ってなんだろう。またまたチャフナー氏に訊いてみた。
1980年カール・エッガーさんは、有機農法に特化した農業を志し、イタリアのトスカーナへ移住したというのだ。農薬や化学薬品を使用しない農産物の生産をやりたいと。「オーガニックな音楽からオーガニックな食品」へと方向転換を図ったというわけだ。その名前が「LaSelva」ということだ。当初78ヘクタールの農場が今では、450ヘクタールを誇る。そのうちの20ヘクタールでワインの生産、ワイン醸造家ローランド・クレブザーを迎え本格的にワイン事業を展開、年間20万本を出荷している、ということらしい。
なんかECMに関係したワインがあることに嬉しくなった。何か仕掛けられないか少し考えてみた。5年後ECMはレーベル設立50周年を迎える。作品のジャケットをワインのラベル(エチケット)デザインにできないだろうか。赤ワイン、白ワイン、そして非売品のCDをつけて豪華ボックス仕様にして売れないだろうか。いろいろ考えていたら5年が経過してしまった、ということだ。
あの日、ECMのオフィスを訪問していなかったら、そもそもこの件は思いつかなかったと思うと、少し感慨深いものとなった。

追記
実質的に何をどうやっていたのか、ということに触れてなかったので追記します。3年ほど前から、ECMオフィスのハイノ氏には、どのジャケットをラベルに使ったらいいだろうかという相談し、あーだこーだと決まるものも決まらずに嘆く日が続いた。トスカーナのワイナリーのクレブザー氏とは輸入する数量についてあれやこれやともめていた。1種類最低ロット1,200本!のオーダーが必要と言われて、「そうか1,200本とはずいぶんと敷居が高いな、いちレコード店が手掛ける本数としては多すぎるのではないか」と逡巡しそしてこの話はそこで暗礁に乗り上げた。その後、このラセルヴァのワインを輸入している代理店ヴィノスやまざきの担当者との知己を得、「ECMのワイン大々的にやりましょうよ!1,200本なんて要りませんよ、100本200本で行けますよ!」ということになり一気呵成にことが進むことになったのだった。ヴィノスさんとのマッチングをしていただいた包装関連会社のMさんには大感謝です。その決起の会が2018年5月だったからそれでも1年以上はかかったということです。


JazzPerspective 山本隆編集長がECMオフィスを訪問した際の貴重な写真を公開

※画像クリックで拡大表示
入口付近に展示してある年代ものの電気製品。



ECMオフィスの入り口。



ECMの売店。CD、レコード、オーガニック食料品までいろいろ売っていて一般の人も買いに来る。



廊下に掲示してあるECMとLaSelvaのサインボード。



記念に撮ってきた。マンフレッド・チャフナー(左)マンフレッド・アイヒャー(中央)筆者
なお、チャフナー氏は2019年9月6日永眠した。




ECM 50周年記念ワイン大好評発売中!!



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