【特集】ブラジル音楽通信~5月のブラジル音楽ニュースまとめ~ アナ・フランゴ・エレトリコ来日、MILTON + ESPERANZA、モレーノ・ヴェローゾ新作などなど

  • LATIN / BRAZIL
  • 新着ニュース

2024.06.01

  • LINE

  • メール




月ごとのブラジル音楽関連のニュースをまとめる記事を試験的にやってみたいと思います!

まずは来日などの情報から!




INFORMATION



アナフランゴ・エレトリコ、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドにて初来日決定!
 https://sukiyakifes.jp/


マリーザ・モンチの来日公演で大盛り上がりだったな~という印象の5月。なんといっても注目はアナ・フランゴ・エレトリコの初来日決定のニュースでしょう。ディスコ・ブギーに接近した最新作『ME CHAMA DE GATO QUE EU SOU SUA』(2023)は、ブラジル音楽ファンのみならずあらゆる音楽ファンの間で話題になりました。この度の初来日はまさに待望です。なお、アナ・フランゴ・エレトリコは、富山県南砺市で行われる「SUKIYAKI MEETS THE WORLD」だけでなく8月27日(火)に東京・渋谷 WWWで行われる「SUKIYAKI TOKYO」への出演も決定しています。ぜひチェックしてみてください。






ブラジルからKARAN!、そして TTotenが初のジャパンツアーを決行! さらにDOMMUNEでバイレ・ファンキ特集!

https://www.dommune.com/streamings/2024/052001/


今年1月にNyege Nyege Tapesからアルバムを発表したベロ・オリゾンチのDJ Anderson do Paraísoや、ロンドンのNTSレーベルからリリースされたサンパウロ産バイレ・ファンキコンピ『FUNK.BR - São Paulo』、そして極めつけはブラジリアン・ポップシーンの女王、アニッタ『FUNIK GENERATION』など、話題作はいくつもリリースされてるバイレ・ファンキ。そんな中、日本のファンキにさらにベースミュージックの革新的なアイディアを取りんだ 「ファベーラ・ベース」というジャンルの代表的な若手アーティストであるKARAN!Ttotenの来日公演を機にDOMMUNEでバイレ・ファンキ特集が組まれました。loco2kitバイレファンキかけ子など、バイレ・ファンキを通して日本とブラジルを繋ぐDJ/ミュージシャンの方々の尽力あって実現したのでしょう。フィジカルよりもデジタル音源が主流だったり、主にDJカルチャーの文脈で受容されていたりと、いまいちブラジルでのシーンの現状については知らない人が多い(私もその一人です)かと思うのでこういった特集は嬉しいですね。






ジルベルト・ジル、実に16年ぶり(!)の来日公演開催決定!


そしてMPBの巨匠、ジルベルト・ジルがなんと16年ぶり(!)に来日公演を開催することが決定!!2008年に行われたブラジルとの国交100年を記念しての全国ツアー(宮沢和史さんとのジョイントツアー)に行ったという方も多いのではないでしょうか。もしかしたらジルの来日公演はこれが最後かもしれません。開催地は京都ですが、詳細は追って公開されるとのこと。お見逃しなく!





RELEASE INFORMATION






ミルトン・ナシメント & エスペランサ・スポルディング『MILTON + ESPERANZA』 USを代表するジャズ・ベーシストと「ブラジルの声」の夢の共演が実現!

https://diskunion.net/latin/ct/news/article/0/122429


まずはなんといってもミルトン・ナシメントエスペランサ・スポルディングとの共演作『Milton + Esperanza』でしょうエスペランサの2010年作『Chamber Music Society』収録の「Apple Blossom」ですでに共演を果たしていた二人が、なんとフルアルバムのリリースを発表。すでにミルトン作「Outubro」が先行曲として公開されていますが、エスペランサの才気ほとばしるアレンジが光る名曲です。素晴らしいですね....。リアン・ラ・ハヴァスポール・サイモンら豪華ゲストの他、ギンガチン・ベルナルデスなど、ブラジルのアーティストも多数参加しているようです。これは要注目。






マリーザ・モンチ『PORTAS(2LP)』 2021年リリースの名作が世界初レコード化!!

https://diskunion.net/latin/ct/news/article/0/122219


MPBを代表するシンガー、マリーザ・モンチの2021年作『PORTAS』が遂にアナログ化。10年ぶりのスタジオ・アルバムとなった本作は、アルトゥール・ヴェロカイ、カルリーニョス・ブラウン、アルナルド・アントゥネス、セウ・ジョルジ、マルセロ・カメーロ、ホルヘ・ドレクスレル、アート・リンゼイなど、豪華ゲストが参加した大作。「MPBの王道」ともいえる煌びやかなアルバムとなっており、彩り豊かなアートワークも素晴らしい一枚です。






ウビラタン・マルケスによる2023年リリースの名作『Dança do Tempo』レコード化!

https://diskunion.net/latin/ct/detail/1008855314


2020年作『Orín, a Língua dos Anjos』が大きな話題となったオルケストラ・アフロシンフォニカのリーダー、ウビラタン・マルケスによる初の自己名義作『Dança do Tempo』(2023)が待望のレコード化。ビッグバンド・ジャズアルバムだった『Orín~』とは異なり、主にローズ・ピアノ、パーカッション、ソプラノサックス、コントラバスの小編成で奏でられるパーソナルなアフロ・スピリチュアル・ジャズ作品です。まさかのトニーニョ・オルタもゲストとして参加しています。名作中の名作です!









リアナ・フローレス『FLOWER OF THE SOUL』 チン・ベルナルデス、ジャキス・モレレンバウム参加!イギリス系ブラジル人SSW、リアナ・フローレス待望のデビュー・アルバム!

https://diskunion.net/latin/ct/news/article/0/122440


インディーズ時代の楽曲「rises the moon」がTikTokを中心にバイラル・ヒットし、話題を集めていたイギリス系ブラジル人SSW、リアナ・フローレスが、Verveと契約し満を持してメジャーデビュー・アルバム『FLOWER OF THE SOUL』をリリース。随所にボサノヴァなどブラジル音楽のエッセンスを感じられる静謐なフォークアルバムで、ブラジルからはチン・ベルナルデス(どこにでもいる...)、ジャキス・モレレンバウムが参加しています。特にディスクガイド『クワイエット・コーナー』の読者にオススメしたい一枚です。LPは黒盤とカラー盤、CDは日本盤と輸入盤、各2種類ずつの取り扱いになります。






エルメート・パスコアル『Pra você, Ilza』'24新作!


先日の来日公演もあり日本でも根強いファンが多いブラジリアン・ジャズ・レジェンド、エルメ―ト・パスコアルの2024年新作は、24年前に他界した最愛の妻イルザへのトリビュート・アルバム『Pra Você, Ilza』。エルメートが 1999 年から 2000 年にかけて書いた、多種多様なリズムで作曲されたスコアブック(彼女に捧げられたものだという)から曲を選んだのだそう。まだ現物は届いていませんが、ホシナンチからのリリースというだけあって装丁は間違いないと思います。要チェックです!








RELEASE INFORMATION(現状配信のみ)


現状、音楽作品のリリース形態は、配信のみのリリースになっていることが非常に多いです。

なので続いては、5月に各種ストリーミングサービスやBandcampでリリースされたアルバムから注目作をピックアップ!



NATIONAL ALIENS『BROADCAST#1』フレデリコ・エリオドロ×レオナルド・マルケスのミナスコンビがアルバムをリリース!



こちら、正確には4月末のリリースですが、ぜひ紹介したかったのでこちらに載せておきます。Think! RecordsからのリリースでもおなじみのミナスのSSWレオナルド・マルケスと、アフォンシーニョの息子であり、ミナス新世代のキーマンともいえるベーシスト、フレデリコ・エリオドロNational Aliens名義でアルバム『BROADCAST#1』を発表。レオナルド・マルケスが経営するスタジオ「Ilha do Corvo」とフレデリコ・エリオドロのスタジオ「 Interior Studios」で録音されたそうです。架空のラジオ番組の体裁をとっており、ヴィンテージ機材マニアのレオナルド・マルケスらしいローファイなサウンドがノスタルジーを誘う一枚となっています。オススメです!






モレーノ・ヴェローゾが新作『Mundo Pararelo』を発表!



5月に最も注目を集めたリリースはこちらでしょう。カエターノ・ヴェローゾの息子であり、2000年代初頭に「ブラジル新世代」の一人として注目を集めたSSW、モレーノ・ヴェローゾによる10年ぶりの新作『Mundo Pararelo(パラレルワールド)』。盟友ドメニコ・ランセロッチヒカルド・ヂアス・ゴメスのような昨今の先鋭的な作風が話題を呼ぶミュージシャンや、マルセロ・コスタ、ジャキス・モレレンバウムのような腕利きのミュージシャンが多数参加。白昼夢に包まれるかのようなボッサ風スローバラード「Bailando」、父カエターノや叔母マリア・べターニアがゲスト参加した「A Donzela Se Casou」、Luís Filipe de Lima作曲のトラディショナルなサンバ「É de Hoje」などを収録。最初聴いた時は掴みどころがないような気もしたんですが、聴けば聴くほど味わい深いアルバムです。






エラズモ・カルロス『Erasmo Esteves』フーベルら豪華ゲスト参加!エラズモ・カルロスのトリビュートアルバム!!



一昨年亡くなったブラジリアン・ロックのパイオニア、エラズモ・カルロスのトリビュート作品『Erasmo Esteves』がリリース。彼の歌詞の草稿や未完成の音源をもとに新たに楽曲を再構築したもので、魅力はあまりにも豪華なゲスト陣フーベルエミシーダが参加したホーンセクションが躍動する表題曲「Erasmo Esteves」、チン・ベルナルデスによるバラード「Minha Bonita Primavera」(ここまで彼の歌声を堪能できる曲もなかなかありません)、ストリングスアレンジが美しいJota.pê(ÀVUÀの片割れ)による「Assim te Vejo em Paz」などを収録。他にも、ブラジリアン・ポップシーンの新星、マリーナ・セナ、先日の来日も記憶に新しいシェニア・フランサ、バイーアを代表するロック・バンド、Maglore(一昨年リリースのアルバムが最高でした)のヴォーカルであるTeago Oliveiraバイアーナシステムのヴォーカルであるフッソ・パッサプッソなどが参加しています。






Bebé『Salve-se!』 まさかのCoala Recordsからのリリース!新たにサウンドの幅を拡げた意欲作!



2021年リリースの『Bebé』が注目を集めたサンパウロのSSW/プロデューサー、ベベ・サルヴェゴの2024年によるリリース新作『Salve-se!』がまさかのCoala Recordsからリリース。チン・ベルナルデスバーラ・デゼージョフーベルゼ・イバーハなど日本でもおなじみのMPBアーティストのディストリビューションを行ってきたCoala Recordsですが、それに続いて彼女のアルバムをリリースするとは驚きでした。本作では、オーガニックなネオソウルを基調としていた前作からさらにサウンドの幅を拡げ、よりグローバルなポップシーンに接近したエレクトロニックなR&Bサウンドへと変化。前作でプロデューサーを務めたセルジオ・マシャードとの共同プロデュース作となっています。






シルヴァ『Encantado』アルトゥール・ヴェロカイ、ホルヘ・ドレクスレル参加! 爽やかなMPBアルバム!



シルヴァが、2020年作『CINCO』(ヒゲをいじっているアルバムですね)以来、4年ぶりの新作『Encantado』をリリース。約半分の楽曲が弟のルーカス・シルヴァとの共作で、アルトゥール・ヴェロカイによる流麗なストリングス・アレンジが美しい「Girassoís」、マンゲイラ初の女性サンバ作曲家として著名なレシ・ブランダォが参加したスローサンバ「Amanhã de Marhã(Para Lecy)」、ウルグアイを代表するシンガー、ホルヘ・ドレクスレル(この人もどこにでもいる...)との共作によるボッサ風味のスペイン語ポップ「Recomenzar」などを収録しています。シルヴァの大きな魅力であるインディー・ポップ的な軽快さがいかんなく発揮された爽やかなMPB作品となっています!






アントニオ・ネヴィス『Deixa com a Gente』リオのマルチ奏者による3年ぶりの新作!



バーラ・デゼージョアナ・フランゴ・エレトリコブルーノ・ベルリダダ・ジョアンジーニョといった新進気鋭のMPBアーティストから、マリーザ・モンチセウジャルズ・マカレーといったベテランにまで重用されるリオのマルチ奏者、アントニオ・ネヴィス。2021年にFAR OUTからリリースされ話題を呼んだ前作『A Pegada Agora É Essa』に続く新作『Deixa com a Gente』が先日リリースされました。ブラジル音楽に限らず多様な音楽からの影響を盛り込んだカオティックな前作と比較すると、よりサンバやショーロからの影響が色濃いヴォーカル入りのジャズアルバムとなっています。






それ以外には、ブラジリアン・ポップシーンにおける良心ともいえるSSW、チアゴ・イオルクの新作(ジュリア・メストリ参加!)や、現代のヴァングアルダ・パウリスタの新鋭、JadsaとそのパートナーであるJoão Miliet meireles(BAIANASYSTEM)による音楽ユニット、Taxidermiaによるアルバム『Vera Cruz Island』(Toriブルーノ・ベルリTuyo参加!)などが注目タイトルだったな~という印象です。また、チン・ベルナルデスの弟、シコ・ベルナルデスも久々の新曲「Assim」、「Motivo」を発表していました。近々アルバムをリリースするようです。オーガニックなフォークアルバムだった前作と比べるとかなり作風は変化しそうな予感です。楽しみですね....







NEW RELEASE FROM DISKUNION


さて、ここからは5月の新入荷の中でもオススメのタイトルをご紹介します。注目はなんといってもフーベル『As Palavras Vol 1 & 2』のUK盤リリース!LPはブラジルのCoala Recordsからリリースがあったものの、CDでのリリースは今回が初。帯、ライナーノーツ、歌詞対訳付きのCDもリリースされました。そして「ミナス新世代」音楽シーンと現代ジャズが溶け合った傑作、ジャスミン・ゴドイ『 SHOW ME THE WAY』、フォーキーでサイケデリックなブラジル産英詩ネオソウルシルヴィア・マシェーチ 『INVISIBLE WOMAN』の2種類のアルバムが国内盤CDでリリースされました。


ジャスミン・ゴドイのインタビューはこちら!⇒https://note.com/elis_ragina/n/ne35a22d31772





続いては、ブラジル出身UK在のSSWによる傑作デビューアルバム、ラウ・ロー『CABANA』。UKの名門レーベルであるFAR OUT RECORDINGSからのリリースとなった本作は、霧がかったような音像がブラジリアン・サイケの諸作を彷彿とさせる一枚。同じくFAR OUTのブルーノ・ベルリを愛聴している方にもオススメの内容です!他に新作として注目すべきは、アニッタ『FUNK GENERATION』。かつてないほどにバイレ・ファンキ色濃い本作は、今年のポップミュージックを代表する1枚といえるでしょう。また、ブラジルを代表するLGBTQ+アーティストでありドラァグクイーンのアイコン、パブロ・ヴィッタールによる異形の傑作『NOITADA』のLPも入荷しています。Gloria Grooveとの共作曲「AMEIANOITE」を収録した注目作。ホシナンチからのリリースなだけあって、装丁は素晴らしい出来栄えです。





そして先日のボロロの7インチも大好評だったベルリンのリイシューレーベル「Notes on a Jorney」からなんと新録作品、ヴィニシウス・メンデス『MACUNAISMO TARDIO VOL.1 & 2 (2LP)』がリリース。浮遊感あふれるミナス産ジャズサンバとなっています!そして今月のベストリイシューはなんといってもニルトン・カストロ『Mes Mains』。バイーア出身のパーカッション奏者であるニルトンによって作られた、ダンスの講義で用いるためのインスト・パーカッション・アルバムです。ラストの「Ondes (Les Vagues)」はあまりにも美しく、この1曲のためだけでも買う価値アリです。そして最後に、ペルナンブーコ州出身でありながらクルビダエスキーナに参加している70年代MPBを代表するソングライター、ノヴェーリ唯一のソロ作『Canções Brasileiras(LP)』も嬉しいリイシューでした。世界初リイシューであることに加えて、LP限定の未発表曲などの貴重音源も収録されており、要注目の1枚です!








5月の新入荷リスト




6月入荷予定の注目商品


最後に6月の入荷予定商品のお知らせ!!


注目は先述のマリーザ・モンチ『PORTAS』、そしてアナフランゴ・エレトリコの2ndアルバム『LITTLE ELECTRIC CHICKEN HEART』のUK盤リイシューですね。『LITTLE ELECTRIC CHICKEN HEART』のLPはThink! Recordsから販売されていますが、すでに売切れになってしまっていました。スキヤキでの来日も決まっていただけにこれは嬉しいリイシューです。


また、ラテングラミー「最優秀MPBアルバム賞」受賞の歴史的名作、リニケル『 INDIGO BORBOLETA AZUL』も、少々入荷が遅れましたが、6月上旬にはリリースできそうです!!


※入荷は遅れる可能性もございます。ご了承ください。



最後までお読み頂きありがとうございました!!!

6月はアマーロ・フレイタスの来日公演!!!

楽しみ~~~~~

最新ニュース