<ジャズ・オーディオファイル 紹介> -2020年5月-

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2020.05.29

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STUFF / スタッフ / ROLLING COCONUT REVUE JAPAN CONCERT

STUFF スタッフ / ROLLING COCONUT REVUE JAPAN CONCERT
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008027340

日本が空前のクロスオーバー、フュージョンブームを迎えようとしていた1977年、その火付け役となったグループ、スタッフが来日公演を行ったイベント会場のライブ音源が、2018年に14枚組のCDセットで発売されたが、その中からスタッフのステージ分を単体にしたのがこのアルバムだ。すでにファースト・アルバム大ヒットの後なので、ファンの盛り上がりも尋常ではなくメンバーも乗りに乗っている。聴きどころは、クリス・パーカーのドラムが明るくきらびやかにゴードン・エドワーズ率いるファンキーなグルーブにアクセントをつけている。16チャンネル・マルチから新たにミックスした鮮明なサウンドで再現される伝説のステージの臨場感だ。この録音の良さがこのアルバムの価値を何倍にも高めている。(ジャズ部門 生島昇)






AKIRA MATSUO / 松尾明 / and alone / アンド・アローン

松尾明 / and alone
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008088940

ジャズ&ラテンシンガーのMAYAです。この度、私MAYAは自身のレーベル「AMBIVALENCE 」を立ち上げました。
AMBIVALENCEは音楽とオーディオの融合をテーマに、 国内外のJAZZプレイヤーやシンガーの優れた演奏や歌を可能な限り高音質なクオリティでの録音を目指しております。

その第一弾の作品が日本を代表するJAZZドラマー松尾明氏の集大成的な作品となるアルバム『and alone』。ビブラフォン、トランペット、ベースとドラムのデュオが各2曲、ドラムソロが2曲収録されています。今回の録音は2インチモンスターテープによるアナログ録音で行い、かつてルディ・ヴァンゲルダーも使用した完璧にメンテナンスされたヴィンテージマイクやマイクアンプ、ミキサーを使用し、更に全てのマイクケーブルからラインケーブル、電源ケーブルまでACOUSTIC REVIVEの最高級品を使用するなど、最高峰のクオリティを実現するための音質向上を施しております。シンプルな楽器編成が故のその生々しさ、目前で叩かれているようなドラムソロのリアリティは高次元を目指し、共演する楽器も本来の音色や質感が見事に再現され各楽器との緊迫感溢れるインタープレイや魂のこもったドラムソロを克明かつリアルに収録しています。またマスタリングに関しましては米国ブルックリンに新設されたマスタリングスタジオにて行いました。

今回の編成はドラムとのDUOを中心とした内容という事でとても珍しい編成ですが、これは松尾氏のドラムだからこそ実現できたのだと思います。「メロディ楽器ではないのにメロディが聴こえてくるような歌心溢れるドラマー」それこそが松尾氏の真骨頂とも言えます。
日本のジャズシーンではピアノトリオやカルテット編成が人気ですが、今回奇をてらったわけではなく、結果としてこれまでの定説を覆す方向となりました。それとJAZZの醍醐味はDUO演奏におけるインタープレーにあると思います。なので敢えてDUO編成で一発録りにしました。

全ては演奏の素晴らしさがあった上での事ですが、アナログ録音だからこその温もりや気配を感じる音に加えて、S/Nの良さ。楽器の音色や演奏の抑揚、空間性。広く深くクリアーな音場を背景に、高密度で実在感ある明瞭な音像定位。
レーベルAMBIVALENCEの理想とする“見える音”の録音がここに実現しました。
まさに“音楽とオーディオ”がテーマの作品に仕上がったと思います。
このアルバムは、ドラムに関してだけでも、シンバル、スネア、タム、バスドラなどドラムのそれぞれのパーツの音色や質感の違い、定位感、切れ味やスピード感、またスティックとマレットの音色の違いなど無限大のオーディオチェックポイントがあります。
皆様に素晴らしい音楽を御鑑賞頂くと同時にオーディオシステムのチェックにもこのアルバムをお役立て頂けましたら幸いです。

Jazzsinger MAYA(AMBIVALENCE)

今回特別に本作品の貴重なレコーディング風景の写真をご提供いただいたので掲載いたします。
写真はクリックで拡大表示いたします。








松尾明プロフィール
東京都出身。21歳で渡米、バークリー音楽院に留学後アメリカ国内で数多くのライブを経験。帰国後複数のバンドで活動し、録音も多数残され、現在までの参加ジャズ作品は、リーダー11作品を含み100タイトルを超えている。また松尾明&Take Tenのリーダーとしても活躍。Take Tenでは、日本と中国の国交で北京・上海公演も果たしている。
アルバム「Alone Together」はジャズドラマーのアルバムとしては、日本最高の売り上げを記録。
プレイヤーのみならずプロデューサー、音楽監督も務め、その手腕は高く評価されている。
ジャズ音楽誌人気投票ではドラム部門3位にランクイン。ビックバンドから歌伴奏まで幅広いドラミングが高く評価されている。

MAYAプロフィール
ジャズを基本にジャンル、スタイルにとらわれず9ヶ国語(スペイン語・ポルトガル語・仏語など)で歌い分けるオリジナリティ溢れる世界観で、現在までベスト盤含め 17作品のCDをリリース。Swing Journal選定「ゴ-ルドディスク」「ジャズディスク大賞・ボーカル賞(国内部門)」、JaZZ JAPAN選定「アルバム・オブ・ザ・イヤー 」などを受賞。2006年に上海ジャズフェスティバルにて初の海外公演をつとめる。2017年には日本語だけの初のライブ録音による「LIVE MAYA」を発売。同作でJaZZ JAPAN選定「ジャズジャパン・アワード」を受賞。
2019年には自身の作詞・作曲を含む初のオリジナル楽曲集「しろいくろ」をリリース。同作で『JaZZ JAPAN』アルバム・オブ・ザ・イヤー2019 高音質部門、『ジャズ批評』ジャズオーディオ・ディスク大賞2019ベスト・プロジェクト賞を受賞。
エキゾティックな雰囲気、インパクトのある唯一無二の存在感と歌声が聴衆を魅了する。
公式Web:https://www.mayajazz.com/



マッシモ・ファラオ・トリオ / BEWITCHED / 魅惑のとりこ


マッシモ・ファラオ・トリオ / 魅惑のとりこ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245696025

マッシモ・ファラオの快進撃とリリース・ラッシュが止まらない。毎月の新譜リストの中に、彼の名を見ないほうが珍しいほどだ。リーダー作品だけではなく、サポート役としてバッキングに徹する時もマッシモの存在感は別格だ。うっかりすると主役を食いかねない個性的なピアニストが引く手数多なのは、どんなシーンでもムードメイクができる豊かなアイデアとフレージングの引き出しがあるからだ。本作は原点に立ち返った正統派ピアノ・トリオのスタイルで、落ち着いた曲調のスタンダード・ナンバーを集めた格調のある趣きになっている。マッシモ・ファラオといえば、イタリアン・スタイルを象徴するような明るく弾けたスイングに持ち味があるけれども、今作ではリズムの安定感とコード進行を大切にしながら、繊細な音 選びで美音を追求している。オーソドックスなアプローチの中に構築美を見出そうとした新しい挑戦 が  垣間見えてくる。このような丁寧な音運びでもマッシモの音色は沈むことはなく、一音の芯に宿る輝きは失われないばかり  か  、その光彩はますます強度を増していることに驚きを禁じ得ない。ヴィーナスSACDサウンドは、より中低音域のヴォリュームに厚みを加え、黄金のピラミッド・バランスに磨きをかけている。ベースラインの盤石感は全編を通して揺らぐことなく、ウッディなボディの膨らみと響きの重さを絶妙に捉えたサウンドだ。この土台に乗ったマッシモのタッチには迷いがない。シンプルな進行の中にも、耳を澄ますと聴こえてくる作り込みの巧みさが本作の魅力だ。(ジャズ部門 生島 昇)

品種:スーパーオーディオCD専用シングルレイヤー
※通常のCDプレーヤーでは再生できません。

 



JOHN DI MARTINO / ジョン・ディ・マルティーノ / THE MICHAEL IN JAZZ / マイケル・イン・ジャズ

ジョン・ディ・マルティーノ / マイケル・イン・ジャズ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245696026

ジョン・ディ・マルティーノのリーダー作品は、アイデアとコンセプトに裏打ちされたユニークなアルバムが多い。クラシックを原題にした「ジャズ・モーツァルト」や、ウイリー・マルティネスを迎えたラテン・ジャズの「モリエンド・カフェ」もある。さらにはビートルズからセロニアス・モンクまで、縦横無尽の自由な見識は比類のないレンジの広さだ。片や、ピアニストしてはニッキ・パロットの歌伴として洗練されたサポートもしてみせる。そのプレイすべてに共通する気高い美意識が、どんなテーマを前にしても一貫しているところがマルティーノの魅力に他ならない。今作の題材はまさかのマイケル・ジャクソンだ。20世紀のポピュラー音楽を象徴するようなマイケルのヒット曲は、ポップスが共有するエモーションのピークがすべて詰まっている名曲ばかりだ。その完成された姿をどのようにジャズとフィットさせるのだろう。マイルス・ディヴィスでさえ、ヒューマン・ネイチャーの旋律は崩さなかった。マルティーノのアレンジは、原曲のフレーズが心に響いた余韻のような感覚を、アドリブ・パートに移行するきっかけとして巧みに使っていく。テーマを大切にしながらシームレスにジャズのハーモニーへ乗せ換えていくのだ。まるで往年のスタンダード・ナンバーであるかのように、キング・オブ・ポップなメロディが美しくドレスアップされていく。SACDニューミックスはその色彩感をさらなる高解像度で伝えている。(ジャズ部門 生島 昇)

品種:スーパーオーディオCD専用シングルレイヤー
※通常のCDプレーヤーでは再生できません。



ダン・ニマー・トリオ / TEA FOR TWO / ティー・フォー・トゥ

ダン・ニマー・トリオ / ティー・フォー・トゥ
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245696028

2005年録音のこのアルバムは、ダン・ニマーという当時20代前半の若いピアニストのデビュー作品だ。まだライブ・シーンに登場したばかりの頃に、新しい才能には目がないヴィーナス・レコードがいち早くリーダー作を録音してしまった。初リーダー作品の喜びに溢れたフレッシュで天真爛漫な演奏は、若々しいだけでなく驚くほど安定している。音色とフレージングはウィントン・ケリーの影響というより、そのものだ。しかしそのスイングとドライブ感は借り物ではない。そっくりなのにコピーではない。心底から敬愛しているがフォロワーではないのだ。そこが早くから注目され将来を渇望された理由だろう。ブルースな曲ではまるでレッド・ガーランドのような演奏も現れる。それが少しも嫌味ではなく、なじみ深い旋律とともに 腑に落ちるのだ。きわめてオーソドックスで定番の楽曲ばかりをスマートにトリオ演奏しているだけなのだが、聴こえてくる音から見える表情の豊かさ、情景の美しさは格別なのだ。表現者として特別なセンスを秘めていることは、彼の演奏を1曲でも体験すればすぐに直感するだろう。その感触を共有するかのように、ここでのヴィーナスSACDサウンドは強い主張を抑えて、スマートで滑らかな音作りに徹している。心地良くシルキーなサウンドの中に決して埋もれることのない、瑞々しい表現を見つけてほしい。若さゆえにもっと粗削りなところも期待してしまうが、破綻のない完成度と構成美こそ彼の真骨頂と受け止め大いに楽しもう。(ジャズ部門 生島 昇)

品種:スーパーオーディオCD専用シングルレイヤ-
※通常のCDプレーヤーでは再生できません。



PAUL BLEY / ポール・ブレイ / MODERN CHANT / モダン・チャント

ポール・ブレイ・トリオ / モダン・チャント
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245696029

1994年に録音されたポール・ブレイのピアノ・トリオ作品なのだが、サウンドからは終始ただならぬ異様な空気が放たれている。まず、楽曲リストには断片的なワードが散りばめられているだけで作曲者のクレジットもなく、知らない曲ばかりだ。アルバムのコンセプトはグレゴリオ聖歌をジャズにアレンジするというものだったらしいが、それらしい演奏は聴こえてこない。これは紆余曲折を経て完全なインスピレーションに昇華した結果の作品のようだ。まさにスタジオでの1回限りの即興で生み出されたものだろう。ヴィーナス作品の中でも珍しいスタイルである。これができるアーティストはキース・ジャレットがまず思い浮かぶが、確かにポール・ブレイにもその資質を強く感じる。1曲目から高いテンションでスタートしたまま、 ためらうことなく交感が進んでいく。即興セッションと呼ぶには緻密すぎるサウンドで、場当たり的な音は一音たりとも漏れてこない。この集中と密度への驚きをまず特筆しなければならないだろう。ひとりエレクトリック・チェロを操るデビッド・イージスの絡み方が非日常感を高めていて、トリオ・ミュージックの可能性を問うかのようなエッジを見せている。ポール・ブレイのピアノは、クール・ビューティなフレーズが無尽蔵に湧き出でるスピリチュアルなプレイだ。この二人が自由に距離を変化させる空間を、ブルース・ディトマスのカラフルなシンバルが埋め尽くしていく。この情景とイメージに何を受け止めるかは聴き手に委ねられている。(ジャズ部門 生島 昇)

品種:スーパーオーディオCD専用シングルレイヤー
※通常のCDプレーヤーでは再生できません。





KEITH JARRETT, CHARLIE HADEN / JASMINE
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/2733485

ピアノトリオとベースだけという最小限のアコースティックセッションですが、さすが鉄壁の2人だけあって、一音たりとも聞き逃せない緻密なインタープレイを聴かせます。この盤のすごいところは、シンプルなセットによるストレートでナチュラルなサウンドのすばらしさです。特にヘイデンのベース・サウンドは、オーディオマニアなら思わずチャレンジせずに入られな美味しい音源になるでしょう。みずみずしく最低域まで伸びやかな音色とさわやかな音像は、近年の作品の中でも特に表情豊かで、5曲目のキースの浮遊感を追いかける健脚のベースサウンドを本作のベストトラックとして推します。(ジャズ部門 生島 昇)



Nicogi / ニコギ / 蜃気楼

ニコギ/蜃気楼
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008097210

ハイエンド・オーディオ・メーカー、ファンダメンタル代表でギタリストの鈴木哲氏と、ギタリスト齋藤純示氏によるアコースティック・ギター・デュオ、NICOGIのサードアルバム。オーディオメーカらしく、徹底的に録音に拘った、日本が誇るスーパー・ギター・デュオとして、内外から注目を集める作品だ。楽曲は二人のオリジナル中心。
ダイナミックレンジを十分に広く追い込んだシステムで再生すると、アコースティック楽器ならではの共鳴によるラウドな音響が大迫力で迫ってくる。演奏のパフォーマンスはもちろんのこと、サウンドの力で一気に聞かせる強烈なディスクだ。(ジャズ部門 生島昇)



SADAO WATANABE / 渡辺貞夫 / SADAO 2019 LIVE AT BLUE NOTE TOKYO / SADAO 2019 ライヴ・アット・ブルーノート・トーキョー

渡辺貞夫 / SADAO 2019 ライヴ・アット・ブルーノート・トーキョー
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245718065

今なお、第一線で堂々たる現代のbe-bopを聴かせる渡辺貞夫さんの最新ライブアルバムは、2019年のブルーノート東京録音だ。ジョンパティトゥッチのベース、スティーブ・ガッドのドラムスという現代最高のリズムを背負った貞夫さんのアルトは、かつてないほど吹ききっていて、その音色はもちろん、ステージの大きさまで目に見えるようなリアルなスケールで再現してくれる録音の良さも際立っている。特に聴きどころは11曲目のドラムソロの前後にある。解像度に優れたシステムで再生すると、その音数の多さとイリュージョンのようなダイナミックなサウンドにビックリするだろう。(ジャズ部門 生島昇)



SACHIYO NAYUKI / 名雪祥代 / Picturesque / ピクチャレスク


名雪祥代 / Picturesque
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1007920581

自然豊かな東北からジャズを発信! 宮城県出身女性サキソフォン奏者、名雪祥代の2nd Albumは往年のTBMサウンドを生み出した伝説のエンジニア、神成芳彦氏によるレコーディング。

最小限のブースだけで、とんど一発録りのサウンドは、まるで50年代ジャズのような凝縮感があるサウンドで、名雪さんの持ち味を余すところなく捉えた濃密なジャズサウンドだ。現代ジャズではなかなか聞けないシズルたっぷりのビンテージな音は、最高にスイングしている…ジャズオーディオに拘るマニアなら、ここのディスクを最高にスイングさせて鳴らせるかどうかが腕の見せどころだろう。(ジャズ部門 生島 昇)
 

MICHEL REIS / ミシェル・レイス / MITO SOLO PIANO IMPROVISATIONS  / ミト - ソロ・ピアノ・インプロヴィゼーションズ -

Michel Reis / MITO SOLO PIANO IMPROVISATIONS
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245691008

ミシェル・ルイスは、ルクセンブルグ出身の若手ピアニストだ。一部のマニアックなピアノファンには知られていて、来日公演も何度か行っているが未だマイナーな存在だ。しかしその澄み切った音楽にコルテスのオーナーがほれ込み、貴重なソロアルバムを制作している。その一曲がこのトラックだ。ここで初めて彼の音楽に触れた人も多いだろう。

その人懐こい風貌とは裏腹に、演奏はストイックなまでに突き詰めた完全なインプロヴィゼイションだ。ココではリズムセクションのほかにサックスも加わるカルテット編成でライブ録音されているが、演奏以外の音はすべてカットされ、インプロヴィゼーションにリスナーも没頭して参加することができる。

その静けさの中に響く世界観を再現するにはオーディオシステムのクオリティだけでなく、聞き手の想像力や感性の深まりが大いに試されてしまう。おそらくはかなり選び抜いたヴィンテージマイクを使ったと思われる無限に見通せる透明感と潤いを含んだ余韻の美しさと肌触りは、コルテスサウンドの真骨頂だ。(ジャズ部門 生島昇)



SUPER GUITAR TRIO / スーパー・ギター・トリオ / Friday Night In San Francisco (180g/45rpm/2LP/Numbered Limited)

SUPER GUITAR TRIO / Friday Night In San Francisco
https://diskunion.net/jazz/ct/detail/1008014855

ジャズロック、フラメンコ・ギターの3人が一堂に会するドリームセッションのライブ名盤として有名なアルバム。1980年当時、国内盤LPは大ヒットしたのでお持ちの方も多いだろう。

アナログファン待望のIMPEX RECORDS45回転重量盤仕様で登場。気になるサウンドの違いは1曲目から明らかで、やや大げさなマスタリングに賛否のあるIMPEX作品の中でも特筆に値するナチュラル系の高品位サウンドに仕上がっているのが嬉しい。

なんといっても最大の聴き所となる左チャンンネルのパコ・デ・ルシアの鬼気迫るプレイ、迫真のダイナミズムで刻まれている。最初の一音がホールに飛び散り、ライブ空間をみわたせるような空間表現が鮮烈。三人のアコースティックが重なり音量が上がっていくハーモニクスが手に取るように伝わってくる。

オーディエンスの異様なまでの熱狂ぶりもこのアルバムの特徴だが、その熱気に呼応する火の出るようなパフォーマンスは、ギターファンのみならず、今聴いても大迫力だ。ディメオラをラリー・コリエルに変更して、来日公演も行われたので、生で体験した人もいるだろう。その時の興奮を寸分たがわず聴かせてくれる究極の復刻盤だ。腕に覚えのあるオーディオマニアなら、この会場の熱気でスピーカーを燃やしてほしい。(ジャズ部門 生島昇)