ノルウェーのブラック・メタル・バンドSatyriconのSatyrが22年にオスロのムンク美術館での展示会用に執筆した1曲56分の音楽作品。エドヴァルド・ムンクの作品を装丁にした名作『Deep Calleth Upon Deep』(2017)から構想されたコラボが実現化。闇に浮かぶ弦音やモーグを主体に聴き手の想像力と読解力を試すインスト表現は、画家が題にした「生命のフリーズ」「不安」「叫び」「絶望」「メランコリー」そして「死の接吻」といったテーマを音色に落とし込んだ病床の室内楽。 ( 新宿ヘヴィメタル館 / 井出翼 )
GRETA VAN FLEET
STARCATCHER
CD
ロックの神様に愛された現代のピュア・クラシック・ロック。70年代の神話的な恍惚と加速する現代の光陰。田園風景とステージの見晴らし、現実の延長にある非現実。栄光と虚栄、宇宙と夢中。そして飛行船とボヘミアンへの憧れ。そうしたバンドの哲学や美学を転がしたロックサウンドは夢心地。作題にはサリンジャー『The Catcher in the Rye』(ライ麦畑でつかまえて)もあるとの事で、在りし日に憶えたジュブナイルの火が握った手の中で白光する。 ( 新宿ヘヴィメタル館 / 井出翼 )