ライアン・ケバリーのCollectiv do Brasil第4章、ジョアン・ドナートへのオマージュ作『HERE IS DONATO』発売決定
ライアン・ケバリー、Collectiv do Brasil第4章はジョアン・ドナートへのオマージュ
2作目からの不動のトリオにパーカッションが加って生まれたさらに強力なグルーヴ!
巨匠ジョアン・ドナートの音楽世界に深く身を置き、その精神を吸収。
5人の親密な音楽的対話が、新たな響きを紡ぎ出す。
現代NYのラージアンサンブル界でファーストコールのトロンボーン奏者として活躍し、今年8月にはマリア・シュナイダーのオーケストラの一員として再びの来日も果たしたライアン・ケバリー。自己のフラッグシップ・アンサンブル“カタルシス”と並び、近年、彼の活動のもう一つの大きな柱となっているのが、ブラジル/サンパウロの精鋭たちとのCollectiv do Brasilだ。
このプロジェクトは2017年、サンパウロを訪れたライアンと、ピアニストのフェリペ・シルヴェイラを中心とするミュージシャンたちとの邂逅から始まった。第2作からベーシストがフェリペ・ブリゾラに変わって以来、不動のトリオとなり、今回は新たにパーカッショニストのゲゲ・メデイロスが加わった。互いにジャズとブラジル音楽への深い愛情を共有し、数々のライヴを重ねるなかで独自の音楽的対話を育んできた彼らは、ミルトン・ナシメント、トニーニョ・オルタらのミナス派の音楽に取り組んだ『Sonhos da Esquina』 (2018年録音)、エドゥ・ロボへのリスペクトを形にした『Considerando』 (2022年録音)、さらにイヴァン・リンスをトリビュートした『Choro das Aguas』(2023年録音)と、ブラジル音楽の巨匠たちの世界に深く入り込み、その魅力を自分たち自身の音楽として奏でてきた。
そしてシリーズ第4弾となる本作『Here Is Donato!』で彼らが光を当てるのが、現代ブラジル音楽に計り知れない影響を与えたジョアン・ドナート(1934–2023)だ。サンバ、ジャズ、アフロ・キューバン・リズム、ボレロ、ファンク、ボサノヴァを自在に溶け合わせ、豊かなハーモニーと親しみやすいメロディ、そして何ものにも縛られない軽やかさを併せ持つドナートの音楽。明快でリラックスした深いグルーヴの奥には、驚くほど精緻な構造が息づき、洗練と自然な伸びやかさが絶妙なバランスで共存している。
本作は、1960年代初頭の『Muita Vontade』から70年代の『Quem é Quem』『A Bad Donato』『Lugar Comum』といったドナートの初期作品を中心とした9曲に加え、2013年にライアン自らがカタルシスで発表した楽曲をCollectiv do Brasilのために再構築した曲を交えた計10曲構成。5人はドナートの楽曲を、完成された過去の名曲として再現するのではなく、その音楽の背景とフィーリング、そしてドナートならではの明快さのなかに深く身を置きながら、新たなハーモニーやリズム、即興の可能性を自然に引き出していく。
ここにあるのは、ドナートの音楽を単に「現代化」することではなく、その精神を深く吸収し、自分たちの音楽的対話のなかで鳴らすというCollectiv do Brasilならではの創造だ。毎年のようにライアンがブラジルに飛び、バンドとして音楽を創り上げてきたメンバーの親密なインタープレイ、深いグルーヴと自由な即興。その音楽は、ドナートへの深い敬意とともに、時代や世代を超えて響き続ける彼の世界を、いまここにあるものとして鮮やかに浮かび上がらせている。
Linernotes by Ryan Keberle〜ライアン・ケバリー・セルフ・ライナーノーツ
ジョアン・ドナートの音楽は、私にとって、いつも最高の意味で「一見すると、とてもシンプル」に感じられるものでした。
どこかホレス・シルヴァーの音楽にも通じるところがあります。ラインは明快で、グルーヴは深くスウィングしている。それでいて、いつもリラックスしていて、何ひとつ無理をしているようには感じられません。でも、深く入り込んでいくほど、そのすべてがいかに精緻に作られているかが聴こえてくるのです。彼の作曲には、無駄を削ぎ落とした感覚と抑制があり、物事をゆっくりと自然に展開させていこうとする意志があります。
ドナートの音楽をこれほど個性的なものにしている要素のひとつは、彼がキューバのリズム言語を深く自分のものとし、それをブラジル的な感性を通して表現していることだと思います。しかし、それは直接的な引用でも、特定のスタイルを借りるようなものでもありません。すべてが完全に彼自身のなかに吸収されているのです。そして、おそらく驚くことではないでしょうが、こうした「自分の中
に吸収することを通して、新たなものを創造する」という考え方こそ、私とCollectiv do Brasilの仲間たちが、これまでのすべてのプロジェクトで大切にしてきたことでもあります。
私が何度も立ち返るのは、ドナートが保ち続けている「洗練と軽やかさ」の絶妙なバランスです。
ハーモニーは実にニュアンスに富んでいますが、決して複雑すぎたり、つくり込みすぎたりしているようには感じられません。音楽が自らを強く主張するのではなく、自然にこちらを招き入れてくれるのです。その開かれた性質こそが、ドナートの音楽をさまざまな文脈に適応させ、異なる世代の人々の心に響かせ続けている理由なのだと思います。『Here Is Donato!』で私たちが目指したのは、彼の音楽を再解釈したり、現代的なものへとアップデートしたりすることではありません。むしろ、音楽の内側にじっくりと身を置き、その論理、そのフィーリング、そしてドナートならではの明快さと向き合うことなのです。
素晴らしい音楽、友情、そしてインスピレーションを与えてくれる、愛すべきCollectiv do Brasilのメンバーたちに、心から感謝します。そして、いつものことながら、この音楽は、愛する妻エリカ・ケバリーの愛情と支えなしには生まれなかったでしょう。
ライアン・ケバリー 2026年5月 ニューヨーク州フォレストバーグ
Ryan Keberle - trombone, vocals
Felipe Silveira - piano, synths
Felipe Brisola - acoustic and electric bass
Paulinho Vicente - drums
Guegué Medeiros - percussion
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