ザ・なつやすみバンド が聴く/選ぶ2019年ワールドミュージック年間ベスト

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2020.01.11

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2019年の年間ベスト企画の一環として登場していただくのは、結成10年を迎え、“旅行三部作”となるその第一弾『Terminal』を昨年末にリリースしたばかりの ザ・なつやすみバンド! cero や TAMTAM のような若い世代がワールドミュージックを聴いている/影響を受けている、ということが月刊ラティーナ2018年6月号の特集「特集:ぼくらの音楽 ポップミュージックとワールドミュージックの新世代」などで可視化された2010年代後半でしたが、Real Soundで掲載されたインタビュー、「ザ・なつやすみバンド 中川理沙が語る、ブラジル音楽の魅力と自作への影響」でもおわかりいただける通り、特にブラジル音楽やアルゼンチン音楽にシンパシーを感じているというザ・なつやすみバンドから、ヴォーカルであり作詞作曲を担当する 中川理沙 と、ザ・なつやすみバンドにスティールパンで参加する傍ら、自身が率いる 片想い でも活躍する MC.sirafu の両名に、こちらが提示するワールドミュージックの年間ベストタイトルを聴いていただくとともに、それぞれの年間ベストも発表していただきました! ザ・なつやすみバンド を入り口にこれからワールドミュージックに触れる方も、この記事をきっかけに ザ・なつやすみバンド を知ったというワールドミュージック・リスナー、どちらも必見の内容となっております!
選盤 / 質問作成 / 構成:ディスクユニオンラテン部門
ザ・なつやすみバンド / Terminal

Terminal

ザ・なつやすみバンド

TNBレコード / JPN / CD / TNBCD004 / 1008015885 / 2019年12月04日

  • 日本のロック
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KATAOMOI / 片想い / LIV TOWER

LIV TOWER

KATAOMOI 片想い

カクバリズム / JPN / CD / DDCK1064 / 1007944019 / 2019年09月04日

  • 日本のロック
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3,080円(税込)

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・2019年を振り返ってどういう一年でしたか?
中川理沙(以下、中川) ザ・なつやすみバンドとしては小渕沢のスタジオで合宿をしてミニアルバム『Terminal』を作ったり、初めてビルボードでライブをしたり、1日3ステージを2日間やったり、町のお祭りでいつもの曲を盆踊りverにアレンジして演奏したり……色々チャレンジした1年でした。個人的には空気公団の山崎ゆかりさん、tico moonの吉野友加さんと『ユカリサ』というバンドを組んでライブやレコーディングを行ったり、ソロでプラネタリウムライブをしたりサポート的なこともいくつかしていたので新しい出会いや試みにずっとわくわくしていました。そしてあっという間に1年が過ぎ去りました。
MC.sirafu(以下、sirafu) 自分のバンド(ザ・なつやすみバンド、片想い)のリリースをひたすらやってた一年でした。まぁ毎年のことですが。


・2019年に行かれたライブで印象的なものはありますか?
中川 2019年は素晴らしいライブをたくさん観たなぁと思っていて。特にギンガ&モニカ・サウマーゾは印象的でした。実はそんなに知らない状態で「モニカの歌を生で聴いてみたい」って感じで観に行ったのですが、聴いたことのないような不思議な音楽に包まれて、色んな情景が浮かび続ける衝撃的な体験でした。それと夏に観たアカ・セカ・トリオ。ホールじゃないので緊張せず観れたのも助かりでしたし、人や音楽への愛が溢れまくった演奏でとてもエモくて泣けた…。3人のハーモニーが美しすぎて、心臓のあたりがずっとぽわっと浮いたままでした。あとでPAの葛西さんからマリアノ・カンテーロのワークショップの話などを聞いたら面白くて、参加すればよかった!と嘆きました。あとパンチ・ブラザーズも素晴らしかったです。真ん中のマイク一本を全員で囲んで演奏して、距離を取りながら完璧なバランスを作っていく姿はグッときました…。理想的なかたち。
sirafu 生活のバランスにおいて、音楽を聴いていない時間を重要視しているので、ライブはほとんど観ませんでした。


・普段サブスクとフィジカルはどんな割合で聴いていますか?
sirafu サブスクは自分のタイミングに合わせられるのでとても重宝しています。行った先でレコードに出会ったら買います。
中川 サブスクはネットや雑誌などで気になったものを試聴するときに使っています。それで気に入った音楽はモノとして欲しいので、購入することにしています。サブスクにないものもあるし割合でいったら半々くらい…?


・今興味を持っているシーンや界隈(国内外問わず)はありますか?

中川 相変わらず南米音楽に興味があります。ハマったのが遅かったので、新しい音楽を追いかけてゆきたいと思いつつも、ルーツの方がまず気になっていて、ちょっとずつ掘ってゆきたいです。そして他の国の音楽も知りたい!
sirafu 最近もう疎いのですが、昔でいう「CHEAP」「IRDIAL」みたいなユニークで良質なエレクトロニックなレーベルの流れで、細々とオーストラリアのKEN OATHとか辺りいいなぁ、と思いながら聴いています。あとここ数年ですが、Thrill Jockeyのメタル変動はめちゃくちゃ好きです。こういう信用あるレーベルが全く予期せぬベクトルで進化を遂げて行くのは素晴らしいですね。


・では、ここからはお二人にこちらが選定したワールド部門の年間ベストタイトルから色々聴いていただいて、コメントをいただければと思います。
まずはブラジル。坂本慎太郎、デヴェンドラ・バンハートとコラボレーションしたO TERNOなど若手ベテラン、再発問わず素晴らしい作品が今年も多くリリースされました。




マルコス・ヴァーリ『センプリ』

sirafu これ本当にマルコス・ヴァーリですか?
中川 ジャケ通りイケイケで最高です。私の生活から遠くかけ離れた音楽なのですがクセになります。DJするときは流したいです。



O TERNO『ATRAS / ALEM』
中川 1曲めからキュンとする。素敵だー。
sirafu ベストに入れたかったやつです。愛聴してました。チン・ベルナルデス『RECOMECAR』が最高だったのですが、ミニマムなバンドの方が好きです。坂本さんのカットインの異質感はずるい&さすがです。死ぬまでに共演したいバンド。



ANA FRANGO ELETRICO『LITTLE ELECTRIC CHICKEN HEART』
中川 ネットで見て気になっていました。ジャケ的になんとなくフォーキーな雰囲気なのかなと思ってましたが心地よいポップスでかなり好みです! MVもライブ映像も観ましたがかわいい! 買います〜。
sirafu 聴き逃してました。素晴らしいですね。やっぱり一曲目でS.S.Wにミニマリズムなアプローチされてしまうと(しかも女性!)もうお手上げです。若い時にRickie Lee Jonesの「POP POP」を好きな女性からプレゼントされたのですが、そんなプレゼントに最適だと思います。オシャレさとポップスと切なさと可愛さが同居した1枚。






ムーンズ『シンキング・アウト・ラウド』
中川 何度か聴いてますが聴けば聴くほどしみじみいいです。しとしとしている時に聴きたい。



FABIO GOUVEA『DECENIO』
sirafu マイアラ・モラエスさんは何かでTL流れて来てチェックしてたのですが、このBLAXTREAMってレーベル良さそうですね。再度チェックします。
中川 ブラジルのこうゆう感じ、心地良くてずっと聴いてられる…。好きです。



トニーニョ・オルタ『ベロ・オリゾンチ』
中川 ベストアルバムなのかなと思っててとりあえずお金に余裕があるときに…と買うタイミングを逃していたのですが、ディスク2は未発表曲だったんですね。やっぱりトニーニョ・オルタは大好きだな! 泣ける。



ALEXANDRE ANDRES & ANDRE MEHMARI & BERNARDO MARANHAO『RA』
中川 年間ベストに選ぶくらい大好きです。



ANDRE MEHMARI & NEYMAR DIAS & SERGIO REZE『NA ESQUINA DO CLUBE COM O SOL NA CABECA』
sirafu アンドレ・メマーリ! こんなピアノ弾けたらなぁ。というのは月並みな感想ではなく、ピアニストの美学が鼻につくたちなので、こういう情景を提示できる演奏は本当にスンバラシイ。



パウラ・サントーロ & デュオ・タウフィッキ『トゥド・セラ・コモ・アンチス』
中川
ブラジルの声の低い女の人の歌って好きです。ミルトンやトニーニョの曲はまずカバーで知って好きになることが多かったことを思い出した。歌い継いでゆくことは尊いなぁ。



LEONARDO MARQUES『EARLY BIRD』(2019年LP化)
sirafu 鳥ジャケにハズレなし。僕の鳥ジャケアーカイブにインされました。
中川 夏に聴きたい! 早く夏になってほしい。



LO BORGES『RIO DA LUA』
中川 1曲めからかなりロー・ボルジェスな感じで嬉しくなりました。自分が聴いてきたようなロックと、ミナスの自由で不思議なコード感、展開が融合されているようなところが面白くて大好きになったのですが今作もそういった意味で変わらず、新しい曲達を聴けて嬉しかったです。
sirafu ミナス感てなんなんでしょうね。コードだけでは割り切れないものって音楽にはあるよな。






SESSA『GRANDEZA』
sirafu 南米のS.S.Wに思うのは、言葉の音像までが唄だということ。シンプルなアレンジなはずなのに、結局空気感というアレンジにヤラレてしまうのだ。



WERTHER『WERTHER』(再発)
sirafu 即ポチります。南米ものリイシューやってらっしゃる方々、頭下がります。



エヂソン・ナターリ『ニナ・マイカ』(再発)
sirafu 90年の作品なんですね。凄い。この頃のエレクトロミュージック、アシッドジャズしかり、今聴くととてもジャンルで語り切れないものが多く、この時代のターンテーブルに乗ることで再評価できる流れを感じています。



MENTAL ABSTRATO『UZOMA』(2019年LP化)
sirafu Herbie Mann meets レアグルーブ@サンパウロ みたいな感じで、良いです。めちゃくちゃいい音響の人のいないクラブで大音量で聴きたいです。



ヒカルド・ヴァルヴェルヂ『シレー・ヂ・ヴィブラフォン』
sirafu ヴィブラフォンとパーカッションの皮の音域って最高ですね。僕が酔いをキープしてる時のゲージの高さと近いので、この表層グルーブは心地よさもキープさせるでしょう。



SERGIO SANTOS『SAO BONITAS AS CANCOES』
sirafu これ録音凄いですね。。アンドレ・メマーリさんが録音から全部やってるのか。いつか録ってもらいたいなぁ。。



・アルゼンチンでは来日公演も楽しみなクリバスを率いるJUAN FERMIN FERRARISのソロ名義作や、待望の来日公演を行ったSEBASTIAN MACCHIなどがトピックだったかなと思います。意外なところでは、民族打楽器多重録音+オートチューン・ヴォーカルなPABLO LA PORTA、そしてフォルクローレにトロピカリア、サン・ラ、キャプテン・ビーフハート、ザ・レジデンツ、さらにはUFOなどの陰謀論、過激な哲学を闇鍋で煮込んだようなLOS SIQUICOS LITORALENOSというような作品がリリースされた年でもありました。



JUAN FERMIN FERRARIS『35MM』
sirafu 躍動感溢れるミュージックコンクレートって最近無いな、でも懐かしいな。て考えてみたら、昔石垣島でSeigenOno聴いてた時を思い出しました。



セバスティアン・マッキ・トリオ『アグアシラバス』
sirafu 落ち込むくらい美しいです。



DOLORES COBACH『PLUMAJE』
sirafu 「ゔぉーかる」ですね素晴らしい。アンサリーさん以来の、胎内に還る様な感覚に包まれます。女性とはなんで、偉大なんだろう。



MIL TIERRAS『NOCHE』
中川 アルゼンチン音楽の好きな部分がぎゅっと詰まってて落ち着きます…。素敵。



PABLO LA PORTA『UN LUGAR』
中川 ドンキーコングのサントラ感があります。
sirafu 多重録音なんですね。オートチューンの時点で聴いててどうでも良くなりました! 好きな人は好きなんじゃないですかね!



LOS SIQUICOS LITORALENOS『MEDIANOS EXITOS SUBTROPICALES VOL. 2: EL RELINCHO DEL TIEMPO』
中川 シラフさんが好きそうです。
sirafu 面白いですね。悪いパスカルズみたいだ。





・昨年はチリからも良い作品が多く届けられた年でもあって、ひとつ挙げるなら来日公演もあったANTONIO MONASTERIO ENSAMBLEかなと思います。また、発掘作品では、約10年前にひっそりとリリースされていたCRISTOBAL REYの『ABYA YALA』は現代ミナスにも通ずる傑作でした。



ANTONIO MONASTERIO ENSAMBLE『CENTRO Y PERIFERIA』
中川 異国情緒溢れるナチュラルめなプログレ感が好みです!
sirafu 昔クレズマーが大好きで、変拍子フォルクローレ的なの無条件で身体に染み込んでます。






CRISTOBAL REY『ABYA YALA』
中川 現代ミナス感!わかります。めちゃ良い!!



・アフロ系は昨年も豊作でしたが、一枚挙げるならR&B~HIPHOPのトレンドを取り入れた最高傑作をリリースしたカーボヴェルデのSSW、MAYRA ANDRADEでしょうか。他にも再発系を含めても本当は入れきれないくらいご紹介したいアルバムがあるのですが、やはりウガンダのレーベル NYEGE NYEGE TAPESは今のアフリカを紹介するうえで外せないように思います。



MAYRA ANDRADE『MANGA』
sirafu ビートがビーチでビッチな音質でいいですね。最高です。






AFROSIDERAL『OLIMPO DE LOS ORISHAS』
sirafu 家のサウンドシステムで聴いても面白く無いやつですね



V.A.『BODY BEAT : SOCA-DUB AND ELECTRONIC CALYPSO (1979-98)』
sirafu めちゃ最高。こういうレアトラック集が、一番価値あるくらい思っています。なつやすみバンドのベースの潤さんが好きそうなので教えてあげよう。



V.A.『POUR ME A GROG: THE FUNANA REVOLT IN 1990S CABO VERDE』
sirafu フナナ知らなかった! ていうかクンビアですね。アコーディオンは最強のサイケデリック楽器なのです。だから最強ですね、これは! 僕もたまに弾きます。



SISSO『MATESO』
sirafu ダンスミュージックのBPMが速くなる街には、時代時代でその街の理由があると思ってて。タンザニアのスピーカーで踊りに行きたい。



V.A.『ELECTRO ACHOLI KABOOM FROM NORTHERN UGANDA』
sirafu 昔、西アフリカに行った時に音に釣られて教会に入って行ったら、ゴスペルをアフロバンドで演奏してて、ダンスホール化してて。韓国ポンチャックしかり、フォルクローレ、大衆演歌、宗教音楽とかはオールドスクールなんかでは無く、現在進行系で街角で発展し続けてるのだなぁと思ったのです。

中川 アフロ系はほとんど聴いたことないのですがどれも普段聴かない感じの音楽で面白いです。MAYRA ANDRADEはキャッチーでかっこ良いなと思った。



・実は昨年はアイリッシュの名作がリリースされた年でもありました。ひとつはタラ・ケーリー・バンドの一員としても活動していたアイルランドの著名フィドル奏者、マーティン・ヘイズがNYを拠点に活動するインディークラシック弦楽四重奏団、ブルックリン・ライダーとのコラボレーションアルバム『THE BUTTERFLY』をリリースしたこちら。もうひとつはザ・グローミングのフィドル奏者ケヴィン・オ・ラハヤとピアニストのトーマス・バートレットが完全デュオで作り上げたアイリッシュ×ポストクラシカルな『CAOIMHIN O RAGHALLAIGH & THOMAS BARTLETT』。このあたりはいかがでしょうか。




CAOIMHIN O RAGHALLAIGH & THOMAS BARTLETT『CAOIMHIN O RAGHALLAIGH & THOMAS BARTLETT』
中川 めちゃいいですね…! 音の隙間からしんとした空気が伝わって来つつ暖かく優しい音楽。冬に合う。寒い日に部屋でぬくぬくしながら聴きたいです。



MARTIN HAYES & BROOKLYN RIDER『THE BUTTERFLY』
sirafu 実はアイリッシュミュージックは若い時めちゃ好きで、ミレニアムの年越しをドニゴールで迎えたくらい、あの土地も愛しています。新譜を聴くことは無くなりましたが、久しぶりに聴いてみようかな!と思いました。
中川 これもめっちゃいい! クラシカルでどの曲も素敵だな…。自分の好きな要素が詰まってる感じがします! アイリッシュもどこから入ったら良いのかわからなかったのですがかなり好きな気がしたのでこれから色々聴いてみたいです。






・カエターノ・ヴェローゾからクルアンビンやステレオラブまで引き合いに出されるイスタンブール出身の女性ヴォーカリストを擁するKIT SEBASTIANがアラブ系の現行グループでは抜けた存在だったかなと思います。また1991年に CD オンリーでリリースされていたエジプトの歌手/女優であるSIMONEによる Suzanne Vega「Toms Diner」のカバーを含むヒットシングルを 12INCH ヴァイナル化した『MABSOUTA』が世界的にスマッシュヒット、そして1977 年にレバノンでリリースされていた、「レバノンのクルビ・ダ・エスキーナ」と呼んでしまいたいISSAM HAJALIのリリースもあった年でもありました。



キット・セバスチャン『マントラ・モデルネ』
中川 なぜか1曲めのイントロから懐かしい感じが…。不思議な感じもするけどポップスとしてかなり聴きやすくキャッチーです。私はとても好き! ミルトンのまだ知らない曲を聴くときのようなわくわく感があります。
sirafu クルアンビンしかり、埃の中から発掘されたドーナツ盤のようなサウンドのバンドが出てきていることに、凄い時代になったな~と他人事のように思っています(微笑ましく)。






SIMONE『MABSOUTA』(再発系)
sirafu Toms Dinerのカバーいいすね(笑)。アナログ欲しい。



ISSAM HAJALI『MOUASALAT ILA JACAD EL ARD』(再発)
中川 確かにこの哀愁感、クルビダエスキーナ感がありますね…! でも楽器の音色やフレーズががアラブ的?? 気持ち良いしどれも本当にしみじみいい曲です。他にも聴いてみたい!
sirafu ビクトルハラの哀愁をオシャレにした感じで最高です(怒られるかな、、)。



・昨年は来日公演、フジロック出演もあり、タイ・ファンクをルーツに持つアメリカのスリーピースバンド、クルアンビンが日本でも人気となりました。同じく東南アジアの音楽に影響を受けたオランダのサイケデリック・ファンクバンドYIN YINやこちらはベテランですがコロンビアのサイケ・ダブ・クンビア・トリオ、Los Pirañasも新譜をリリースし、クルアンビン系、ポスト・クルアンビンなグループも多く出ています。このあたりのムーブメントについてはいかがでしょうか。



YIN YIN『THE RABBIT THAT HUNTS TIGERS』
中川 かっこいいー。頻繁には聴かないけどたまに猛烈に聴きたくなりそうです。
sirafu 情報の違いはあれど、欧米人のアジア圏への憧れと妄想は、マーチン・デニー、レス・バクスターのエキゾチカ感が永遠なものということを証明していると思う。僕らはその逆も然り。






LOS PIRANAS『HISTORIA NATURAL』
sirafu ウォー。クンビア大好きです。クンビア。高校生の時に出会ってたらクンビアやってました。



・昨年はアジムスの来日がありましたが、歴史的発掘となったデモ音源『DEMOS 1973-1975』、またアジムスのドラマーIVAN CONTIの22年ぶりの新作もありました。そしてブラジルのグループではないんですが、ALDORANDE、JOY GUERRILLAというアジムス・フォロワーの現行グループの傑作がリリースされたということでもやはりアジムスに注目せざるを得ない一年だったと思います。



アジムス『デモ・トラックス 1973-75 VOL. 1&2 』
sirafu アジムスかっこいいですよね。次の片想いはこういう路線で行こうか迷ってます。多分やんないけど。



IVAN CONTI『POISON FRUIT』
sirafu これめちゃくちゃいいですね。11曲目のデトロイト的アプローチ凄い。



ALDORANDE『ALDORANDE』
sirafu アルバム中盤のエヴァーグリーンなシンセ使いのミドルチューンの流れが好きです。でも、意外にこういうのはBGMとして聴けず、職業柄、研究目線できいてしまいます。



JOY GUERRILLA『SKYLINE』
sirafu でた! 鳥ジャケ。それだけで最高です。ライブラリー系の音楽に一時期ハマったのですが、近い将来フリー音源もこのくらいのクオリティのものが世の中に溢れそうで怖い。と思うくらい、最近のクオリティ高すぎるフュージョンものサブスクで聴けてしまうの凄い。





・南米スロウテクノ系(オーガニック・テクノと今は言うらしいです)も、エル・ブオ、フェミナを筆頭に昨年も豊富なリリースでした。このあたりはいかがでしょう。



フェミナ『ペルラス&コンチャス』
中川 すごい!めちゃ気持ちいい…! ジャケ通り!
sirafu めちゃいいな、というかめちゃくちゃセンスいいフォルクローレの扱い方するな、と思ったらクアンティックの仕事なんですね。。そりゃいいでしょうよ。



SUSOBRINO『LA HOJA DE EUCALIPTO』
sirafu ラスト曲のスネアの連打最高ですね、笑。名盤じゃないですかこれ、凄いですよ。これSuperRoots3以来のトランスの亜種ですよ。





・他ではニック・ドレイクやアーサー・ラッセルから影響を受けたフランス在住のSSW、MERRYN JEANN。ベン・ワット『ノース・マリン・ドライヴ』へのチカーノからの回答とも言いたいMARINERO。御大ヴァン・ダイク・パークスがプロデュースしたグアテマラの女性SSW、ガビー・モレーノとのコラボレーション作品。などがあります。それから、ワールド部門で扱うかは微妙なところだったのですが、タチアナ・パーハ&アンドレス・ベエウサエルトらから影響を受けた日本のデュオ、AQUBIも非常に素晴らしい作品でした。



MERRYN JEANN『MERRYN JEANN』
sirafu サウンドがねっとりしてて面白いですね。すごくいいです。こういう音像実は珍しい。



GABY MORENO & VAN DYKE PARKS 『¡SPANGLED!』
中川 昨年よく聴いたものの1つ。一曲目からときめきました☆ディズニー感があって楽しい!
sirafu いつもヴァンダイク先生のようなアレンジをしたいと心がけているのですがあと150年かかりそうです。ちなみにバカラック先生然り、アメリカ音楽(大雑把)巨匠達のアレンジは本当に影響を受けている。






MARIANA INGOLD『CARA A CARA』(再発系)
sirafu
他のアルバムも気になって聴いてみたら、初期の矢野顕子みたいな感じがあってよかったです!



LABELLE『OCHESTRE UNIVERS』
sirafu 変な作品ですよね。制作の過程と環境が知りたくなる作品ですね。



AQUBI『SCENES』 (流通開始が2019年で、発売年は昨年)
中川 私もタチアナ・パーハ & アンドレス・ベエウサエルトが大好きなので、最初聴くのドキドキしましたが聴いてみてすぐに好きになりました! 影響もよくわかるし、それとはまた違った日本的なポップさもあり、歌声もピアノも素敵です。




・では最後にお二人の年間ベストを5タイトルずつ発表していただけますでしょうか。


中川理沙の2019年ベスト5

1. ALEXANDRE ANDRES & ANDRE MEHMARI & BERNARDO MARANHAO『RA』
好きな音楽家達の共作はいつもわくわくします。特にAlexandreは作曲家としてすごく好きで、ミナスの音楽にハマったきっかけの1人。とてもポップなんだけど思った方向にはいかず「エーッ」という展開をサラッと迎えてそれがじわじわ気持ちいいーというのが続きます。このアルバムもそんなふうにずっとドキドキしながら楽しく聴きました。

2. ジョアナ・ケイロス『テンポ・セン・テンポ』
クラリネットの音が生き物の声や心臓の音みたいに聞こえる。静かに、強く生命力を感じる作品で、ふと聴きたくなることが多いです。

3. セバスティアン・マッキ・トリオ『アグアシラバス』
昨年まさか来日&リリースしてくれるとは思ってなくて… 全てに感謝したい気持ちになりました。Luz de aguaを初めて聴いたとき、こんな音楽が聴きたかったんだなぁと衝撃を受けたのだけど、今作は更にポップな印象になって、まさに今自分が聴きたい音楽でした。巡り続ける自然のままに音が泳いでいるような、優しさから生まれたような、煌めきに満ちた音楽です。

4. 森ゆに『山の朝霧』
初めて森ゆにさんの歌を聴いた10年くらい前から、ファンです。クラシカルなピアノと、ノスタルジーを誘う柔らかくて美しい歌声。冬の澄んだ空気によく合うので最近のお気に入りです。

5. トニーニョ・オルタ『ベロ・オリゾンチ』
年末にようやく買って聴けたのですが「Belo Horizonte」という曲が好き過ぎて、毎日何回も聴いてます。トニーニョの曲はこんなふうにのめり込んでしつこく何度も聴くことが多いかも。この先もずっと聴き続けるんだろうなと思います。


MC.sirafuの2019年ベスト5(順不動)

1. black midi『Schlagenheim』
マスロックではなく、ワールドミュージックだと思って聴いています。最高です。名前も最高です。気づいたら来日終わっていた。

1. Rammstein『Rammstein』
ジャーマンサイケだと思って聴いてます。狂ってます。ボーカルのリンデマンさんのユニットLindemann(自分の名前だけどソロじゃない)も相当狂ってました。

1. Liturgy『H.A.Q.Q.』
大音量で聴くと精神が高揚し、小音量で聴くと最高のアンビエントになります。こんな音楽を私もやりたい。

1. Whitney『forever turned around』
こういう無条件で涙が出てくるような音楽は憧れます。泣かないけど。ギターなんですかね、やっぱギターなんですかね。練習します。

1. 長谷川白紙『エアにに』
音楽の手法が永遠に進化していく中で、エディットという概念はもまた永遠であると思っています。いわばバンドも人間のエディット。譜面に起こすという行為もエディット。演奏も人生のエディットなのです。この作品は感情のエディット。なんて新しいんだろう。

<番外>戸張大輔『ギター』
リイシューですが、付属の7吋を聴いてまだまだ100年先(前?)の音像だったので、これは永遠に新譜です。

・ありがとうございました!